みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

Anker の 100W 充電器と聞いて何を思い出されますでしょうか?「普通のUSB-C充電器じゃないの?」と思う方や「あぁー。」となる方もいるかもしれません。

今回は、同社2作目にして仕切り直し感が否めない Anker PowerPort III 2-Port 100W をレビューします。なお、タイトルで既に怪しい空気が漂っているので、お察しの方もいるかもしれませんが、簡単にいえば「判断に困る製品がまた増えた」という内容ですので、その点をご理解の上、読み進めていただければと思います。

・開封

パッケージ(シリーズ5って何?)

内容物は本体と取扱説明書類

本体

プラグは折り畳める

・過去製品と同じ

Anker PowerPort III 2-Port 100W を見て、「なんか似たような製品あったな」と思った方は、なかなかの Anker ツウなのではないでしょうか。本製品は、2019年に発売された Anker PowerPort Atom PD 2 の出力を向上させたモデルとなっています。

寸法が全く同じ

Anker PowerPort Atom PD 2 は、最大60W出力が可能な充電器でしたが、Anker PowerPort III 2-Port 100W になり、製品名の通り最大100Wの出力が可能となりました。40Wの出力向上に伴い、約30gの重量UPとなる211gになっており、持ち比べるとずっしりとしており、その差は明確にわかるレベルです。

・悩ましい多ポート USB-C 充電器

本製品に限ったことではありませんが、複数の USB-PD 出力が可能な USB-C 充電器では、ポートの特性を理解しなければならないという問題が発生します。

カオスを極める出力仕様表記(上半分全て)

本製品の場合、ざっくりと言えば1ポート使用時は最大100W、2ポート同時使用の場合、上段最大60W、下段最大40Wの合計100Wとなります。

さらに噛み砕いて言うならば、上段に MacBook Pro 13、下段に MacBook Air を接続した状態でも、これらに十分な電力を供給するだけの能力を持っています。

一見すると十分な様にも見えますが、充電に97W必要な MacBook Pro 16(Intel)を接続した状態で2ポート同時に使用すると、MBP 16 には60Wの電力しか供給されず、充電は厳しいラインになります。また、MacBook Pro 2021 以降は140Wの USB-PD EPR 対応充電器が必要なため、100Wが最大出力の本製品では力不足です。

そのため、高出力、多ポートを求める方にはマッチしない製品です。(そもそも、そこまでの能力を持つ充電器は現状存在しませんが)

また、電力の融通機能がそこまで高性能ではないため、仮に片側が5Wしか使用していなくても上限制約が発生してしまいます。常に接続するデバイスの仕様を頭に入れて使わなければならない本製品は、直感的に使えるとはお世辞にも言い難く、「めんどくせぇなぁ」と思いながら使用していました。

このポート毎の仕様を気にかけて使用しなければならない点以外は、Atom PD 2 と全く同じ感覚で使えるため個人的には使用感で気になった点は特にありません。

・ローストビーフでも作るんか?

本製品を使用していて、「はぁ?」と思ったのが異次元の発熱です。

100W出力を1時間半継続した場合、本体から73度の発熱を観測しました。非接触温度計であるため、温度誤差はありますが、どのみち触った瞬間に「熱っ!」(要保冷剤)と感じるレベルですので、発熱がヤバいという意味では同じかと思います。

流石に、USB-PD 充電器からここまでの発熱を経験したことがないため、影響評価についてはできません。ただ、使用中は絶対に触らないこと使用前に周囲に可燃物がないかの確認は必ず行う必要があると思います。(100Wを出し続けたり2ポート同時使用の場合は特に)

なお、この温度を水中で断続的に出し続け、70度のお湯を作り出せるならば、とっても美味しいローストビーフを作ることができます

・本体の仕様

ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認しました。

PDO は表記よりも大きい値の場合、デバイスを過電流により破損させる恐れがあり、小さい場合は景品表示法上の問題が生じます。また、USB- PD 規格では USB-PD 以外の急速充電への対応を禁止しています。過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として実装されています。

問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露見するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。

確認の結果、メーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致しており、PPS を含めて問題点は見当たりませんでした。ただし、急速充電に関しては USB-PD 充電器は USB-PD 以外の急速充電規格に対応することを禁じているガイドラインに反し、Quick Charge などへの対応が見られます。ですが、こちらについては Anker 製品ではお馴染みとなる仕様かつ、実装方法に問題は見受けられなかったため、安全性への影響はありません。

最後に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。本製品の仕様は USB-PD 規格の上限値である100Wの出力に対応しています。

確認の結果、大きな問題は認められず保護機能は正常に動作するといえる状態であることを確認できました。

・総評

善し悪しの評価はできない

ここまで読んでいただいた方には大変申し訳ないのですが、先述の通りあまりにも発熱が酷すぎて「その影響を評価できない」というのが結論です。一般的にこの類の機器は、熱により性能、寿命が左右されるものです。設計時にどれだけの高温を許容しているかは不明ですが、やり過ぎのように個人的には感じています。

少なくとも、70度以上の高温ならば1秒で皮膚組織の破壊が始まるとされているため、使用シーンによっては やけど は免れず、安全な製品とはいえないと思います。

さらに、同じ100W出力が可能かつ USB-C を3ポートを有する「Satechi 108W USB-C 3-Port GaN Wall Charger」と比較しても発熱は異常なレベルであり、設計に何らかの無理を伴わせていることは簡単に想像できます。

ただし、先述の検証の通り、充電器としての保安機能には問題はなかったため、これらを複合的に考慮し、購入の是非を検討していただければと思います。

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