みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、2021年3月12日より発売された Belkin BOOST↑CHARGE PRO 68W USB-C PD GaN USB充電器 をレビューします。本製品は、最大60Wと18Wの2つの USB Power Delivery(USB-PD)出力を備えた AC アダプタです。

本製品は USB-PD 充電器における理想的な設計を具現化したような製品であり、現時点で最高の出来であるといえる製品の1つです。

・フォトレビュー

内容物は本体と取り扱い説明書

上段が18W、下段が最大60W

プラグは折り畳み可能

他の USB-PD 充電器との比較

本製品の本体サイズは、Anker PowerPort Atom PD 2(奥/最大60W)と Anker PowerPort Speed PD 30(手前/最大30W)の中間に位置しています。この中では最も高い68W出力が可能にも関わらず、サイズは30Wよりも一回り大きく、60Wより一回り小さくなっています。

・動作検証

ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電圧に対する保護機能の3点を確認しました。

PDO は表記よりも大きい値の場合、デバイスを過電流により破損させる恐れがあり、小さい場合は景品表示法上の問題が生じます。また、USB- PD 規格では USB-PD 以外の急速充電への対応を禁止しています。過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として実装されています。

問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露見するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。

確認の結果、両ポートともメーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致しており、問題点は見当たりませんでした。また、USB-PD 規格にて禁止されている他の急速充電規格への対応は確認できませんでした。

最後に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。

確認の結果、大きな問題は認められず保護機能は正常に動作するといえる状態であることを確認できました。

なお、上段のポートを使用中に下段のポートの使用を開始する(その逆も)という使い方をした場合、一度全てのポートの出力が停止し、再び通電が開始された時には、両ポート使用時の動作モードに切り替わります。(下段のポートの出力が自動的に最大50Wにまで引き下げられる)

・使用感

本製品は、1ポート使用時最大60W、2ポート同時使用時18W・50Wという電力分配ができるようになっています。

この仕様は、MacBook Air(30W)と iPhone・iPad(18W)を同時に高速充電できるもので、筆者の個人的な環境にマッチしており持ち運ぶ充電器の数を減らせるため、非常に気に入っています。

一般的な2ポート60W充電器は、2ポート同時に使用すると30W/30Wという電力分配となる製品がほとんどです。MacBook Air はともかく iPhone・iPad の充電に30Wもの電力量は不要であり、イマイチ使い勝手が良くないと長年感じていました。

本製品は、その問題を見事に解決しており、iPhone・iPad を高速充電しながら MacBook Air はもちろんのこと、MacBook Pro 13 も少々スピードは落ちつつも充電することができます。

ただし、iPhone 12 以降、Apple 高速充電は20Wに引き上げられており、MacBook Pro 13(2021)に関しても最低67Wの充電器が必要となったことから、最新デバイスには完全には対応しない点は惜しい点といえます。

・総評

これを選べば間違いない。本製品はそう断言できる製品です。

本製品も主に USB-PD 充電器で近年流行している窒化ガリウム(GaN)を採用し、小型、軽量化を図った製品です。また、Belkin の充電最適化技術 IPS により、自動的に接続デバイスの数と必要電力を感知し、それぞれの充電ポートに最適な給電効率を提供するなど、小さなボディにも関わらず充電器として必要十分な機能を持っています。

さらに、未だに規格違反製品が数多くあふれる USB-PD 製品において、規格を忠実に守った堅実な作りがなされていることも高く評価しているポイントです。

本製品の完成度は、極めて高く、一点の文句の付けようもないレベルにまで到達している製品です。2ポートの USB-PD 充電器の購入を検討している方は、本製品を検討してみてはいかがでしょうか。

最終更新日:2022年4月7日