『The world’s thinnest notebook. MacBook Air. 』というフレーズはご存知でしょうか。
10年前の今日。このフレーズと共に、全世界に衝撃が走りました。

・世界を震撼させたノートブックの登場

今や、AppleのMacファミリーでiMacと並ぶ知名度を誇る「MacBook Air」。
10年前の今日、2008年1月15日に開催されたMacworld 2008でお披露目されてから本日で丸10年となりました。

MacBook Airの発表はAppleの発表会史上最もインパクトのあるパフォーマンスを行い、当時AppleのCEOだったSteve Jobs氏がおもむろにマニラ封筒を持ち出し、その中からMacBook Airを取り出す。という当時のノートブックの厚さでは考えられないパフォーマンスを行い、会場がどよめき、大きな歓声と拍手が沸き起こりました。

当時のMacBookはユニボディへの移行前で、ポリカーボネート製で重量は2Kg以上、辛うじて前年にiMacにアルミニウムボディが採用されたという状況。そんな中、 MacBook Airは今まで必要不可欠とされてきたDVDドライブ、Ethernet(有線LAN)、FireWire端子などを取り払い、ワイヤレスの「未来」を見据えた最初のMacでした。

さらに、同社はMacBook Airと共に環境への取り組みでも他社より1歩先を歩き出しました。

MacBook Airはボディの全てがアルミニウムケース、無砒素ガラスの水銀フリーディスプレイ、BFR/PVCフリーの回路基板で構成されており、各界からその取り組みが賞賛されました。これ以降Appleは新製品発売時に環境スコアカードを提示し、今も「環境への取り組み」では非常に高い名声を得ています。

しかし、当時のMacBook AirはCore 2 Duoプロセッサーに2GB RAM、80GBのHDDか64GBのSSDと高負荷な作業に耐えれる性能ではなく、SSDを選択した場合の価格は3,098ドル(30万円)にもなり、同じ金額で17インチのMacBook ProやハイエンドのiMacを購入することができ、大半のユーザーからは受け入れられませんでした。

ところが2010年の10月に開催したSpecial Event「Back to the Mac」で、iPadのデザインとコンセプトを参考にした第2世代のMacBook Airを発表します。これが、現在に続くMacBook Airの原型であり、SSDを標準搭載した初めてのMacとなりました。

この年からMacBook Airは飛躍的な進化を年々遂げてゆき、翌年にThunderbolt端子とバックライト付きキーボードを搭載、その翌年の12年にはUSB 3.0とRAMの8GBオプションを追加、13年にはバッテリー駆動時間を大幅に伸ばし、13インチモデルで最大12時間のバッテリーライフを手に入れました。

また、2010年の刷新に合わせ、価格を999ドルに再設定し、Macシリーズで最も手に入れやすい価格としニッチで高価だったノートブックが、喫茶店や大学、空港、家庭などあらゆる場所で見られる「標準的な」Macになりました。

 

・しかしType-Cという新たな潮流を汲むことはなかった

MacBook Airの進化と地位は約束されたものであると思われていた2015年3月。
突如、AppleはType-C(USB 3.1)と3.5mmイヤホンジャックのみを搭載したMacBookを発表。

それ以来、MacBook Airの目立った更新は行われず、オプションの削減や11インチモデルの終売などでMacファミリーの中でも地味な存在となってしまいました。しかし、その後継として登場したMacBookは、Apple特有のトラックパッドやフルサイズバタフライキーボードなど、MacBook Airが築き上げてきた資産と歴史を確実に引き継いでいます。

このごろ、従来の端子の廃止に躍起なApple。
USBやSDカードスロット、3.5mmイヤホンジャックなど。

これらがなくなり、一時的な痛みを感じているユーザーも多いとは思いますが、MacBook Airで廃止されたDVDドライブやEthernet、FireWire端子を思い浮かべてみてください。これらは、もはや過去のものとなっています。Appleが最初のMacBook Airを出荷したことは世界をワイヤレスへと飛躍的に進歩させ、新たな未来を築きました。今、我々が消滅して痛みを感じている端子は10年後に「過去のもの」と感じる日が必ず来るでしょう。

 

その未来を、MacBookやiPhone Xなどが築くことを期待しMacBook AirとSteve Jobsに最高の敬意を表します。

最終更新日:2018年1月18日