みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、100円ショップ ダイソーで販売されている 20W USB-PD 充電器をレビューします。

本製品は、一応は100円ショップを名乗るダイソーの100円ではない商品で、販売価格は税込¥770となっています。ダイソーの充電器シリーズの中では高額な部類で、価格だけの価値があるのか疑問に感じるかと思います。

この記事では、そんな疑問も解決しつつ、徹底的に性能をチェックしていきます。

※ダイソーでは本製品以外の USB-C 充電器も販売していますが、そちらは購入をオススメできるレベルの製品ではないため、誤購入にはくれぐれもお気をつけ下さい。

・開封

パッケージ

本体

USB-C 端子(20Wの刻印がある)

まさかのプラグは折りたたみ式

・形状が特殊

本製品を初めて手に取って感じたことは、「プラグの向き逆じゃね?」という細かいことです。

エレコムApple 製で比較

一般的な折り畳み式プラグ(スイングプラグ)は、上から下へプラグを展開します。しかし、本製品はその逆の下から上へとプラグを展開します。

この仕様でも問題はないかと思われますが、人間工学的に下から上という展開方式は使い勝手が悪く、気付けば充電器をコンセントに上下逆さまに差し込んでいるということが多々あります。

とはいえ、どんな製品でも上下反転でき、安全性に問題がないように設計されているため、「なんかしっくりこない」という問題以外はありません。

・本体の仕様をチェック

ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認しました。

PDO は表記よりも大きい値の場合、デバイスを過電流により破損させる恐れがあり、小さい場合は景品表示法上の問題が生じます。また、USB- PD 規格では USB-PD 以外の急速充電への対応を禁止しています。過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として実装されています。

問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露見するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。

確認の結果、メーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致しており、問題点は見当たりませんでした。ただし、USB-PD 規格上では禁止されている USB-PD 以外の急速充電規格(Quick Charge 等)への対応が見られました。

この点は、規格に沿わない仕様となっていますが、この仕様は近年では一般的な仕様であり、安全な形で実装されていることから、安全性の問題はありません。

次に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。

確認の結果、保護機能が動作するタイミングは最大でも公称値+0.5A程度であり、この程度であればしきい値として妥当なものであることから、保護機能は正常に動作するといえる状態にあります。

最後に、iPad 9、iPhone SE(第2世代)での充電状況を確認します。

確認の結果、iPhone・iPad でそれぞれの高速充電が作動していることを確認できました。

また、本製品は12Vに対応していることから20W 充電器では珍しく iPad を 12V での高速充電が可能です。

・使用感

本製品は、プラグの展開方向が変わっている点を除けば、ごくごく普通の充電器です。

一昔前のデザインとサイズといったところ

近年の同クラスの充電器と比較すると、サイズが大きく、無骨な印象を持ちます。しかし、¥770という価格を考えれば文句をいうのは間違いでしょう。

・大手メーカー製の終焉?

筆者は、過去に多くの20W充電器を本誌上でレビューしてきました。

それらは全て大手メーカー製であり、製品の仕様や品質に問題があることの方が考え難いものばかりでした。

(奥から)ダイソー、Apple、Anker

しかし、本製品はダイソーで販売されているとはいえ、同社は充電器の販売を本業としているわけではありません。そのため、とんでもない製品を販売している可能性すらあると考えていました。

ですが、蓋を開けてみると非常にまともな設計で、大手メーカー製と遜色ない製品になっています。さらに、¥770という大手メーカーが設定し得ない価格で販売されているとなると、「充電器なんて充電できれば良いんだ」という人からすれば、本製品でも十分すぎるくらいです。

サイズやデザイン性を言い出せば、大手メーカー製充電器に敵うことはないでしょう。しかし、製品差別化のために小型化を追求し、プラグが折り畳めない20W充電器がスタンダード化している市場において、筐体は大きいけどプラグが折り畳めるという点でも、逆に一定の需要があるのではないかとも思います。

もちろん、耐久性や保証の観点では、大手メーカーの20W充電器を選ぶ価値は今後も残り続けるとは思います。

・総評

とりあえず買っておこう。

本製品はそういえる製品です。安全性に問題がなかったこと、¥770円という価格を考えれば、具体的な利用目的がなくとも買っておいて損はないでしょう。

また、USB-PD 充電器界隈から見てもゲームチェンジャーと呼べる製品であり、昨今の¥3,000にも迫る高級20W充電器を買うくらいなら、本製品を買って、残ったお金で美味しいランチへでもどうぞ。と言いたくなります。

ただし、コスト抑制のために構造が簡素化され、耐久性に難があったりする可能性がありますので、その点は考慮しておく必要があります。また、製造時にできたであろう薄い傷があったり、価格なりの完成度といえる部分もあります。

購入を検討している方は、お近くのダイソーへお早めにどうぞ。

最終更新日:2023年1月21日

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