みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
今回は、WWDC23 で発表された Apple Vision Pro を見て感じた、個人的な感想を書いておきたいと思います。
・正直どうでも良い
最初に結論を書きますが、個人的には「どうでも良い」と感じています。
元来より VR がそんなに好きではなく、使用する習慣がないとかそういう話ではなく、単純に「興味がない」という話です。
なら、「わざわざ書くなや」という声も聞こえてきそうですが、今回発表された MR（Mixed Reality）デバイスというものの性質が、私の個人的な変化に気付かせてくれました。
・仮想現実はいらない
仮想現実というと、Perfume の ポリゴンウェイブを思い浮かべる程度に、今も中田サウンドにハマっている筆者ですが、本誌で一番大切であろう「ガジェット好き」という趣向が、近年薄れています。
しれっと、本誌の根底を揺るがしかねない発言をしていますが、この事実を明確に気付かせてくれたのが、Vision Pro でした。
というのも、今年に入り、色々な呪縛から解放された筆者は、日本各地に出かけ、美しい風景や同じ国なのに異なる文化に触れ、感嘆するという日々を送っています。
神橋（日光）
事実、WWDC23 の基調講演が行われていた日も、栃木県の日光に滞在しており、基調講演を視聴していないどころか、Vision Pro の存在を知ったのも翌日の夜という体たらくです。
Apple が Apple Watch 以来、初めて発表した新機軸の製品である Vision Pro は、仮想現実（VR）と拡張現実（AR）を組み合わせた、MR デバイスであり、おそらく凄いものだと思われます。
数年前の筆者であれば、発売日に渡米して購入したでしょうが、現実世界に素晴らしい世界が沢山あることを知ってしまった今、仮想現実は不要で、ゴツい機械で現実を拡張してくれる必要もありません。
要は、仮想現実よりも素晴らしい世界が、万人の目の前にあるんですよ。という話です。
・ガジェットはただの道具でしかない
ガジェットが好きという感覚はそれぞれだと思いますが、筆者は元からそれほどその感度は高くなかったように思います。
というのも、仕事道具である Mac や iPhone に対しても、「仕事道具として大切にはするが、それ以上それ以下でもない」というスタンスを取り続けており、所有することへの優越感や端末自体に付加価値があると信じている人ではありません。
減価償却が完了すれば価値は¥0ですし、新型を持っていようがそれが自慢のタネになるとも思っていません。また、デバイスは販売価格以上のお金を生み出す道具であるため、購入時に価格を気にすることもありません。
ですので、ガジェットはあくまでも使い捨てが前提の仕事道具程度にしか思っておらず、どちらかというと娯楽を全面に押し出した Vision Pro は個人的なガジェットに対する価値観とは一致していないように感じています。
・株主的には
Vision Pro が個人的に必要かと聞かれれば「不要」といいますが、Apple の株主という視点からいうと決してそうではありません。
Vision Pro は Apple として初の MR 製品であり、わざわざ専用 OS を作り、伝家の宝刀「One more thing…」を発動するなど、力の入れようが並のものではありません。
これは、Apple が今後 MR に注力していくことを明確に示し、時代がわずかでもそちらの方向へ向くこととなります。Apple は Apple Watch を収益の柱に育て上げ、スマートウォッチというものを世間に定着させることに成功しました。
Vision Pro は$3,499と、市場普及を狙ったものではないにしろ、いつまでも同社が普及に手をこまねいているとは考え難く、サードパーティ製アプリの増加も手伝い、将来的には一定のポジションを獲得するかもしれません。
近年、App Store を取り巻く環境や、Lightning の廃止を迫られたりと、Apple の収益が減少する外部圧力が数多く存在します。
これらの馬鹿げた奇行も、Vision Pro を礎とした、同社の MR デバイスが新たな収益の柱となれば、収益の減少を回避でき、安定した経営と成長を支え、株価の上昇と安定的な配当をもたらします。
そういった意味で、Apple の MR 戦略は注視してゆく必要があり、今後の同社の成長のための非常に重要かつ必要不可欠な製品だと考えています。
・買うのか買わないのか
不要なものを買ってレビューする。
この傾向が、最近の私に見られる傾向ですが、Vision Pro に関しては残念ながら購入できません。
理由は既に上で述べた通りで、$3,499という価格は日本からヨーロッパを往復できる航空券の価格であり、同じ金額を使うのであれば、今の私には（興味の有無はさておき）ヨーロッパへ行くことの方が価値が高いと感じます。
また、レビュワー的視点から見ても、デバイスを通じないと見えないものをどうレビューするんだという問題もあるため、買ったとて、いつにも増してロクな記事にはならなさそうという理由も0.5%くらいはあります。
・欲しい方は是非とも
魂胆が丸見えですが、ガジェットが好きで、Vision Pro を欲しいと感じた方は、是非購入して下さい。
Apple が提供する製品である以上、一定の品質に達しているでしょうし、先行体験したレビュワー陣からは絶賛ともいえる評価を獲得しています。
Apple の決算上でも存在感が低下し続けている日本市場が、一次発売国に選ばれるかは不透明ですが、日本で発売された暁には、誰よりも早く未来を体験し、その素晴らしさを世に広めて下さい。
