みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、Anker 521 Charger (Nano Pro) をレビューします。本製品は、2つの USB-C ポートを備えた USB-PD 充電器です。iPhone や iPad の2台同時高速充電、1ポート使用であれば MacBook Air くらいならノートパソコンも充電できる製品となっています。

ところで、近頃、製品名が数字になり、それっぽい名称がカッコ書きになる謎の戦略をとっている Anker ですが何がしたいのでしょうか。このところ、他製品でも変なことをしているところを見ると、迷走期にでも入っているのでしょうか。

なにはともあれ、モバイルデバイスの充電に最適な充電器が Anker より登場しましたので、レビューしていきます。

・開封

パッケージ

EC購入でも量販店パッケージに変更(?)

内容物は本体と取扱説明書類*2

本体

プラグは折り畳み不可

・511 Charger との比較

本製品登場前より、同社は本製品の1ポート版となる 511 Charger という製品を販売しています。

これらを比較すると、ポート数の違いはあるものの、デザインや一部の仕様に類似点で多く、姉妹製品として考えるのが妥当かと思います。

大型化している

プラグ部分

コンセントに挿すと大きさの違いが目立つ

流石に、1ポートの製品と比較すると「かなり大きくなったな」と感じますが、2ポート製品としてはかなりコンパクトに仕上げられている印象を持ちました。特に、電源タップに挿したときに周囲のコンセント口に干渉しないのはかなり優秀だと感じます。

・どこで使うか

先述の通り、本製品は2つの USB-C ポートを持つ充電器としてはかなりコンパクトに仕上がっています。

しかし、手に持つと「ずっしり重い」と感じます。コンパクトなボディに様々な部品が入っている都合上、ある程度は致し方がない部分もありますが、85gという重量以上に重く感じます。

また、本製品はプラグを折り畳むことができない点からも、どちらかというと持ち運びよりも家のコンセントなどに挿しっぱなしを想定した製品なのではないかと思います。

また、511 Charger の低発熱と比較すると「そこそこ熱を持っているな」と感じる程度には発熱もあり、511 Charger の低発熱・軽量とは一線を画す存在であり、2ポートが故の差異は明確にあるように感じました。

・仕様を確認

ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認しました。

PDO は表記よりも大きい値の場合、デバイスを過電流により破損させる恐れがあり、小さい場合は景品表示法上の問題が生じます。また、USB- PD 規格では USB-PD 以外の急速充電への対応を禁止しています。過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として実装されています。

問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露見するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。

確認の結果、メーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致しており、PPS を含めて問題点は見当たりませんでした。ただし、急速充電に関しては USB-PD 充電器は USB-PD 以外の急速充電規格に対応することを禁じているガイドラインに反し、Quick Charge などへの対応が見られます。こちらについては、Anker 製品ではお馴染みとなる仕様かつ、実装方法に問題は見受けられなかったため、安全性への影響はありません。

最後に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。本製品の仕様は、1ポート最大40W、2ポート使用時最大20Wずつとなっています。

確認の結果、大きな問題は認められず保護機能は正常に動作するといえる状態であることを確認できました。

また、これを見ても「気休め」もしくは「iPhone 充電できてるよ!!」としかいえないチェッカーを使った電流チェックも行いました。

9.18V/0.8A(約7.3W)

iPhone SE(第2世代)を接続したところ、ちゃんと充電できて…。高速充電ができていることを確認できました。なお、2ポート同時利用の場合でも問題なく両方のポートで急速充電ができていました。

・PPS の仕様がおかしい?

本記事を公開した後、読者の方より「PPS が3Aに届いていないけど、これでもOKなの?」というご質問をいただきました。

確かに、本製品の PPS は2.5Aとなっており、一見すると3A以上が多い PPS の仕様にマッチしていないように思われます。

しかし、45W以下の場合は(PDP(40W)÷15)= A が PPS の実装基準となり、2.6A 程度あれば良いことになります。本製品はそれよりもやや低い2.5Aとなっていますが、許容範囲内であるといえ、この仕様に問題はなく、規格に沿った実装であるため、PPS 機能も正常に動作します。

・総評

2ポート充電器のニュースタンダード。

とまではいいませんが、モバイルデバイスの充電であれば様々なシーンに対応することができる製品であり、十分オススメすることができる製品です。気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

最終更新日:2022年4月18日