米メディア 9to5Mac によると、Apple は EU圏での Think different. の商標を失ったということです。

Think different. は、Apple が1997年〜2002年に使用していた広告スローガンです。広告は主に30/60秒の白黒映像で、20世紀に活躍した17人の象徴的人物が起用され、当時コンピュータ市場で圧倒的な立場にあった IBM に対抗する趣旨のものです。

日本においても、TVコマーシャルや新聞広告、渋谷の東急東横店壁面に野外広告が出されたほか、映像自体に 故 黒澤明 監督が起用されるなど、多くの人々の目にとまった一時代を彩った非常に有名な広告です。

これは、故 Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏の Apple 復帰とその後の同社の業績回復を決定付けたものでもあります。

Apple はこのプロモーションの展開に合わせ、EU圏で「Think different.」の商標を2回取得しており、現在まで有効なものでありました。しかし、スイスの時計ブランド Swatch が、「独自の広告キャンペーンで使用しており、Apple はこのスローガンを過去10年間に渡り使用しておらず無効である」と主張していました。

この主張は2016年に欧州連合知的財産庁(EUIPO)に提出されていたもので、同機関は2018年に Swatch の主張は合理性のあるものだと判断していました。これに対し、Apple は控訴を行なっていましたが、本日付でそれが却下され、同社は商標権を失うこととなりました。

Swatch は2014年ごろより、発売前の Apple Watch(当時 iWatch と呼ばれていた)を異常なほど敵視し、過剰な攻撃や Apple を批判する広告を展開するなど、異様な言動が続いていました。

さらに Swatch は Steve Jobs 氏が発表会終盤で言い放ち、新製品を出す際に使用していた「One more thing.」の商標も以前に取得しており、商標権を利用した Apple への攻撃は今回が初めてではありません。

Apple が今後、どのような対応を取るのかは不明ですが、Think different. にしろ、One more thing. にしろ、近年では全く使用されていないことから、同社としてはあまり過去にこだわりはないのかもしれません。

 

Via 9to5Mac

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