みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は Spigen より販売されている75Wカーチャージャー「ArcStation Car Charger PC2200」をレビューします。

本製品は、最大45W、30Wの合計75Wの USB-PD 出力が可能なシガーソケット接続型の USB-C 充電器です。Web上にあまりにも情報がなさすぎて、いつ頃リリースされた製品なのかは定かではありませんが、仕様を見る限りごく最近の製品かと思います。

なお、タイトルで既に怪しい雰囲気が漂っていますが、機能面に制約が付きますので注意が必要です。

・開封

パッケージ

内容物は、本体、取扱説明書、広告

本体

シガーソケット差し込み部

USB-C ポート

エレコム MPA-CCPD10BK と比較

・本体の仕様をチェック

ここでは、充電器の仕様がどのようになっているかを確認します。検証では、12V/10A出力が可能なシガーソケットに接続しています。

Power Data Object(PDO)、USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認し、安全上の問題がないか、景品表示法上の問題がないかを確認します。

PDO および 対応する急速充電規格を確認したところ、PDO は製品の表記などと一致しており、対応する急速充電規格にも大きな問題は見られませんでした。

次に過電流の保護機能が正常に動作するかを確認しました。

過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として充電器には必要不可欠なものです。

確認の結果、USB-A および 30W出力のポートでは問題は見られませんでした。しかし、45W側の20V/2.25A出力が公称値の45Wに届いていませんでした。

公称値には届かないものの、保護機能は有効に動作していることから安全性には問題はありません。ただし、公称値に届かない出力は景品表示法が定める優良誤認に当たる可能性は否定できません。

※30W側の過電流保護機能の復帰が早く、保護機能動作時点での詳細な数値を計測することができませんでした。そのため、それらにおいては推定の数値を根拠としています。

最後に、60W入力が可能なモバイルバッテリー、iPad 10、iPad 9、iPhone 14 Pro での充電状況を確認します。

確認の結果、いずれのデバイスでも高速充電ができていることを確認できました。

・MacBook Air を充電できない

本製品の動作チェックを行ったところ、いずれのポートでも MacBook Air with M2 の充電ができないことが判明しました。

症状としては、「接続 → 充電開始 → 約1分で給電に移行 → 数秒後に給電停止 → 充電開始に戻る」という動作をしており、ひたすらこれをループし続けます。

iPhone や iPad、60W入力のモバイルバッテリーでは同様の症状が現れなかったため、MacBook Air with M2 との相性問題だと推定されます。なお、MagSafe 3 と USB-C ケーブル共に試しましたが、どちらも同じ結果でした。

その他の MacBook シリーズや Intel Mac でも同様の問題が発生するかは不明ですが、MacBook 側の充電仕様はモデル毎にさほど変化がないため、他のモデルでも同じ挙動かもしれません。

・総評

使う環境を選ぶ製品。

本製品はそんな製品だと思います。基本的な安全性に問題はありませんし、シガーチャージャーでありがちな出力が低い点に目を瞑るとしても、特定のデバイスが充電できないという点は充電器としてかなりのハンデを負うことになります。

今回は、MacBook Air with M2 で不都合が出ましたが、1つでも互換性の問題を抱える充電器は他の同等仕様製品でも問題を引き起こします。そのため、影響の範囲や規模が掴み難く、スマートフォンやタブレットで使用するならまだしも、ラップトップとの使用を検討している方は避けた方が良いのではないかと思います。

現時点で、合計75Wの出力が可能なシガーチャージャーは本製品以外に存在しないため、かえが効かないという問題はありますが、出力が低くても他の製品を選んだ方が良いでしょう。

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