みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
この記事では、Anker 523 Charger (Nano 3, 47W) をレビューします。本製品は最大47W出力が可能なマルチポート USB-C充電器で、2ポート同時使用時は27W+20Wの出力が可能な製品です。
開封
パッケージ
内容物は本体と取り扱い説明書
本体
USB-C ポート
プラグは折り畳み式
類似製品と比較して
本製品は、昨年の夏頃より各社よりリリースされている、2ポート45W付近の製品に該当するかと思います。
Spigen、Belkin、Anker
本誌で過去にレビューした、Spigen GaN 452 2ポート 45W USB-C 充電器 および Belkin BoostCharge PRO Dual USB-C GaN Wall Charger with PPS 45W と比較すると、本製品は他製品よりも僅かにスリムな筐体となっています。
縦幅としては、本製品が最も長いため、トータルとしてはいずれの製品とも大差はありません。
Apple AirMac Time Capsule にも見えなくもない
性能と価格が見合っていない
筆者は、レビュー目的で本製品を購入しており、実使用の予定はありません。
そのため、価格についてあまり考えていませんでしたが、よくよく考えると、本製品は同クラス製品の中で群を抜いて高額な製品です。
先ほど比較した、Spigen が¥4,290、Belkin が¥3,951(共に定価)であることを考えると、本製品の¥5,490という価格設定は、かなり強気です。
本製品は、他の製品が合計45W出力なのに対し、合計47W出力で、2ポート同時使用時に27Wと20Wを出力できるようになっています。また、デザインに関しても少し凝った仕上がりです。そのため、ある程度の価格差は致し方がないといえますが、最大30%にも迫る価格差はこの差だけでは説明できない、異常なレベルです。
現在の円安トレンドを考えると、ある程度致し方がないようにも思えますが、Spigen も Belkin も海外メーカーであり、状況は似たり寄ったりです。
そのため、ここまでの価格差が存在する理由は「Anker ブランド」以外に考えられず、これに価値を感じるかどうかで本製品に対する評価は大きく変わってきそうです。
本体の仕様を確認
ここでは、充電器の仕様がどのようになっているかを確認します。
Power Data Object(PDO)、USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認し、安全上の問題がないか、景品表示法上の問題がないかを確認します。
確認の結果、メーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致していませんでした。また、USB-PD 以外の急速充電への対応も確認できました。
PDO(APDO)は、PPS に関するものが、製品から通知された内容と取扱説明書や本体記載のものと一致していませんでした。一致していない項目は、3.3-11V/4A の項目で、本製品がこの出力が可能であることは、どこにも記載されていません。
USB-PD 充電器は、規格上、USB-PD 以外の急速充電に対応することが禁じられています。にも関わらず、本製品は Quick Charge への対応が確認できました。ただし、他の急速充電規格と USB-PD を安全に両立することも可能で、本製品も安全な形で実装されています。そのため、実使用上の問題はありません。
次に過電流の保護機能が正常に動作するかを確認しました。
過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として充電器には必要不可欠なものです。
確認の結果、保護機能が動作するタイミングは、いずれも公称値+0.5A程度であり、この程度であればしきい値として妥当なものであることから、保護機能は正常に動作するといえる状態にあります。
最後に、MacBook Air M2、iPad 10、iPad 9、iPhone 14 Pro、iPhone SE(第2世代)での充電状況を確認します。
確認の結果、全てのデバイスでそれぞれの高速充電が作動していることを確認できました。
また、iPad と iPhone の同時高速充電も可能であることも確認できています。
※ ここでいう MacBook Air M2 の高速充電は、30W以上を指しており、30分で50%以上の高速充電ではない。充電には MagSafe 3 を使用。
使用感
本製品を数日使用してみましたが、至って普通の充電器という感想しかありませんでした。
手前に迫り出してくるため、類似製品より威圧感がある
先ほどの比較でも登場した同等製品と比べ、体感できるアドバンテージは特にありませんでした。大昔に同社がリリースした Anker 521 Charger (Nano Pro) と比較すると、若干の出力向上により、最新のデバイスでは充電速度が向上するというメリットはありますが、それは何も本製品に限ったことではありません。
重量は実測値で84gと、類似製品よりも数g重いだけで、誤差の範囲となります。発熱に関しては、最大61度と、低温やけどの可能性はあるものの、常識的な範囲内でした。
総評
購入の選択肢に入れなくて良い。
本製品はそんな製品です。製品の仕様に問題はありませんが、表記と製品内容が一致していないこと、価格設定が斜め上なことを鑑みると、購入の選択肢に入れる必要はないかと思います。
同社のブランド化について、どうこういうつもりはありませんが、現状では無駄に高額なだけの製品ですので、Anker というブランドに強いこだわりがある方以外は、他の製品を検討してはいかがでしょうか。