みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

この記事では、先日より Anker から発売となった 20W USB-C&A 充電器 Anker Charger (20W, 2-Port) をレビューします。

開封&レビュー

パッケージ

内容物は本体と説明書

本体

USB-C&A ポート

プラグは折り畳めない

Apple 20W USB-C 充電器よりも一回り大きい

2ポート同時使用を想定した製品ではない

本製品は、USB-C と USB-A の2ポートを備える充電器です。

しかしながら、2ポート同時出力を行った場合、最大15W出力となり、USB-C ポートから USB-PD 出力が失われてしまいます。また、USB-A に関しても、1ポート使用時では最大12W(5V/2.4A)の出力が可能となっていますが、同時使用の場合は7.5W(5V/1.5A)まで出力が低下します。

昨今のデバイスの充電は、USB-PD による20W以上の充電が主流であり、USB-A はおろか USB-C からも7.5Wしか出力できない本製品の充電速度は壊滅的なもので、2020年代に実用に耐えうる水準ではありません。

このことから、本製品は2ポート同時使用を想定した製品ではなく、あくまでも 20W USB-C 充電器と 12W USB-A 充電器が1つにまとめられただけといえる製品です。

なお、USB-PD 規格では、USB-C と USB-A の独立・分離実装を求めています。そのため、USB-C を使用中だからといって USB-A の出力が減る、その逆の A を使用中だからといって C の出力が減る。という仕様(CとAの回路を一緒にしてしまう)は、規格違反とされています。

とはいえ、規格上そうなっている。というだけであり、多くのメーカーがこの点を無視した製品をリリースしており、安全上の問題も今のところは生じていないため、あまり気にする必要はないかと思われます。

本体の仕様をチェック

ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、各ポートの過電流に対する保護機能を確認しました。

問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露呈するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。

確認の結果、メーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致しており、PPS の実装方法に問題がないことも確認できました。また、本製品の USB-C ポートは USB-PD 以外の急速充電に対応していることも確認できました。

USB-PD 充電器は、規格上 USB-PD 以外の急速充電規格に対応することが禁止されています。しかし、昨今では多くのメーカーがこの点も無視した製品を多数リリースしている上、安全な形で両者を実装することが可能となっています。

本製品も、安全な形でこれらの共存が図られており、他の急速充電規格への対応が使用上の問題に発展することはありません。

次に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。

過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として充電器には必要不可欠なものです。

確認の結果、過電流保護機能はいずれも+0.3A程度で動作することが確認でき、保護機能として有用に動作することを確認できました。

但し、本製品は2ポート同時使用時に片側7.5W(合計15W)の出力が可能だとされていますが、片側だけで15Wを引き出せることがわかりました。この場合でも、5V/3A(15W)を超える前に過電流保護機能が動作しており、安全性に問題はないものと考えられます。

また、片側で15Wを引き出された場合、もう片側のポートからの出力は停止されるようになっている上、USB 規格を厳格に準拠するデバイスでは必要以上の電力が引き出されるということ自体が発生しないため、この仕様が安全性の脅威となることは、まずないでしょう。

最後に、各種デバイスへの給電状況をチェッカーを使用して確認します。

確認に使用したデバイスは、iPad 10、iPhone 15 Pro の2機種で、いずれのデバイスでも高速充電が動作していることを確認できました。

ただし、デバイスの本体に USB-C ポートを搭載したこれらのデバイスを USB-A 充電器で充電した場合、Apple 2.4A(12W)ではなく、USB-BC 1.5A(7.5W)が充電の上限となるため、Lightning 端子を搭載したデバイスよりも充電速度が遅くなる傾向があります。

使用感

本製品を使用して、まず感じたことは「プラグが邪魔」ということです。

何気に USB が横配列は珍しいかも

筆者が、プラグが折り畳めない使用の製品を極端に嫌っているということもありますが、この仕様は持ち運び時にカバンの中で他の物を傷付けたり、プラグが曲がるなどの不都合の要因となるものです。

そのため、プラグは折り畳めたことに越したことはなく、本製品に不足している最大の要素といえるでしょう。

とはいえ、価格が価格であるため、この辺りの仕様についてギャーギャーいうこと自体がナンセンスであり、気になるのであれば、他の製品を選べば良いだけでしょう。

総評

お安い充電器が欲しい方は是非。

本製品は本体の仕様や安全性に問題はありませんが、2ポート充電器としては非常に性能が低く、この用途での購入は到底推奨できるものではありません。

しかし、何らかの用途で USB-C と USB-A を同時に使用しないけれど、充電器として1台にまとまっている必要があるという場合には、本製品に価値を感じるかもしれません。

それ以外でも、とりあえず安価な充電器が欲しいという用途には最適な製品だと思いますので、気になる方は購入しても良いのではないでしょうか。

最終更新日:2024年4月1日