みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
今回はここまで、全6回をお届けした現在全国4都市の中川政七商店で開催中の「かしゆか商店 リアルストア」で買い付けしてきた商品をご紹介する記事の最終回です。
最終回の今回は、これまでとは趣向を変え、リアルストアの様子と中川政七商店 奈良本店が入る鹿猿狐ビルヂングの他テナントのお話、その他のよもやま話です。
奈良がフラッグストア扱いか
全国4都市の中川政七商店で開催中の「かしゆか商店 リアルストア」ですが、奈良だけ明らかに様子が異なります。
中川政七商店は、渋谷、奈良、福岡・天神の3店を旗艦店(フラッグストア)として位置付けており、今回のポップアップ開催にあたっても、この3店+かしゆか出身地の広島という、納得の店舗選定となっています。
しかし、この中でも明らかに奈良だけ目に見えて「ガチ」な仕様となっており、中川政七商店の本店にして創業の地であるだけあってか、力の入れようが他とは一線を画すものとなっていました。
店舗入り口
案内板
店主のお出迎え
今回のポップアップ用に製作された小物たちがお出迎え
だるまと提灯
入り口
かしゆか商店のための特別な逸品がお出迎え
店内には藤の花も準備される
一つ一つの商品に丁寧な説明入り
非売品の展示も充実
渋谷・広島・福岡の3店舗が、商業施設の一角にテナントとして入居する都合上、いくらフラッグストアであったとしても、「できること」には一定の制約があることを伺わせる奈良本店の仕上がりとなっています。
特に、季節的に奈良でしか実現しなかったであろう、藤の花との共演は「粋」な計らいで、かしゆか商店のキーカラーである藤色との共演を楽しむことができました。
また、現状開催された3店舗で唯一、入店時に かしゆか商店 の のれん を潜ってお店に入店する事ができ、商店らしい商店な体験になりました。
恐らく、奈良でのポップアップは「中川政七商店が考える かしゆか商店」を忠実に具現化したものであり、フラッグストアの中の「フラッグストア」という思いや熱量を感じさせられました。
ところで…
中川政七商店 奈良本店が入る鹿猿狐ビルヂングには、他にもテナントが入居しています。
私は初日の整理券を回収しに、朝の8時半から並んでいたクチですが、その際に1階にある すき焼き割烹の㐂つね(きつね)のスタッフとシェフの方がお店のご紹介を兼ね、待機者向けにお水を持って来られました。
伝説の整理券
お店のご好意に甘えさせていただいた身であるものの、当日は夕方より大阪で予定があったため、早々に奈良を発たなければならず、お店に伺うことが叶いませんでした。
個人的に、それが気になったのと、お店自体が東京・代々木上原のsioの系列であることを知り、丸の内のo/sio(オシオ)が良かった記憶があったので、日を改めて訪れてみました。
きつねすき焼き重とキウイのドリンク
デザートの酒粕最中
これがまぁ、正解で、2025年に食べた物の中で間違いなく一番美味しいと断言できる物でした。
店名にもなる、きつねの好物である「お揚げ」が、とにかく美味しいこと。甘めの出汁がしっかり染み込んでおり、噛むとジュワッと口の中に広がる味。甘さの中にも出汁の塩味が存在し、言葉では到底言い表せない、とても繊細な味でした。
すき焼きのお肉も柔らかく、「ディナーにすき焼きを食べに来たい…」と新たな欲望を生んでしまいました。
まさかの広島も…
当初の予定には全くなかったのですが、たまたま会期中に広島に行く用事があり、新幹線の利用ついでに、こちらも軽く見て来ました。
シンプルながらも内容は変わらない
こちらはこちらで、通常の売場と分離されているため、コンパクトにまとまっていて非常に見やすい店舗となっていました。
日本の良さに気付かされる体験
これまでに本誌で公開した、かしゆか商店の記事でも触れましたが、私はここ数年、日本各地を旅していました。
その中で、各地の名産品や工芸品に心打たれ、「日本ってこんな一面、物作りがあったんだ」と何度も驚き、学びがありました。
厳島神社
私は、来船品至上主義な傾向があり、特にICT業界では品質や性能が比較の対象にもならない日本企業や日本製は、根本的に検討対象から外しています。
「何でもかんでも日本製にすれば良い」この発想は間違いであり、特定分野ではこの考えを改めるつもりは毛頭ありません。
しかし、いくら海外に住んでいるからといっても、日本人である以上は、日本の文化やライフスタイルには馴染みがあり、これは生涯に渡り不変的な物でしょう。
この日本人として不変的な部分の根幹を支える「物」や「体験」が、文化や伝統を重んじた「日本製であること」は極めて重要かつ意味のあるものであり、生活を豊かにしてくれるものだと信じています。
今回の かしゆか商店は、新たな発見、経験を私に与えてくれ、これまでの考えをより一層高めるとても良い機会となりました。
さいごに
ここまで、全6回に渡りお届けした かしゆか商店 の記事ですが、いかがだったでしょうか。
奈良2日、広島1日という、当初の想定を大きく越え、かなりの時間を使ったイベントとなり、私自身が一番驚いています。
私は一応 Perfume は好きではあるものの、どちらかというと中田ヤスタカ氏と CAPSULE の影響という側面が強い上、Perfume はテクノロジーやインスタレーションを楽しむ現代芸術という認識でした。
そのため、メンバーの個人的な趣味嗜好までは存じておらず、かしゆか商店の開催告知をもって、はじめて一個人の特徴が浮かび上がったくらいです。(3人合わせて Perfume なので、個人が変に目立たないという意味では成功してる?)
かしゆか商店の客層としては、かなり異端な気もしますが、「工芸・民芸品が好き」という気持ちは持ち合わせているため、とても楽しめたイベントでした。
今後があるかは「神のみぞ知る」ことですが、2冊目の かしゆか商店本 ができる頃には再び開催されることを願っています。
・かしゆか商店 リアルストア – 中川政七商店
・古今東西 かしゆか商店 – Casa BRUTUS マガジンハウス