みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、Anker 321 MagGo Battery (PowerCore 5000) をレビューします。本製品は、iPhone 12 以降の MagSafe 充電用のモバイルバッテリーで、同社が以前リリースしていた Anker 622 Magnetic Battery (Mag Go) の後継製品と呼べそうな製品です。

・開封

パッケージ

内容物は本体、充電用ケーブル(C to C)、取扱説明書

本体

USB-C ポート

MagSafe 面

バッテリー残量インジケーター

iPhone 14 Pro に装着

・本体の仕様をチェック

本製品は MagSafe を使った充電が前提の製品であるため、USB-C ポートからの充電を行うことは稀だとは思いますが、USB-C ポートを使用した場合のモバイルバッテリーとしての性能を確認します。

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本製品のバッテリー実効容量(実際に充電に使用できる容量)は表記の5,000mAhに対し、15.34Wh(約4,146mAh)であり、この値は表記容量の82.92%に相当します。

エネルギー効率の良いモバイルバッテリーはこの値が80%以上であることから、本製品はエネルギー効率に優れた製品であるといえます。ただし、この結果はあくまでも USB-C ポートを使用した場合の結果であり、発熱が多く、電力変換効率の悪いワイヤレス充電を使用した場合、この限りではありません。

事実、USB-C ポートを使用した充電の場合、iPhone 14/14 Pro をフル充電することが可能ですが、メーカーは本製品の仕様に同機種をフル充電できないと記載(MagSafeを使用と推定)しています。

次に、Qi 規格を使用するワイヤレス充電器に義務付けられている異物検知機能の動作確認を行なったところ、同機能が実装されており、異物を挟み込んだまま充電が開始されるということはありませんでした。

ただし、本製品を含む Qi 規格を採用するワイヤレス充電器全般にいえることですが、コインなどの厚みのある金属製の異物に対しては機能が確実に動作しますが、ゼムクリップや薄い金属製の板を挟んだ場合は、異物検知機能が動作しないことがあります。

事故防止のため、使用前に必ず異物がないかを確認してから使用するようにして下さい。

次に、USB-C ポートの過電流保護機能と対応する充電規格を確認しました。

確認の結果、USB-C ポートは5Vのみの対応、対応する急速充電規格は Apple 2.4A と Android 向けの2Aのみでした。

なお、アナライザー上では PD 3.0 に対応していると通知されていますが、これが通知される場合とされない場合があり、アナライザーにより結果が異なるため、アナライザー側の誤検知である可能性が高そうです。(仮に対応していた場合問題はあるが、保安上の問題になることはないと推定される)

また、USB-C ポートの過電流保護機能についても有用に動作することを確認できました。

最後に iPad 10 での充電状況を確認します。

確認の結果、本製品の最大の出力である12W出力で充電されていることを確認できました。

・使用感

本製品の重量は、実測値で122gと単体では非常に軽量な方だと思います。

しかし、それを200gを超えるモデルが多い iPhone と併用するため、iPhone 14 Pro と使う場合、ケース無しでも339gとかなり手の負担になる重量になります。

ひっくり返しても落ちない

また、充電中の発熱もそこそこあるため、低温やけどの観点から考えても、長時間持つべきものではありません。

長時間の使用が厳しいとなってくると、ワイヤレス充電で充電速度が遅い本製品は分が悪く、コードが煩わしい問題や使用できない時間が生まれたとしても、USB-PD に対応したモバイルバッテリーで早々に充電を完了させてしまった方が合理的といえそうです。

さらに、いくら MagSafe の磁力が強いといっても、持ち方や持つ場所によって iPhone と 本製品が使用中に分離してしまうこともある上、本製品を装着すると、厚みが増す分、かなり iPhone が持ちにくくなります。

単刀直入にいってしまえば、使い勝手はかなり悪い製品で、これ1本という使い方は推奨できず、使うと楽しいサブバッテリーという立ち位置くらいに留めておくべきです。

・製品の必要性

筆者は、MacBook の MagSafe は絶賛する一方で、iPhone の MagSafe については登場時から疑問を呈していました。

特に、充電での使用に関しては当初から否定的で、2020年代において許容されて良い充電速度ではないように感じています。また、アクセサリーとしての使用に関しても、Belkin のカメラマウント辺りから、疑問を感じており、近頃は MagSafe そのものに疑問を感じています。

そのような立場を取る人間からすれば、本製品はあまりにも実用性に欠けた製品で、ガジェット好き以外には不用な製品だと感じます。

特に、ただでさえ充電速度の遅いワイヤレス充電を採用しているにも関わらず、MagSafe の最大値である15Wには対応せず、7.5Wが上限となっている点にはかなりの不満を感じます。さらに、本体の充電所要時間も5,000mAhに4時間程度と、USB-PDが主流の時代には耐え難い遅さです。

「充電速度が全てのスペック重視のお前に向けた製品じゃない」といえば全てですが、女性のみならず男性すら「重い」と感じる重量な上、使い勝手もそれほど良くないとなると、「逆に誰に向けた製品なの?」という疑問が湧いて出てきます。

・総評

オススメはできないが、欲しい人は買えば良い。

本製品の完成度を端的に表すなら、これがしっくりきます。製品として安全性に問題は見受けられませんでしたし、MagSafe がどのようなものなのかを理解した人が買う分には何ら問題はないと思います。

しかし、本製品をメインのモバイルバッテリーとして検討することは推奨できず、あくまでもおもちゃとして時々使う分には楽しい製品と考えておくべきです。

モバイルバッテリーの購入を検討されている方は、他の製品を検討することを強くお勧めします。

最終更新日:2024年3月17日

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