みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe(@WWDC1999)です。

今回は先週のIIJmio meeting 18でも紹介されていた、eSIMのお話をしたいと思います。
IIJmio meetingではAppleというか、Apple Watchのことは「それをすると話が終わってしまう」ということであえて避けられていましたが、私は「あえて」Apple製品とeSIMのお話をしたいと思います。

そもそも、SIMとは?というところから書いていきます。 

・そもそもSIMカードってなんだっけ?

SIMカードというとひと昔前までは、あまり大衆的ではなかったワード、というより物でした。しかし、IIJのようなMVNE/MVNOの普及、大手キャリアが販売する端末の「SIMフリー化」原則化、量販店などで販売されるようになった「SIMフリー端末」のおかげか、以前よりSIMというワードの認知度は上がっています。

じゃぁ、その「SIM」って、そもそもどういうものだっけ?
という説明にもってこいなのがこれ。SIMカードとはどういうものか。がわかりやすく解説されています。

・SIMカードは、物理的には非接触型ICカード(ICC)として規格化されているもの

・移動通信端末の加入者識別用途として利用するための企画に則ったICCのことを「UICC」と呼ぶ

これらを簡単に要約すると、SIMカードとは「国際規格に則って作られた、携帯電話加入者の情報を識別するもの」です。この世界的に統一された規格のお陰で、(端末の対応周波数は除いて)SIMフリー端末があればどこの国のSIMカードでも使え、電話番号や携帯電話契約時に選んだプランが端末に反映されるというわけです。

 

・eSIMは必ずしもSIMカードレスというわけではない

eSIMというと、「従来のSIMカードの代わりに端末にSIM機能が内蔵されている」と思いがちですが、IIJさんに言わせれば少し違うようです。

そもそもeSIMとは、UICC(SIMカード)の中で、OTAによるリモートSIMプロビジョニングの標準化に対応したSIMのことを指すようです。要は、docomoからIIJに乗り換える。という時にSIMカードの抜き差しをせずとも、乗り換え元/先の事業者が遠隔でSIMの契約情報を更新できる機能を搭載したSIM。

これができれば「eSIM」と呼べるということですので、従来通りSIMカードスロットに入れるSIMでもこの機能に対応していれば「eSIM」と言えますし、Apple WatchのようなSIMカードレスの端末もこれができれば「eSIM」対応といえます。

しかし、Apple SIMのように標準化されていない独自の規格で「eSIM」を扱う例も出てきています。

 

・リモートSIMプロビジョニングの標準化は進められている

遠隔でのSIM情報の更新ができるものを「eSIM」と呼ぶことは先述の通りです。
しかし、Appleのように独自の規格を策定してしまい、メーカーやキャリアによって仕様がバラバラになってしまうのではないか?と心配しがちですが、遠隔からのSIM情報の書き換え、すなわちリモートSIMプロビジョニングの標準化は現在進行形で進められています。

現時点で、リモートSIMプロビジョニングの標準化を進めるGSMAが策定した標準化規格は16年1月に策定されたウェアラブルデバイスなど向けのv1.0と、同年11月に策定されたスマートフォン向けのv2.0。現在、年内のv3.0の策定に向け動いているようです。

なお、v3.0策定に向け、以下のようなQRコードを用いたSIM情報書き換え手段の提供も検討されているそうです。

今、ご紹介した標準化規格は全てコンシューマ向け。
すなわち、我々一般消費者の利用を想定して策定されるもの。あくまでも簡単に設定ができるということが重要視されており、(一部の詳しい方を除いて)専用アプリや設定から複雑な設定を読み込ませてという方法は受け入れられないことから、QRコードのような誰にでもわかりやすい方法でのSIM情報の書き換え方法が模索されているようです。

実際にこの方法が採用され、eSIM端末が増えれば、携帯電話事業者の変更や、海外に渡航したときに面倒なキャリアプロファイルの設定変更などが、もっと手軽になることが予想できます。

・仮にiPhoneがeSIMのみになってもMVNOで使える可能性は十分にある

さて。ここからが今回の記事の本題、「eSIM」とAppleについて。

先述の通り、AppleはApple SIMやApple Watch Series 3 Cellularモデルで独自のeSIM規格を採用しています。
しかし、その裏でリモートSIMプロビジョニングの標準化が進み、今後この規格に則った端末の登場が予想されます。

