みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

読者のみなさまは、どんな充電器をお使いでしょうか?近頃では、USB-C 充電器が随分と市民権を得て「今まさに使っている」という方も多いと思います。しかし、一方で既存の USB-A 充電器もイヤホンや Apple Watch の充電に使用されているかもしれません。

現状、2つの充電器がそれぞれに存在していて「不便だな」と感じている方にオススメの製品、Belkin BOOST↑CHARGE PPS 37W デュアル(25W+12W) 充電器 を今回はレビューします。

本製品は、最大25Wの PPS 対応 USB-C ポートと最大12W出力が可能な USB-A ポートが1つにまとめられた ACアダプタです。iPhone や iPad の高速充電はもちろん、PPS に対応しているため Quick Charge 4.0 対応の Android なども充電にも使用できます。

・開封

パッケージ

本体

本体裏面(プラグは折り畳めない)

端子類

サイズ比較

その2

・このご時世にどうなの?

本製品を開封している際に、梱包方法とパッケージのサイズについて疑問を抱かざるを得ませんでした。

箱を開けるといきなり充電器が登場

その下は空…

一番最初にパッケージを見たときに「やたらデカいな」と感じていましたが、箱の口を開けたらいきなり充電器が登場。これ、カッターとか鋭利な刃物を使って開けたら一瞬で傷物じゃん。と思いつつ、充電器を取り出すと、その下は全くの虚無。

大きなパッケージの上1/3程度しか使用されておらず、これは環境問題や輸送費高騰などが叫ばれるこのご時世にあまりにも無駄が多いパッケージだと言わざるを得ません。また、開けていきなり充電器という梱包もいかがなものかと感じます。

普段なら、パッケージにもこだわる Belkin がどうしたの?という感じです。

・使用感

本製品は、小型 USB-C 充電器でありがちなプラグが折り畳めないタイプのウォールチャージャーです。

この使い方がベスト

そのため、写真のように「壁にあるコンセント」で使う前提の製品かつ、頻繁に抜き差しをせず、持ち歩きもしない。という用途に向いている製品だと思います。

近年では、充電器を「持ち運ぶ」需要よりも「据え置く」需要の方が高いと思われ、USB-A に関してもワイヤレスイヤホンなどの USB-PD 出力を必要としないデバイスの充電に使う機会が増えていると思われますので、この形状でこの仕様は上手くまとまっていると思います。

・本体の仕様をチェック

ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認しました。

PDO は表記よりも大きい値の場合、デバイスを過電流により破損させる恐れがあり、小さい場合は景品表示法上の問題が生じます。また、USB- PD 規格では USB-PD 以外の急速充電への対応を禁止しています。過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として実装されています。

問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露見するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。

確認の結果、両ポートともメーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致しており、問題点は見当たりませんでした。また、PPS の実装方法についても問題は見受けられませんでした。また、USB-C ポートが対応する急速充電規格も他の急速充電規格を実装しておらず規格に沿ったものとなっています。

最後に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。

確認の結果、USB-C/A 共に大きな問題は認められず、保護機能は正常に動作するといえる状態であることを確認できました。ただし、USB-A ポートの出力仕様が公称値では 5V/2.4A になっているにも関わらず、検証では 5V/3.4A に至るまで保護機能が動作していませんので、この点は改善すべき点といえます。

なお、両ポート同時出力においても各ポートの最大出力および保護機能の動作点に変化がなかったため、USB-PD 規格で求められている USB-C と USB-A の別回路化が行われています。

・検証のレビュー

本製品の検証を行なった結果、お伝えしなければならない点が2点あります。

まず、1点目が USB-C ポートの Apple 2.4A 対応について。アナライザー上では、USB-C ポートは Apple 2.4A 対応がなされていないと表示されています。この仕様の場合、iPhone 8 以前の USB-PD による高速充電に対応しない古いデバイスでは最大充電電圧は 5V/1.5A となります。

しかしながら、iPhone 7 で状況を確認したところ、5V/2A(10W)の出力が確認でき、(なぜ動くのかはさておき)Apple 2.4A 充電も実際には可能となります。

また、USB-A ポートについても USB-BC や Samsung 2A などには対応しないことになっていますが、実際のところは Android スマートフォンを接続しても1A以上の電圧で充電されていますので、こちらについても使用上の問題が発生する可能性は低いと思われます。

これらに関しては、なんらかの要因によりこのような挙動になっているものと思われますが、アナアイザーも常に正しい情報を表示する訳ではありませんので、参考としてこれらも付け加えました。

・総評

据え置き用 USB-C & A 充電器のオススメ。

本製品は、使用感や設計、安全性に関して大きな問題はなく、十分に購入を推奨できる製品です。USB-PD 規格に沿った設計や PPS 対応など、最新の充電器に必要な機能が上手くまとめられている印象で、スマートフォンやタブレットの充電用としては理想的な製品だと思います。

しかし、USB-Aポートの保護機能動作のしきい値が高いこと、パッケージがあまりにもお粗末な点、プラグが折り畳めない点など「やや残念」と言わざるを得ない部分もあり、完璧な製品とはいえません。

USB-C と USB-A が一体となった PPS 対応充電器を探している方は、本製品をチェックしてはいかがでしょうか。

最終更新日:2022年4月7日

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