みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
この記事では、iPhone 15 シリーズより iPhone でも採用が開始された USB-C 端子について、Apple ユーザーのみなさまにザックリとご紹介します。
2つの違い
iPhone は iPhone 5(2012)より、11年間に渡り、Lightning 端子を採用してきました。
Lightning 端子は、Apple が開発した独自規格で iPhone を含む様々な同社製の製品の充電・転送用ポートに採用されてきました。
しかし、これが2023年発売の iPhone 15 シリーズより、USB-C に変更となりました。
両者とも、リバーシブルである点、従来端子よりも小型化されているという点では共通していますが、Lightning 端子は Apple 製品でしか採用されなかったのに対し、USB-C は世界中の様々なデバイスに広く採用されている端子です。
また、少しマニアックなことをいうと、Lightning はケーブル側が端子の凸であるのに対し、USB-C はケーブル側が凹となる構造となっています。
実はそんなに変化はない
充電端子が変更となり、既存の iPhone ユーザーはデバイスの買い換えに伴い、少なくともケーブルを買い換える必要が生じます。
そのため、USB-C への移行により様々な変化があると考えがちですが、実はそうではありません。
例えば、ケーブルを使用した有線充電の場合、iPhone 14 シリーズと iPhone 15 シリーズでは最高充電速度に変更はありません。また、アダプタを使用すれば SDカードを読み込んだり、HDMI 経由でディスプレイ出力ができる点も変わりません。
USB-C 化による唯一の変更点として、iPhone 15 Pro モデルではデータ転送速度が最大10Gbps(USB3)に向上しましたが、iPhone 15 と 15 Plus では従来通り480Mbps(USB 2.0)が維持されています。
そのため、今回の USB-C 化は「中身はほとんど変わらないけど、外見が大きく変わった」、人間でいうところのイメチェンをしました。という程度の変更です。
イメチェンの理由は?
Apple がわざわざ独自端子を捨てて、USB-C にイメチェンした理由は、EU圏での販売規制をクリアする目的しかありません。
EUは、2024年より域内で販売される特定の電子機器は、e-waste(電子ゴミ)の削減を目的として、充電端子に USB-C を採用しなければならないという規制を導入します。
Apple Pencil などの超小型デバイスは対象外なんですけどね
この規制をクリアするためだけに、Lightning の従来機能を維持したまま、USB-C に移行したため、端子形状が変更になっても、大きな変化は生まれませんでした。
また、そもそも論として Lightning 端子自体が、USB 規格の基本的な部分を踏襲して作られたものであることも、形状変更による変化が少なかった理由の1つです。
USB-C 化のメリット
既存の iPhone ユーザーにとって、iPhone の USB-C 化はケーブルなどの手持ちのアクセサリ類を使用できなくなるデメリットが目立ってしまいます。
しかし、先述の理由の通り、今後は全ての Apple 製品で USB-C が採用される見込みであり、遅かれ早かれ、いずれかのタイミングで USB-C に移行しなくてはいけません。
この移行には、市販の USB-C アクセサリー類が使用できるというメリットがあり、従来までは Apple の認証を受けたケーブルが充電に必要でしたが、認証がない一般的な USB-C ケーブルで iPhone を充電できるようになります。
そのため、ケーブルを筆頭に各種アダプタ類の入手価格が大幅に下がり、従来までは一般的ではなかった iPhone への SSD 接続などもできるようになったため、iPhone の汎用性がさらに向上しました。
とはいえ、安価な粗悪品でも使用できてしまう可能性があり、これにより iPhone が破損したりする可能性もあるため、諸刃の剣となる可能性を理解しておく必要はあります。
端子変更は必然
今回、iPhone の充電端子が変更になったことに、ガジェットファンは歓喜している傾向にあります。
しかし、一般的に考えれば、過去の製品との互換性が損なわれるという点においては、迷惑極まりない変更で、大半の人はこう感じているかもしれません。
とはいえ、この類のものは時代の変化に大きく影響を受けるもので、Apple 製品だけでも FireWire から 30ピン Dock – Lightning – USB-C と、21世紀に入ってから3回も端子形状の変更をしています。
そのため、端子形状の変化とアクセサリ類の買い換えというイベントは、デジタル社会においては避けることができないイベントであり、定期的なイベントの1つとして受け入れていくほかありません。
また、いつの間にか消耗・陳腐化してしまったアクセサリ類を買い換える絶好のチャンスでもあるため、iPhone とその周辺機器を安全に使用するという観点からも、この辺りで Lightning が撤廃されたのも合理的考えることもできるかもしれません。