みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

突然ですが、Thunderbolt は使用されていますか?本誌の読者層を考えれば、「なければ生きていけない!」という方もいらっしゃるかと思いますが、意外にも「Thunderbolt として」使用されている方は、まだまだ少ないのではないでしょうか。

事実、筆者も Thunderbolt 3 から SSD だけで使い始めたクチで、思い返せば Mini DisplayPort として、USB-C ポートとして使っている期間の方が長かったりします。

今回は、CalDigit より販売されている TS4 Thunderbolt Station 4 をレビューします。本製品は多種多様な18の端子が1つとなった Thunderbolt 4 ハブです。

・開封

パッケージ

内容物は本体、Thunderbolt 4 ケーブル、電源アダプタ

前面

背面

底面

本体のポート一覧(クリックで拡大)

・使用感

筆者は本製品を Mac mini 2018 に、周辺機器は主に EIZO 2450 1台と Zoom UAC-2 に接続して使用しています。

周辺機器は多い方?

そのため、背面の USB-A*2、USB-C 3.2、DisplayPort(将来的にはEthernetも)は常に埋まった状態で使用しています。通常使用の状態でも背面ポートに余裕がある上、前面は SDカードや iPhone などの一時的に接続するデバイスに割けるため、通常時は見た目もシンプルになります。

しかし、使ってみて「イマイチかも」と思ったのは、Thunderbolt 4 ポートが背面にしかない点です。Thunderbolt 3 SSD を接続するときに、わざわざ背面にケーブルを接続しなければ、性能を十分に発揮できません。

そのため、常に背面に Thunderbolt ケーブルを挿しっぱなしにして前面に出しておくか、逐一背面にアクセスしなければならないという手間が発生するため、前面にも Thunderbolt 4 ポートが欲しいところです。

・iPhone 15 Pro でも使える

本製品は Thunderbolt 4 ハブであるため、iPhone 15 Pro(USB 3.2 Gen 2)に接続しても最大10Gbpsの速度でしか使用できません。

しかし、充電しながらディスプレイ出力を行ったり、キーボードの接続、SDカードの読み込みなど、普通に使用することができます。

なんか物凄く過剰だけど…

まさか、本製品を iPhone で使用するために購入する人はいないと思いますが、「動きましたよ」という報告程度に追記しておきます。

*iPhone 向けのソフトウェアの用意はないため、細かい部分で不具合がある可能性はあります。

・購入するに至った理由

筆者は本製品をはじめから購入しようと考えていた訳ではありません。

当初は、SONY α6500 で撮影したデータをより早く Mac に取り込みたい。というか、Lightroom での読み込み&表示が遅いから改善したい。という理由で、ProGrade Digital の SD カードリーダーを購入しようと思っていました。

クリエイター界隈では有名な?カードリーダー

しかし、ProGrade は ProGrade で1万円を超える金額であり、「SDカードリーダーとしては高いよなぁ」と感じていました。(もっとも、α6500 に UHS-Ⅱはいらないだろ。という話はありますが、最強が好きなので)

さらに、使用していた USB ハブは USB-A(3.0)が8つという、いかにも数年前に流行ったマルチポートハブを使用していました。購入から数年は便利に使用していたこのハブも、USB-C への移行や使用機材の変化などで使い勝手が悪くなっていました。

実際、iPhone や iPad のバックアップのためにだけ USB-A – Lightning ケーブルをデスクに置いておく必要があり、充電は USB-C – Lightning に完全移行している人間からすると、この「ケーブル1本だけ違う」状況はかなりのストレスでした。

それに加え、「USB-C で iPhone や iPad を接続するなら、どうせなら20Wの高速充電もできた方が良いよね」という欲望も出現し、「高いけど、それだけの価値はあるかな?」と思い本製品を導入しました。

・各種仕様をチェック

本製品には、前面、背面の2箇所に USB-PD 対応の USB-C ポートがあります。

背面は96Wの電力供給が可能となっており、前面は最大20Wの電力供給が可能となっています。しかし、メーカーからはこれ以上の具体的な情報が提供されていないため、USB-PD の仕様に関しても調査しました。

ただし、背面の96Wに関してはデータ通信を主としており、このポートに Mac を接続しなければ TB4 自体が動作しません。そのため、背面ポートを詳細にチェックすることはできないため、前面の USB-C ポートのみの結果の掲載となります。

確認したところ、前面の20W USB-C ポートに問題はなく、通常の USB-C 充電器と同じような安全機能もあることが確認できました。

・ファームウェアアップデートによって完璧に

筆者は本製品を発売直後に購入したため、様々な不具合がある状態で使用せざるを得ない状況でした。

しかし、先日リリースされたファームウェアアップデートにより、Apple Silicon Mac でのフリーズ問題や、スリープ解除時に Ethernet ポートが動作しなくなるといった問題が全て解消されました。

リリース当初から抱えていた問題は、ユーザーエクスペリエンスを大幅に低下させていた致命的な問題であったため、早急に対処されるべき問題でした。しかし、アップデートのリリースが延期されたり、Windows 版のみが先行リリースされたりと、苦労して使用する忍耐の日々が長かったように感じます。

この辺りについては、リリース時点で対処しておいて欲しかった部分ではありますが、本製品のリリース時点では Apple Silicon が出たばかりであったこと、アップデートで解決しただけでもありがたい話であるため、これ以上は言及しないこととします。

・使用感

色々と問題はあったものの、本製品を使い始めて大きな不満を感じたことはありません。

特に高速な SDカードの読み込み速度と20W 充電ができる USB-C ポートは、使わない日がないといえるくらい多用しています。

HDMI を使用する場合は別途変換アダプタが必須

しかし、先述したThunderbolt ポートが前面にない点と HDMI ポートがない点に関しては「不便だな」と感じる部分です。

もっとも、デイジーチェーンで別のハブを接続すれば良い、USB-C/Thunderbolt の映像出力機能を使えばい良い。と言われてしまえば、「それまで」ではありますが。

とはいえ、本製品を使い始めたことにより、従来までは面倒だった使用デバイスの切り替え(Mac mini と MacBook Air 間のディスプレイとその周辺機器の付け替え作業)が、ケーブル1本を差し替えるだけで完了するため、細かい不満点も「仕方がないか」と思えます。

・総評

全部入りの Thunderbolt 4 ハブが欲しいならコレ。

様々なメーカーから同等の製品はリリースされていますが、本製品ほどの拡張性を持ち、前面の20W USB-C ポートなどの利便性も兼ね備えた製品は存在しません。

また、Anker や Belkin といった大手メーカーでも放置するファームウェアのアップデートをキッチリと提供し、発生した問題に対処するメーカーの姿勢も大いに評価できます。もちろん、それ相応の価格であるため、「そうでなければ困る」ともいえますが、サポート体制も含め、Thunderbolt 4 の規格が現役である限り、便利に使用できるものだと思います。

Thunderbolt 4 ハブの購入を検討している方は、本製品を検討してみてはいかがでしょうか。

最終更新日:2023年9月23日

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