みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
突然ですが、USB-C ケーブルやその販売ページのなどに記載されている、60Wや100W・240Wの意味をご存知でしょうか。
この数字は、USB Power Delivery(以降:USB-PD)に対応するケーブル。すなわち、両端の端子が USB-C のケーブルに記載されています。
W数というと、充電器(ACアダプタ)やモバイルバッテリーに記載されることが多い数字ですが、なぜケーブルにもW数の表記があるのでしょうか。
ケーブルのW数は対応する最大W数を表記している
先述の通り、ACアダプタやモバイルバッテリーにも20Wや60WなどW数を表す記載があります。

W数表記の例
これらの数字は、それらの機器が取り扱える最大の電力量(W数)を表したもので、近年では20W以上の数値が最も一般的になっています。
ケーブルの60Wや100W・240Wという記載も、そのケーブルが取り扱える最大の電力量(W数)を表しています。
そのため、60Wの記載がある製品では60Wまでの電力量を扱え、100Wや240Wもそれと同じになります。
どれが良いのか?
取り扱える電力量を表す数字として記載されているのであれば、一見すると240Wの記載があるケーブルを買うのがベターのように思われます。

スマホに100W充電器が不要な様にケーブルも使い分けが大切
しかし、スマートフォンやタブレットの充電に使用される電力量は、大きくてもせいぜい45W程度であり、一般的には20W程度で十分と考えられています。そのため、スマートフォンやタブレットの充電に使用するケーブルであれば、60Wの記載がある製品で必要十分となります。
100W、240W対応品は、ノートパソコンや一部の大容量モバイルバッテリーの充電に使用するもので、これらの製品を有していない方が、わざわざこれらのケーブルを買う必要性は薄いでしょう。
とはいえ、近年では60W、100W、240Wケーブルの価格差は大手メーカー製であっても、ごく僅かになっています。そのため、将来性や汎用性を重視して、240W対応品で揃えてしまうというのも良いでしょう。
大は小を兼ねるのか
大は小を兼ねる。という、ことわざがあります。
これを USB-C ケーブルに当てはめると、240Wケーブルは60Wケーブルの代わりとなるのか?という疑問を持つと思います。
既に先の項目でその答えを明記していますが、240Wケーブルであれば、USB-C 充電に関する現状全ての機能を有しており、どんなW数のデバイスでも充電することができます。また、240Wケーブルで20Wの出入力を行っても、何かが故障するということもありません。
240Wケーブルが最強とはいえ、100Wを超える電力量(出入力)が必要なデバイスは全体の中のひと握りです。
そのため、実質的に100Wケーブルが一般的な上限といってもよく、100Wケーブルでも多くの場合は大は小を兼ねるでしょう。
小は大を兼ねない
USB-PD 充電において、最も注意しなければならないのが、小は大を兼ねないという点です。
これすなわち、60Wケーブルを充電に100Wが必要なデバイスの充電に使ってしまう。というケースです。
この場合、充電速度の著しい低下や充電ができないといった現象が発生します。ただし、あくまでも実害を被るのは「充電ができない」という部分だけであり、デバイスの破損などを招くものではありません。
もしノートパソコンなどで、「USB-PD 充電器を使っているのに充電が遅い」と感じている方は、充電器の他にケーブルを見直すと良いかもしれません。
使用用途に合った製品選びを
ここまで、USB-C ケーブルのW数の違いについてご紹介しました。
また、スマートフォンやタブレットなどは60W、ノートパソコンや大容量モバイルバッテリーなどが100W以上という使い分けが存在していることも、合わせてご紹介しました。
USB-C や USB-PD の大衆化により、多くの人がこれらに対応した機器を使う機会が増え、それに応えるべく数多くの製品が販売されています。
しかし多くの場合、製品毎の細かな仕様の違いやその意味を説明しきれているとはいえず、「どの製品を選べば良いのかわからない」という疑問を持つ方は多いと思います。
今後、この記事で USB-C ケーブルに対する基本的な理解を得た上で、製品選びをすると、以前とは違った景色が見えるのではないでしょうか。

