みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

突然ですが、読者のみなさまの充電環境はどの様な状態でしょうか?USB-C 時代になり、用途別のACアダプタが増殖してコンセント周りがグチャグチャ…。というのは、わりかしアルアルかもしれません。今回は、そんな充電器周りをスッキリさせる多ポート USB-C&A 充電器をご紹介します。

今回ご紹介する Belkin BOOST↑CHARGE PRO 4ポートGaN充電器108W は、合計108Wの USB-C&A 出力が可能な充電器です。ノートパソコンとタブレットを充電しながら、スマートフォンやイヤホンを充電するという使い方もできる便利な製品と謳われています。

・開封

パッケージ

内容物は本体、電源コード(2m)、取扱説明書

本体

本体裏面にはゴム足が付いている

電源コード差込口は汎用メガネ型コネクタ

USB 端子部分

既存の USB-A マルチポートアダプタと比較しても、そこまで大きさは変わらない

・USB-A の出力弱くない?

本製品の USB-A ポートは2ポート合計12Wとなっています。

全てのポートを使うことはできる。が、

この12Wというのは、俗にいう Apple 2.4A の 5V/2.4A(12W)であり、USB-A の上限値としては一般的なものです。

しかし、2ポート合計12Wという仕様は、10年前に多く見られた陳腐しきった仕様です。どういうことかというと、両方のポートを同時に使用すると12Wが2つに分割され、1ポート最大6W(5V/1.2A)となります。この1Aという出力は、長年 iPhone に同梱されていた5W充電器と同じものであり、デバイスの充電にとんでもない時間を要します。

10年前の多ポート USB-A チャージャー黎明期ならともかく、2022年にもなってこの仕様はあまりにも使い勝手が悪いものとしか言いようがありません。

・本体の仕様をチェック

ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認しました。

PDO は表記よりも大きい値の場合、デバイスを過電流により破損させる恐れがあり、小さい場合は景品表示法上の問題が生じます。また、USB- PD 規格では USB-PD 以外の急速充電への対応を禁止しています。過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として実装されています。

問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露見するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。

確認の結果、両ポートともメーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致しており、問題点は見当たりませんでした。また、eMarker の識別もできており、3Aケーブルと5Aケーブルにより出力する PDO が異なることも確認できました。

最後に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。

確認の結果、大きな問題は認められず保護機能は正常に動作するといえる状態であることを確認できました。

・使用感

先述の通り、USB-A ポートはあまりにも非力で、せいぜい AirPods や Apple Watch(S7以前)の充電に使用するのが精一杯です。

しかし、USB-C ポートに関しては上手くまとめられている印象で、特に2ポート同時使用で65Wと30Wの出力が可能な点は個人的に非常にありがたかったりします。世の多くの2ポート 100W USB-C 充電器は、2ポート同時使用の際に50Wと50W、60Wと40Wというような割り方が一般的です。

メーカーが想定したであろう使い方(製品画像より)

しかし、Apple ユーザーからすればこの仕様は中途半端で、MacBook Air を充電するには出力が多すぎるが MacBook Pro 13 を充電するには出力が絶妙に低い。という事情があります。その点、本製品は Apple 製品と使用することを大前提として作られているからか、MBA にも MBP にもちょうど良い出力仕様になっていると思います。

もっとも、MacBook Air と MacBook Pro を2台持ちしている人口がどこまであるのか?という点に関しては、ツッコミどころではありますが、高速充電に 30W 出力を必要とするデバイスは iPad Pro や iPhone 13 Pro シリーズなどがありますので、多くの Apple ユーザーが便利に使える仕様に変わりないと思います。

ただし、MacBook Pro 2021 に関しては14インチで最大96W、16インチに至っては140Wの出力を必要とするので、本製品では力不足であることは付け加えておきます。

また、細かい点ですが、マルチポート USB-C 充電器にありがちな USB-C 使用数変更時や電圧変更時の瞬断が本製品にはありません。充電開始音が何度も鳴るのは耳障りで「うっとおしいなぁ」と感じるので、それがないのも非常に良いと思います。

・総評

全てが絶妙に惜しい

本製品を使用していて、私はそう感じています。2022年にリリースされた製品にも関わらず、USB-A の出力が弱すぎる点、最新の MacBook Pro シリーズを充電するにはスペックが足りない点など、「別に普通に使えはするけど、何かが絶妙に足りない」と感じています。

また、製品設計を昨年の9月以前に行ったのかして、仕様に絶妙な古臭さを感じ、「正直、長くは使えないかな」とも思っています。

とはいえ、USB-PD の仕様を厳格に守っている点や、無駄のないデザインには「流石 Belkin」としか言いようがなく、仕様に不満を感じないのであれば「間違いなく買い」といえる製品になっています。

最終更新日:2022年5月11日