みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、エレコムより販売されているカーチャージャー「EC-DC10BK」をチェックします。なお、量販店などでの型番は「MPA-CCPD10BK」となります。

本製品は、USB-C と USB-A を搭載したシガーソケットに接続するタイプの USB-C 充電器で、合計最大57Wの出力が可能な製品です。

・開封

パッケージ

本体

シガーソケット差し込み部

上段に USB-A、下段に USB-C が配置

通電時と USB-A 使用時ばブルーに点灯

USB-C 使用時はレッドに点灯

・注意点

製品をレビューする前に、本製品を使用するにあたり注意すべき点をご紹介しておきます。

本製品は、12V/24Vのシガーソケット(入力)に対応しており、乗用車・トラック・バスなど様々な自動車で使用できるとされています。しかし、本製品を動かすために必要なA(アンペア)数は明記されていません。

一般的な乗用車の場合、12V/10A(120W)が採用されていることが多いようですので、自動車での使用であれば特に問題は発生しないと思われます。しかし、ポータブル電源など、12V/10A以下のシガーソケットでは本製品は正常に動作しない恐れがあります。

実際、ポータブル電源で確認したところ、12V/3A(36W)のシガーソケットでは正常に動作しませんでした。これは、本製品の合計出力の57Wに電力供給が届いていないためで、考えれば当然のことですが、筆者は自家用車はおろか、免許すら持っていないズブの素人であるため、正常に動作せず数時間頭を抱える羽目になりました。

あくまでもカーチャージャーであるため、車内での使用を目的に購入される方が大半かと思いますが、その他のシガーソケットでの利用を考えている方は、この点には注意が必要です。

・本体の仕様をチェック

ここでは、充電器の仕様がどのようになっているかを確認します。検証では、12V/10A出力が可能なシガーソケットに接続しています。

Power Data Object(PDO)、USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認し、安全上の問題がないか、景品表示法上の問題がないかを確認します。

PDO および 対応する急速充電規格を確認したところ、PDO は製品の表記などと一致しており、対応する急速充電規格にも大きな問題は見られませんでした。

次に過電流の保護機能が正常に動作するかを確認しました。

過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として充電器には必要不可欠なものです。

確認の結果、USB-A および 12V/3A までで問題は見られませんでした。しかし、15V/3A および 20V/2.25Aにおいては、公称値のA数にいずれも届いていないことがわかりました。

公称値には届かないものの、保護機能は有効に動作していることから安全性には問題はありません。ただし、公称値に届かない出力は景品表示法が定める優良誤認に当たる可能性は否定できません。

最後に、MacBook Air with M2、iPad 10、iPad 9、iPhone 14 Pro、iPhone SE(第2世代)での充電状況を確認します。

確認の結果、いずれのデバイスでも高速充電ができていることを確認できました。

なお、USB-A に関しては Apple 2.4A にしか対応していない古いデバイスが手元にないため、iPhone 14 Pro(充電10%以下)で確認。1Aでの充電となりました。

※ ここでいう MacBook Air M2 の高速充電は、30W以上を指しており、30分で50%以上の高速充電ではない。充電には MagSafe 3 を使用。

・使用感

筆者は、本製品を自動車で使用するために購入しているわけではありません。

そのため、本筋からはかけ離れた視点、普通の57W充電器としてのレビューとなりますが、「まぁ、USB-A が要らない」という感想しか持ちませんでした。

おそらく、本誌をよくご覧いただく方の中には「また、こんなこといってるよ」と思う方もいるかもしれませんが、USB-A を使用するアテが個人的にはないため、「余計なポートが1つついてるな」という印象です。

夜間に存在を確認することはできるものの、USBポートがどこにあるかまではわからない

それ以外の点でいえば、通常の45W USB-C 充電器である EC-AC13WH のレビューの時にもいいましたが、今のご時世に45Wは中途半端でないか?と感じます。45Wは、MacBook を充電するにはやや非力、iPhone・iPad には過剰過ぎる。という問題があります。

これは、製品というよりはデバイス側の都合であるため、一概にはいいませんが、スマートフォンの充電用に買うのであればここまで大きなものは不要でしょうし、ラップトップの充電用として購入するなら、もう少し大きなW数の製品を選んだ方が良いでしょう。

・総評

色々と微妙な製品。

本製品はこれくらいの完成度かと思います。安全性に問題は認められませんでしたが、15V・20Vの出力が公称値にはやや届いておらず、45W充電器というよりも40W充電器ではないか?といいたくなります。

これは、シガーチャージャーに広くいえることですが、コンセントを使用するACよりも全体的に出力が弱くなる傾向があります。そのため、充電時間への影響もごく僅かながらもある可能性は否定できず、これであればシガーソケットからコンセントを引ける製品を使用し、そこに通常の USB-C 充電器を接続すれば良いのではないかと思います。

また、USB-A ポートの使い道もそれほどなく、中途半端につけるならば、USB-C への転換や USB-C 1ポートの60Wが良いように感じました。

最終更新日:2023年1月28日

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