みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、Apple 製品が再び値上げされそうな雰囲気を醸し出してきましたので、約1年ぶり2回目の「Apple 製品そろそろ値上げされるんじゃないか論」を展開しておきたいと思います。

なお、前回に引き続き、この記事はあくまでも筆者の個人的な予測に過ぎませんので、暇つぶし程度に読んでいただければと思います。

・1年で2回の値上げ

Apple はここ1年で、2回の価格改定(値上げ)を行いました。

これは、2022年7月1日に行われた全製品一斉の価格改定と、9月の新製品発表に合わせた価格調整の2つです。1度目は$1=¥110換算だったものを約¥125に改定、2回目は約¥135に改定しました。

初の5G対応など機能は良いが…

1度目の値上げ直前にリリースされた iPad Air(第5世代)の価格推移を見ると、(リリース時価格)¥74,800 → ¥84,800 → ¥92,800(現行価格)といった具合に、約20%の値上げをここ1年未満で経験しています。

この価格改定や為替変動は、Apple の売り上げに大きく影響しており、直近1年の同社の売り上げの「日本」カテゴリーは減少を続けています。

・円の調子は?

そもそも、なぜこんなに円安が進行しているのか?という話ですが、一般的には日米の金利差が影響していると言われています。

これは、日本がデフレからの脱却と称し、マイナス金利を継続している反面、アメリカはインフレを抑制するために利上げ(金利を上げること)を継続しているためです。なお、これを聞くと日銀が金利を上げれば、円安は収束するのではないか?と思われそうですが、日本の経済は利上げに耐えられるような状況ではないため、現在の日銀の方針は経済学上、正しい方針だと思われます。

なお、米ドル以外の対ユーロやポンドなどでも円安状態であり、これが昨今話題の「安いニッポン」を作り出し、インバウンド客が押し寄せている要因です。

しかし、Apple 製品の値上がりの原因となった米国連邦準備理事会(FRB)による米政策金利の利上げも、そろそろ頭を打つのではないかとの見解も出てきており、現在の円安が進行するトレンドはそろそろ終わりを迎えそうです。

ですが、日本はマイナス金利を継続しなければならないほど経済は荒んでおり、昨今の「世界の優良企業を日本に誘致する」という戦略も合わせると、日本政府としては円安が続いた方がことが有利に働くため、円高政策を打ち出すとは考え難い状況です。

そのため、当面は$1=¥130~140程度の間を維持できるよう、努めるのではないかと考えられます。

・そろそろ来るか?

Apple がどの程度の為替変動を許容しているのか、どのような戦略で価格調整を行なっているかは不明です。

しかし、日本円であれば10円程度円安が進むと、同社は確実に価格改定を行う傾向にあります。これは、ここ1年の動向を見れば明らかです。

本稿執筆時点の為替相場は、$1=¥140を前後しており、Apple の製品価格用レートを既に¥5ほど超える金額となっています。春先は¥127程度まで円高が進んだことを考えると、再び円安が進行した形となります。

現時点では¥5となっていますが、為替相場が円安で安定しそうな要因があり、それが半ば国策ともなりつつあるのであれば、Apple も製品販売用レートを再調整し、現在の為替相場に近づけて来るでしょう。

そのため、同社が製品価格用レートを$1=¥140に設定する可能性は十分にあり、3度目の値上げが来る可能性が十分にあります。

・逆に為替変動でこれ以上の値上げはないか

円安進行トレンドが、そろそろ終わりそうな段階に入り、意外にも政府与党から直接的な増税の声はあまり聞かれません。

そのため、3度目の値上げが「最後の値上げ」となる可能性は十分にあり、Apple 製品の価格がそれ以降、上昇することはないかもしれません。とはいえ、「3回の値上げ後に、これ以上値上げはなさそうと言われても…」という感じはしますし、原料高などで根本的な米ドル販売価格が上がれば、製品価格が上がる余地は十分にあるでしょう。

人気だった iPhone 8 シリーズも終焉の時だそうですし

裏を返せば、値下げという希望は全くなく、買い控えのような行為は古いデバイスを延々と使用する事態に陥りますので、絶対に避けるべきともいえます。

・WWDC23 で値上げを余計に確信した話

先日の WWDC23 で、Apple は次期 OS 群や MacBook Air 15インチなどを発表しました。

CAPSULE のサングラスも Apple より発売決定

その際に、MacBook Air with M2 13インチモデルの価格改定が行われました。同社は同製品を、これまでの$1,199から$100の値下げを行い、$1,099〜とすると発表しました。

これは、日本円に換算すると、約¥14,000の値下げが期待できる内容ですが、日本国内では販売価格は据え置きとされました。

先述も触れた通り、これは現在使用されている製品販売用レートと市場レートの乖離が原因で、アメリカでは値下げができる製品も、日本では価格を維持(値上げ)しなければならない状況であることを、明確に示すこととなりました。

そのため、今後も同様の現象が見られる可能性は十分にある上、再び全製品の値上げが行われる可能性が極めて高いことを示唆しました。

・もはやどうにもならないか

昨今の円安は、コロナ禍でアメリカがバカほど市場に金を撒いたことに起因するといわれていますが、根本的には「失われた30年」を現在進行形で続けている日本サイドにも問題があります。

これは、全通貨に対して円安であることをみれば、一目瞭然です。また、世界的に日本経済の停滞があまりに長期間に及び、社会構造に問題を抱えているとの認識も広がりつつあります。一部の大学では、経済学の研究対象(=日本の失敗から学ぶ)として扱われ始めるほどです。

このような惨状では、日本円の価値は未来永劫このままでしょうし、むしろ長期的には低下の一途を辿るのみです。現政府が、有効な経済対策を行なっているかといわれれば、疑問符がつき、円安を生かした政策を推し進めていますが、根本的な解決にはなっていません。

この現状を鑑みると、Apple 製品の価格が上昇することはあっても、今後下がることはないと確信させられます。

ですので、Apple 製品の購入に際し、為替変動を気にしている方は、今すぐにでも製品購入を行うべきですし、今後は発売された瞬間が「色々な意味での買い時」といわれるようになるのかもしれません。