そうなった時に、Appleだけが独自規格を走り続けられるのでしょうか。特に今のAppleが。
先ほどの、コンシューマ向けリモートSIMプロビジョニングの標準化の基本理念にはこう書かれています。

1. 世界的規模で運用可能なこと
2. SIMベンダー、プロビジョニング基盤、デバイス、OSについて、最低限既存のSIMと同程度の相互運用性を有すること
3. 既存のSIMと同程度のユーザーエクスペリエンスが提供されること
4. 常時1つの事業者のSIMプロファイルのみが有効となること、利用者が事業者のSIMプロファイルを入れ替えられるようにすること

などを含む全8つの基本理念が、リモートSIMプロビジョニングの標準化にはあります。

とりあえず、1つ目の「世界的な規模で運用可能なこと」についてはAppleは全世界に販路を確立していますし、その販路だけで(売れる売れないは別にして)世界人口の90%近くは確保できることが予想されるため、eSIM対応のApple製品が出ても台数と販路の力で、これはどうにかなりそうなものではあります。

しかし、3〜4はどうでしょうか。
Apple WatchやApple SIMで2と4はある程度の要件は満たしていますが、「既存のSIMと同程度のユーザーエクスペリエンスが提供されること」については現状では満たせていないと私は考えています。もちろん、この基本理念が指すユーザーエクスペリエンスがどのような意味で使われているかにもよりますが、既存のSIMと同等程度というのであれば、iPhoneの販売契約を結んでいる事業者以外のMVNOなどでもeSIM搭載のiPhoneが使える選択肢を提供するべきであると考えます。

おそらく、現時点でAppleが独自の規格を採用しているのはGSMAが策定していたv1.0/2.0が自社の製品に採用するには不適合であったか、規格の完成度が採用に踏み切れる段階ではなかったからではないかと私は考えています。この頃の同社は、ワイヤレス充電にQiを採用したり、Thunderbolt 3の端子形状にType-Cを採用するなど、独自性がある程度は残るもののオープンな規格への転換を積極的に行なっています。

それを思うと、近い将来発売されるであろう「eSIM」対応のiPhoneがGSMAが策定する規格に則ったものとなる可能性も十分にあり、MVNOで使える可能性は十分残されているのかもしれません。

 

・eSIMが新たな寡占化の火種に?

Appleが販売契約事業者以外の事業者のSIM情報の書き込みができますよ。といっても、販売契約事業者以外の事業者。すなわち、MVNO側がeSIM対応をしなければ利用者の選択肢は広がりません。しかし、現段階ではeSIMを取り扱うMVNE/MVNO事業者が、IIJが成し遂げた「フルMVNO」すなわち自社でSIMを発行できる事業者である必要があるかどうかはわかりません。

もし仮に、eSIM対応にフルMVNOである必要があるとするならば、それはあまり理想的な仕組みとは言えません。国内に限って言えば「iPhoneが使える」というのが通信速度以上に大切だと捉えるユーザーも多く、iPhoneのeSIM化により従来の形態では取り扱えない事業者が出た場合、さらに業界の再編が進み大手MVNOの独壇場となりうる可能性があり、携帯大手3社による寡占化が緩まってきている中で、MVNOの寡占化という新たな問題を生んでしまいます。

この新たな火種を生むか生まないかは、現状ではGSMAが策定するリモートSIMプロビジョニングの標準化の策定にかかっているともいえ、この懸案事項が考慮の対象となるかはわかりませんが、事業者形態の多様化は考慮すべき問題であり、対処する必要がある問題だといえます。

 

もしiPhoneがeSIMのみになってもMVNOで使えなくなるというのは考え過ぎだ!
という話題がSIMやeSIM、さらに市場の寡占化の話にまで及んでしまいましたが、何か1つが変わるということの裏にはどんな業界でもドロドロとした面倒なことがあるんだなということはお伝えできたかと思います。もし仮に、eSIM対応のiPhoneが登場し、MVNOで使える日が来たのなら先述の誰かがユーザーのために骨を折り、成し遂げた偉業だと思い出していただければと思います。

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