みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、Belkin BOOST↑CHARGE PRO 65W DUAL USB-C GAN WALL CHARGER WITH PPS をレビューします。

本製品は、1ポート最大65W、2ポート合計で45W+20W(65W)の出力が可能な USB-C 充電器です。Belkin としては久々のモバイル用マルチポート USB-C 充電器となります。

開封

パッケージ

本体

USB-C ポート

プラグは折り畳み式

30Wと比較

何してんの?

製品の詳細を見ていく前に、品質問題を指摘しておきたいと思います。

まず、開封して一番上に充電器を配置する梱包は、開封時に充電器本体を傷つける恐れがあるので、やめるべきです。また、昨今の…。という BOOST↑CHARGE PPS 37W デュアル充電器の時にも指摘した、お世辞にも出来が良いとはいえないパッケージが本製品でも採用されています。

また、箱の構造がイマイチどうなっているのか把握することができず、取扱説明書が出せませんでした。

取手を引いてもびくともしない

紙製の箱なので、破れば出せるのでしょうが、説明書がなくてもパッケージに色々と書いてあるので、それで十分と思い、出そうとは思いませんでした。

さらに、開封時から謎の白い粉がポロポロ出てくるので、「何だろう?」と思っていましたが、本体を手に取ると本体にそこそこの数が付着していました。恐らく、製造時に使用する接着剤の拭き取り忘れ分が乾燥し、粉になったものだと思われます。

(クリックで拡大)

さらに、開封時点で本体に打傷もあり、ファーストインプレッションは「どうなってんのよ」としか思えませんでした。

近頃の Apple といい、品質の高い製品を作っていたメーカーの USB-C 充電器が、仕様以外の品質が低下しているのはどういう現象なのでしょうか。

本体の仕様をチェック

ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、各ポートの過電流に対する保護機能を確認しました。

問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露呈するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。

なお、65W出力は両ポートとも仕様は共通であったため、上段のものを掲載しています。

確認の結果、メーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致しており、問題点は見当たりませんでした。また、USB-PD 以外の急速充電規格への対応および PPS の実装方法についても問題は見受けられませんでした。

ただし、本製品は65W充電器と案内されていますが、アナライザー上では68W充電器として認識されていました。ですが、アナライザーは常に正しい情報を表示するとは限らず、保安上の問題もありません。

次に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。

確認の結果、保護機能が動作するタイミングは公称値+0.5A程度であり、この程度であればしきい値として妥当なものであることから、保護機能は正常に動作するといえる状態にあります。

最後に、MacBook Air M2、iPad 9、iPhone SE(第2世代)での充電状況を確認します。

確認の結果、MacBook Air・iPhone・iPad でそれぞれの高速充電が作動していることを確認できました。

また、MacBook Air と iPad の同時充電も可能であることも確認できました。

※ ここでいう MacBook Air M2 の高速充電は、30W以上を指しており、30分で50%以上の高速充電ではない。充電には MagSafe 3 を使用。

使用感

上記の検証でも確認できていますが、本製品は MacBook Air と iPhone・iPad を同時に充電することができます。

小型で威圧感も少ない

1ポート使用時65Wとなっている出力も、2ポート使用時には45Wと20Wという風な分配がなされ、ノートパソコンとスマートフォン/タブレットの同時充電用としては理想的な仕様です。

また、プラグが折り畳み式である点、実測106gという軽量な重量も、モバイル用の充電器として最適な理由です。

以前、同等クラスの Anker 725 Charger (65W) をレビューし、「昨今の使用環境には則していないのではないか?」といっていましたが、本製品はその使い勝手の悪さが完全に潰されており、モバイル用の充電器としてはかなり完成度が高いものだと感じます。

また、Apple デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタと比較しても、スペック倍、価格半分(だいたい)となっていますので、Apple 製を買うならばこちらを買った方が幸せになれるでしょう。

ただ、65Wでの出力を1時間以上続けると、本体の一部が53度程度になりますので、低温やけどには注意が必要です。

発売から1年が経過し後継機種も登場

本製品の発売以降、出力を45Wとした製品もリリースされ、同社の USB-C 充電器ラインアップは拡充が続いていました。

2023年の12月になりディズニーコラボモデルも登場するなど、本製品もまだまだ現役で販売が続いていますが、USB-C ポートが3ポートになり、出力が67Wに引き上げられた上位モデルである、Belkin 67W 3ポートUSB-C充電器 が登場しました。

USB-C ポートの向きが変わっていますが

この製品は本製品よりも、より現在の使用環境に則した製品となっており、実質的な後継モデルといえる仕上がりとなっています。

また、USB-C ポートが1ポート増加したことにより、大幅に使い勝手が向上しており、これから製品を購入するのであれば、本製品よりも、新モデルの方が良いでしょう。

総評

間違いなく買い。(と言いたかった)

本製品の完成度を言い表すなら以上の通りとなります。どういうこと?という声が聞こえてきそうですが、製品の仕様や安全性に問題はなく、デザイン性に関してもシンプルで良いものです。

また、Belkin 製であるにも関わらず、他社の同等製品との価格差もなく、「中華製品を買うくらいなら信頼の Belkin でしょ」ともいえます。

しかし、いくら筆者が不良品を引く率が高いとはいえ、本体に傷があることは看過できませんし、接着剤と思わしき白い粉も気分が良いものではありません。

全体の品質がどうなのか?には疑問が残りますが、製品交換などで解決できる問題ですので、欲しい人は購入してはいかがでしょうか。

最終更新日:2023年12月23日