みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

読者のみなさまは、スマートフォンやタブレットの充電にどのような充電器をお使いでしょうか。

付属品、別途購入した製品など、様々かと思いますが、それらの製品は本当に最速でデバイスを充電できるだけの性能を持っているでしょうか?

近頃では、USB Power Delivery 対応の USB-C 充電器は当たり前、20WでもW数が低いような状況に変わりつつあります。

そんな状況の中、Belkin より新たな USB-C 充電器である Belkin USB-C 充電器 with PPS 60W が発表されました。本製品は、1ポート最大30W、2ポート合計最大60Wの出力が可能な USB-C 充電器で、近年発表されたデバイスの充電に最適化された製品です。

今回は、時代に則した最新の充電器である Belkin USB-C 充電器 with PPS 60W をレビューします。

・開封

パッケージ

内容物は本体と取扱説明書類

本体

USB-C ポート

プラグは折り畳み式

・類似製品と比較

本製品を、同じ Belkin の BoostCharge PRO Dual USB-C GaN Wall Charger with PPS 45Wエレコム MPA-ACCP25WH と比較します。

Belkin 45W と比較

エレコム 40Wと比較

これらの製品と比較すると、Belkin 45W は正方形に近い形をしているのに対し、本製品は長方形、エレコムとは系統が似ています。

仕様や発売時期が異なるため、一概に比較することはできませんが、Belkin 45W は良い製品ではあるものの、正方形に近い形が嵩張っていたので、本製品の長方形のデザインは個人的には良いと感じています。

サイズは異なりますが、Belkin BOOST↑CHARGE PRO 68W USB-C PD GaN USB充電器 に近い使用感を感じました。

・本体の仕様をチェック

ここでは、充電器の仕様がどのようになっているかを確認します。

Power Data Object(PDO)、USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認し、安全上の問題がないか、景品表示法上の問題がないかを確認します。

今回は、2ポートとも同じ結果となりましたので、上段のポートの結果を掲載しています。

PDO および 対応する急速充電規格を確認したところ、PDO は製品の表記などと一致しており、対応する急速充電規格にも大きな問題は見られませんでした。

次に過電流の保護機能が正常に動作するかを確認しました。

過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として充電器には必要不可欠なものです。

確認の結果、5Vと20V出力で1A程度の超過が起こるまで保護機能が動作しないことがわかりました。

一般的に過電流保護機能は、公称値+0.5A程度で作動することが理想とされており、過電流に対する保護機能は有しているものの、有用に動作しているとは言い難いものです。

しかし、一昔前の PPS 対応製品では1A近い超過はいずれのメーカーでも確認できており、この仕様は広く一般的なものでした。また、デバイス側に USB-PD 規格に準拠する完全な保護機能が備わっていれば、安全上の問題は生じません。

とはいえ、1年以内に発売された同社製品ではこの問題が発生しないことを考えると、本製品の制御 IC はやや古く、他の製品に劣る部分といえるでしょう。

最後に各種デバイスでの充電状況を確認しました。

確認に使用したのは、MacBook Air  with M2 13、iPad 10、iPad 9、iPhone 15 Pro、iPhone 14 Pro、iPhone SE(第2世代)で、MacBook で通常充電、その他では高速充電が正常に充電が作動していることを確認できました。

・60W出力ができない点をどう捉えるか

本製品は、合計60W出力が可能な USB-C 充電器ですが、これはあくまでも2ポートを同時に使用した場合であって、1ポート使用時の最大出力は30Wまでとなります。

古い製品なので本体サイズや重量は比較にならないほど違いますけどね

これは、過去に販売されていた製品である Anker PowerPort Atom PD 2 などが1ポート使用時は60W出力が可能であったことを考えると、スペックとしてこれらの製品に劣るようにも思えます。

しかしながら、現在販売されている MacBook シリーズの充電に必要なW数は最低でも67Wとなっており、MacBook Air 13 を除けば60Wでは通常速度での充電もできません。そのため、仮に、60Wの出力ができたとしても、タブレット用(45W)には多すぎる一方で、MacBook には足りないという、非常に中途半端な製品となってしまいます。

そのため、Apple 製品との使用が大前提と考えられる Belkin 製品においては、単ポート最大60Wという仕様は中途半端なものになり、ユーザーからも求められるものではないでしょう。

事実、筆者が Belkin 45W を称賛していた一方で、出力強化版の65W版に中途半端さを感じていた最大の理由に、最大出力がやや低いというものがあります。

・使用感

筆者は、様々な USB-C 充電器を使用してきており、本製品登場前までは Belkin BoostCharge PRO Dual USB-C GaN Wall Charger with PPS 45W がスマートフォンやタブレットの充電に特化した充電器として、日常で使用する製品の1つでした。

しかし、現在は本製品に完全に切り替えており、以前の充電器は使用していません。

その理由は、45W版では20W+25Wという出力であったのに対し、本製品では合計出力が60Wにパワーアップしたことにより、30W+30Wの出力が可能となったことです。

これにより、筆者の機材である iPad 10(30W)と iPhone 15 Pro(25W)を2台同時に最速で充電できるようになり、45W版では最速充電にはやや不足していた出力が完全なものとなりました。

これは、筆者が充電器に求める「対象デバイスを常に最高速度で充電できる」という要件を100%満たすものであり、2023年において、iPad と iPhone を同時充電できる充電器として、これ以上理にかなったものはないでしょう。

さらに、45W版で嵩張ると感じていた筐体デザインの改善(UX)、プラグが折り畳めること、本体デザインが Apple 製品と親和性の高いものとなっていることなど、筆者が USB-C 充電器に求める全ての要素を本製品は満たしています。

・総評

今から買うべきモバイル用 2ポート USB-C 充電器。

本製品はそういっても差し支えない製品であり、広くお勧めできる水準には達していると思います。しかし、過電流保護機能の動作地点が遅い点については、保安上の問題に発展する可能性は低いと思いますが、改善されるべき仕様だと思います。

これは、本製品唯一のイマイチポイントであり、強く本製品をお勧めできない理由です。それ以外については、近年のデバイス事情に則する出力仕様や、スリムな筐体デザインなど、多くの人が満足できる仕上がりとなっていると感じます。

2ポート USB-C 充電器の購入を検討している方は、本製品も検討してはいかがでしょうか。

最終更新日:2023年9月29日

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