みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

この記事では、充電器やケーブル、パソコンのポートなどで馴染み深い USB-A と、近年急速に普及が進む USB-C の違いをご紹介します。

・USB-A と USB-C の違いは速度の違い

USB-A と USB-C の決定的な違いは、まず見た目にありますが、それ以外にも「2つの速度」が両者の重要な大きな違いといえます。

1つは、扱える電気量の増加による充電速度の違い、もう1つは通信速度です。

左が USB-A、右が USB-C 端子

1つ目の充電速度の違いについては、USB-C の特筆すべき優れた機能の1つです。

USB-C 端子は USB による電力供給規格 USB Power Delivery(USB-PD)に対応させることができます。この USB-PD は、USB 端子による最大240Wまでの電力供給を可能にするものであり、スマートフォンからノートパソコンまで幅広い機器の充電に使用できるよう考慮された規格です。

従来の USB-A は、最大15Wまでの電力供給であり、元々はデータ転送を目的として作られたものであるため、扱える電気量には限界があります。

そのため、近年では充電速度の短縮を目的として、より大きな電気量が扱える USB-C 端子がスマートフォンやその充電器などに積極的に採用されています。

2つ目の違いの「通信速度」は、USB 端子を使用したデータ転送(パソコンとスマートフォン間など)の際に違いが出るものです。

従来の USB-A の最大転送速度は、理論値で 5Gbps です。これを USB-C では、最大40Gbps にまで引き上げており、単純計算で8倍の速度差となります。

そのため、従来まで USB-A で1分かかっていたデータ転送が、USB-C を使うと8秒程度で完了することになります。(理論値上)

これら2つが USB-A と USB-C のざっくりとした違いであり、USB-C は USB-A を進化させたものであることがお分かり頂けるかと思います。

注:この記事は大まかな違いを紹介するものであり、細かな規格区分は行なっておらず、その他にも存在する USB-C 特有の機能についても紹介していません。

・USB-C で充電すると

USB-PD 機能を有した USB-C 充電器を使用して、USB-PD に対応する機器を充電すると、どれくらいの時間で充電を完了させることができるのでしょうか。

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バッテリー残量が0%の iPhone 14 Pro と Apple 12W/20W 充電器を使用して、30分間で充電できた割合を比較しました。

すると、USB-Aを使用する2A(12W)充電では41%の回復にとどまったのに対し、USB-C 充電器を使用した場合58%まで回復しました。数値にして17%の差があり、この後も充電時間の差がある程度は出てくるため、トータルの充電時間も USB-C 充電器を使用した方が速くなります。

とはいえ、バッテリーの残量表示はあくまでも目安であることや、テスト環境によって若干の性能のバラツキが生じるため、常に今回と同じ結果が出るとは限りません。ただし、いかなる場合でも USB-C 充電器の方が速いという結論は揺るぎません。

・USB-C は USB-A の後継端子

近年、急速に採用が広がり、利用する機会も増えた USB-C 端子ですが、これは従来の USB-A 端子の後継となる端子です。

将来的には USB-A は淘汰されても何ら不思議ではなく、また USB-A に新たな機能が追加されるということはほぼないでしょう。

また、USB-A にはない USB-C の機能として映像出力が可能であるという点があります。これは、従来まで HDMI や DisplayPort を使用していたものですが、これと同等の機能が一部の USB-C には搭載されています。そのため、ディスプレイ出力、データ転送、充電を1つのケーブルで行うことも可能になっています。

多機能な規格であるゆえ、現在は「USB-C とは無縁」と思っている人でも、近い将来必ず移行する必要性が出てくるものであり、いずれかの段階で手持ちの USB-A 充電器や機器を買い換える必要が出るでしょう。

・USB-C への移行を

先述の通り、USB-C は USB-A の後継となる USB です。

そのため、今後さらに利用が広がることは間違いないでしょう。また、USB-C の方が USB-A よりも機能性が高く、表裏がない端子構造も非常に便利なものです。

現在、スマートフォンやタブレットなどのデバイス側も USB-C の使用を想定し、充電器やデバイス側のポートが USB-C にされています。これらを有効活用すると、より速い速度での充電・転送が可能になり、快適なガジェットライフが実現されます。

2020年代において、USB-C は誰もが使うべき利便性の高い端子であり、今すぐの移行を推奨するものです。

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