みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回はタイトルの通り、本誌で「なぜガジェット系のレビューをしなくなったのか」をご説明します。

かしゆか商店の記事を出したところ…

ここ数週間に渡り、かしゆか商店の記事を出していました。

個人的な趣味を、なんとなく記事にてご紹介したところ、「ガジェット系のレビュー記事も書いてね」というメッセージをいただきました。

これはこれで、未だレビュー記事を楽しみにしていただいている方がいるという意味で、大変ありがたいものですが、現時点で かしゆか商店ネタは残っていますが、ガジェット系のレビュー記事を制作する予定はありません。

コメ10Kg1万円 OVER時代において

日本銀行は高騰するコメの価格について、「高水準で推移することが見込まれる」との見解を示し、CPI を押し上げる作用があるとしています。

本稿執筆時点では、2人世帯で1ヶ月で消費される平均的なコメの量である10Kgの販売価格が、軒並み1万円を超えており、米類の上昇率は前年比63.6%増と記録的な価格高騰が続いています。

「お前、なんでコメの値段の話してんの?」と思われそうですが、筆者はコメの価格より「1万円」という方を注目しています。

というのも、1万円は日本銀行券(日本円)における最高額面であり、感覚として「大台にのった」と感じる最初の金額になる方が多いのではないかと思います。

その1万円というお金が、「1ヶ月の主食代として消える」現状において、大多数がそれ以下の金額で買えるガジェット類は高価な物なのでしょうか?

本誌の過去を振り返ると

筆者の過去のレビュー記事のスタンスを振り返ると、初期は価格に見合うのか、中期は性能、近年はトータルデザインを見るようになっています。

その過程で、「価格」に対する認識が変化しており、価格最重視から「値段には値段なりの理由がある」という認識になっています。(勿論、そうでないものもあります)そのため、昔のように手頃な製品をレビューしても、あまり良い記事にならず、不満を述べ続けるだけの記事が量産される傾向にありました。

これは、一定の消費者利益にはなるかもしれませんが、筆者の要求する水準と一般感覚の乖離が激しく、「誰もそこまで求めていない」「安い製品が欲しいのよ」という世間的な需要には応えることができない物です。

ニッチな需要を攻め続ける」これは、今も昔も変わらない思いではあります。

しかし、そもそもガジェット類が成熟し過ぎて、「どれを買っても特段困らない」段階に入って久しいと感じています。その代表例が、ダイソーの20W USB-C充電器で、「こだわりがないなら、みんなこれ使えば良いじゃん」といえる物が巷に溢れています。

現在のガジェット界は、需要発生の前段階に安価なキラープロダクトが多数存在し、それ以上の需要が発生し難いという状況だと感じています。

そのような現状である以上、存在するのは「需要」ではなく「無」であるため、わざわざ時間を使ってまでレビューしたいと思える製品がほぼ存在しなくなりました。

当たって砕けろ

1ヶ月の主食代よりも安価なガジェット類が多い状態において、レビュー記事って必要でしょうか?

恐らく、大多数は Yes でしょうが、それはブログ形式のレビューではなく、Amazonレビューのような簡易的なものや、よくてショート動画のレビューでしょう。

例えば、大人気充電器である Anker Prime Wall Charger (67W, 3 ports, GaN) にしろ、1ヶ月の主食代よりも安価な充電器であり、多くの人は豊富な Amazonレビューで事足りるでしょう。

その中で、本誌がレビュー記事で必須としている充電規格の確認や、過電流保護機能の確認などの情報を欲しがる人はどれだけいるでしょうか。

根本的に1ヶ月の主食代よりも安価である以上、自分に合わなかったり、何か問題があっても「余裕で諦められる」話であり、その程度の製品にわざわざ詳細なレビュー記事は必要ないと考える人の方が多いでしょう。

また、ガジェットはせいぜい3年程度使えれば御の字という性質のものであり、下手な製品を引いたとて、大した問題にも感じないでしょう。

時代に応じた変化を

今の日本は、失われた30年を急速に取り戻しに走っています。

これは、近年の物価上昇率を見れば明らかです。とはいえ、その過程に無理が生じているのもまた明白な話であり、筆者の「1ヶ月の主食代よりも安価なんだから諦めろ」という意見を「暴論」と感じる方もいるかもしれません。

しかしながら、1万円の価値が下がっている現状(インフレ)において、数千円のガジェットを「高い」というのは、かなり無理な話であり、またこの価格帯の製品に高い品質を求めるのも酷な話でしょう。

このような時代の変化に伴い、高い性能と品質を追求する本誌は「時代にそぐわない」ものになり、筆者のガジェットへの興味の薄れも相まって、ガジェット系のレビュー記事を書かなくなりました。

今後、ガジェット系のレビュー記事が出ることはあるでしょうが、iPhone 16 Pro や Mac mini M4 Pro などの最新の Apple 製品ですらレビューしていない状況を考えると、「年に数本出れば良い方」と思っていただければ良いかと思います。