みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
読者のみなさまはどんな USB-C 充電器をお使いでしょうか?20W程度の小型のものから、MacBook Pro 16 の140W充電器まで、様々な充電器が流通している昨今ですが、意外にも複数のポートを備える製品を使っている方は少ないのではないでしょうか?
それもそのはず、現状ではマルチポート USB-C 充電器の設計は技術的難易度が高く、存在したとしても「かなり微妙」と言わざるを得ない製品が多いのも事実です。特に、高出力になればなるほどその傾向は強くなり、「まだまだマルチポートは…」と感じる方もいるかもしれません。
今回は、そんなみなさまにオススメしたい「Satechi 108W USB-C 3-Port GaN Wall Charger」をレビューします。本製品は、最大108Wの出力が可能なモバイル用3ポート USB-C 充電器です。
・開封
パッケージ
内容物は本体と取扱説明書
本体(アルミっぽいプラスチック)
プラグは折り畳み式
USB-C は上部に固められている
通電ランプ(白色)
各種表記。PSEマーク取得済(クリックで拡大)
・複数ポート使用時の仕様
USB-C 出力が複数あるマルチポート充電器において、複数のポートの同時使用中の挙動は最も注意して確認しなければならない点であり、憂慮すべき点でもあります。
しかし、本製品は(少なくとも私の使い方では)理想的な出力配分となっています。
上記が本製品の出力分配図となっています。私の主な使用用途は65W/20W/20Wで、これは MacBook Air(60W)、iPhone(20W)、iPad(20W)を同時に高速充電できるものであり、私の使用機材をこれ1つで充電できる優れものです。(Apple Watch はどうすんだという話はある)
これにより、これらのデバイスの充電のために持ち歩いていた計2つの充電器を1つにまとめることができ、何かとかさばる充電器を削減することができます。また、この充電器には出力が固定されるという概念がなく、例えば65W/20W/20W(USB-C 1/2/3)の組み合わせが20W/20W/65W、20W/65W/20Wになっても動作するのは使用するポートを適当に選んでも使えるため、非常に便利です。
また、マルチポート USB-C 充電器にありがちな、USB-C 使用数変更時や電圧変更時の瞬断が本製品にはありません。小さな点ですが、充電開始音が何度も鳴るのは耳障りで「うっとおしいなぁ」と感じるので、それがないのも非常に良いと思います。
さらに将来的に全ての iPhone/iPad の高速充電が30Wまで引き上げられた時でも、(Apple が変なことをしなければ)45W/30W/30Wでも使用することができ、かなり長期に渡り使用できるのではないか?と考えています。
・本体の仕様をチェック
ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認しました。
PDO は表記よりも大きい値の場合、デバイスを過電流により破損させる恐れがあり、小さい場合は景品表示法上の問題が生じます。また、USB- PD 規格では USB-PD 以外の急速充電への対応を禁止しています。過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として実装されています。
問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露見するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。
確認の結果、両ポートともメーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致しており、問題点は見当たりませんでした。また、eMarker の識別もできており、3Aケーブルと5Aケーブルにより出力する PDO が異なることも確認できました。(PDOと対応する急速充電規格は全てのポートで同じ)
最後に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。
確認の結果、大きな問題は認められず保護機能は正常に動作するといえる状態であることを確認できました。
・使用感
これまで使用してきた USB-C 充電器の中で最も使い勝手が良く、外出先で使うために購入しましたが、自宅でもガッツリ使うほど気にいっています。
下に長いがそこまで不便でもない
自分のデスク周りでは、Satechi 165W USB-C 4-Port PD GaN Charger を使用していますが、気分転換で別の部屋で作業する際やリビングで家族の iPhone や iPad と同時充電できたりと、何かと使い勝手が良く家の中でも「モバイル」を十分に発揮してくれています。
また、本体重量も198gと iPhone 13 Pro よりも軽量で、他のマルチポート 100W USB-C充電器と比較しても群を抜いて軽量です。
ただし、さすがに使用中の発熱については注意した方が良いレベルで、最大61度を記録しました。
1ポート100W出力1時間継続時
最も熱い端子周りで60度台であり、その他の部分については40〜50度台であるため、触った瞬間にヤケドをする心配はありませんが、本体に触れると触らない方が良い程度に熱いため、取り扱いには注意する必要があります。もっとも、先日登場した発熱野郎よりは全然マシなレベルですが。
・総評
モバイル用の USB-C 充電器の最高傑作。本稿執筆時点ではそういえる製品だと思います。
何やらデジャブ感のある感想ですが、本製品はノートパソコンも充電できるというオールマイティな部門での最高傑作であり、現状この形状の USB-C 充電器において本製品の右に出る物はないでしょう。充電器としての仕様に問題がないことに加え、ユーザーの利便性も十分に考慮された製品に仕上がっていると思います。
もはや、成熟しきった安定感すら感じることができ、USB Power Delivery 規格(EPRを除く)に準拠するデバイス用としては最善だと思います。
ただし、MacBook Pro 2021 との組み合わせにおいては、若干の出力不足や組み合わせの悪さが存在しますので、MBP ユーザーの方は悩ましい部分があると思います。また、本製品は現時点では日本国内での販売は行われていません。さらに、価格も$74.99+送料(約¥10,000)と、なかなか気軽に購入できるとは言い難い価格となっています。
入手性にやや難がありますが、非常に良い製品ですので気になる方は購入してはいかがでしょうか。
販売ページおよびメーカーホームページはこちら。
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