みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
読者のみなさまは、モバイルバッテリーはお使いでしょうか。筆者はモバイルバッテリー懐疑派であり、ここ数年全く使用していません。
しかし、それはあくまでも個人的な話であり、家族から「貸してよ」といわれることは結構な頻度であります。その時に、5,000mAhクラスを探したところ、現代の使用環境に則した製品がなかったため、久々にモバイルバッテリーを買う気になってしまいました。
その際に一際目を引いたのが、準固体電池モバイルバッテリーを採用し高い安全性を謳う、HAMAKEN WORKS HW-SSPB050 でした。
今回は、モバイルバッテリーの新機軸の1つとも呼べそうな製品をレビューします。
開封
パッケージ
中身
内容物は本体、ケーブル、取り扱い説明書
本体
本体裏面
本体端子は USB-C のみ
バッテリー残量インジケータは4段階
USB-PD 出入力中はグリーンのランプも点灯
比べてみる
本製品は、5000mAhのモバイルバッテリーですが、非常に薄く、軽量(実測111g)です。
といわれたとて、薄さやサイズ感が掴みにくいと思いますので、iPhone 16 Pro と古い同クラスのモバイルバッテリーと比較してみました。
iPhone(8.25mm)より薄い
4,200mAhのモバイルバッテリーと同等サイズ
端子は極めた感がある
2010年代初頭に発売されたモバイルバッテリーと比較するのはどうかとも思いますが、端子は USB-A から USB-C に改められ、出力も10.5Wから USB-PD の22.5Wに大幅に強化されたにも関わらず、サイズに変わりがないことに驚かされます。
本体の仕様を確認
一般的にモバイルバッテリーの表記容量は、その全てを充電に使用できるわけではなく、発熱や電圧の調節により一定のロスが生まれます。このロス率が20%程度である製品は、モバイルバッテリーとして性能が高い製品と呼べます。
本製品のバッテリー容量の表記は、5,000mAh(19.25Wh)となっています。それに対し、実際に有効に使用できる容量である実効容量は17.73Wh(約4,792mAh)となりました。
これは、表記容量の95.84%に値し、効率の良いモバイルバッテリーはこの数値が80%以上であることから、本製品はエネルギー変換効率に優れた製品だといえます。
なお、本製品は100Wh以下のバッテリー容量であるため、手荷物かつ手元での保管に限り航空機への持ち込みが可能です。
USB-C ポートの仕様および過電流保護機能については、以下の通りとなりました。
- PDO
- 対応する急速充電規格
- 付属のUSB-Cケーブル
- 12V
- 9V
- 5V
各種デバイスへの給電状況は以下の通りとなりました。
- iPad
- iPhone
確認に使用したデバイスは、iPad Air 6 および iPhone 16 Pro で、高速充電が動作していることを確認できました。
なぜ本製品を選んだのか
本製品は、5,000mAhのモバイルバッテリーとしては異常な価格設定です。
同じような性能を持つ他社製品が¥3,500程度であるのに対し、本製品は¥6,980と倍程の価格差があります。
しかし、筆者は本製品を高いとは感じていません。その理由は、本製品が2,000回の充放電サイクルを謳っているためです。
他製品で採用されているリチウムポリマー電池の充放電回数は500回が一般的であり、本製品はその4倍の充放電回数があるとされています。すなわち、普通のモバイルバッテリーを買うと4回の買い換えが必要な期間、買い換えが不要となる訳で、¥3,500×4よりも本製品の方が圧倒的に経済性に優れます。
その経済性の良さの秘訣として、本製品最大の特徴である準固体電池に行きつきますが、経済性の高さ以外にも、安全性という面でも従来の製品とは一線を画します。
販売元によると、釘を刺したり、落下させたり、強い衝撃を与えても発火することなく、液漏れや爆発の心配がないとしています。
これは、モバイルバッテリーに限らず、リチウムイオン電池を採用する全ての製品にいえることで、どれだけ高い品質と安全性を考慮した製品であったとしても、電池の特性上、ユーザーが誤った使い方をしてしまえば一巻の終わりです。
近年では、航空機を全損させる事故にまで発展させた身近な危険物であるモバイルバッテリーだからこそ、自身の安全と共に周囲の安全にも配慮して製品を選択する必要があります。
その意味で、本製品の燃えないという仕様は非常に価値のあるものだと感じます。
デメリットはある
向かう所敵なしのように見える本製品ですが、唯一にして最大の懸念点があります。
それが、販売メーカーが充電池の廃棄・回収時に必要な業界団体である、JBRCに加入していません。
これにより、家電量販店などで実施されている充電池搭載機器の無料回収制度を利用することができず、処分は産業廃棄物として本体代を超える金額を支払って処分する必要が生じます。
この点について、以前なら発狂していましたが、筆者がいる自治体において無条件の無料回収が開始されたため、強く非難することはしません。
また、日本政府も指定再資源化製品にモバイルバッテリーなどを追加する方針を示しており、処分に対するハードルが今後改善されることが予想できます。
ただし、現行制度において日本全国あまねく気軽に処分できない状態は好ましくないといえ、この点が本製品最大のデメリットであり、メーカーの無責任さを感じる部分です。
※環境省通達により、リチウムイオン電池内蔵製品の自治体回収が要請されていますが、本稿執筆時点では全国すべての自治体で回収は行われていません。
使用感
本製品は他の製品にはない特徴を多数持っているモバイルバッテリーではありますが、だからといって使用に際して特別な何かがある訳ではありません。
薄型で重ね持ちもしやすい
使い出してしまえば、良くも悪くも普通のモバイルバッテリーであり、特段言及すべきことはありません。
しかしそのことの裏を返せば、万人が何の不満もなく使用できる製品に仕上がっているといえるでしょう。
総評
モバイルバッテリーという物自体が前時代的なガジェットである以上、本製品を万人に勧めることは相応しくないと感じます。
しかし、物自体の完成度は高い印象を受け、モバイルバッテリーの慢性的な問題である発火リスクを低減できる点や、耐久性の高さなど極めて高い価値を有している製品だと思います。
小容量のモバイルバッテリーが欲しいという方が、本製品を選ぶことは非常に価値のあることだと思いますので、気になる方は購入してはいかがでしょうか。