みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、UGREEN Nexode Mini 45W をレビューします。早速、タイトルからしてヤバい雰囲気が漂っていますが、あまり完成度が高くない製品ですので、それをご理解の上、お読み下さい。

・開封

パッケージ

内容物は本体と取り扱い説明書類

本体

プラグは折り畳み式

USB-C ポート 左が1番(25W)、右が2番(20W)

・類似製品と比較

ここでは、筆者が45W2ポートの USB-C 充電器でオススメしている Belkin BoostCharge PRO Dual USB-C GaN Wall Charger with PPS 45W と比較します。

本体サイズは一回り違う

USB-C ポートの配置が縦か横かという違いがある

本製品と Belkin 製充電器を比較すると、まずそのサイズ感に大きな違いがあります。Belkin 製は、本製品よりも一回り小さくなっています。また、重量も実測値で本製品が96gに対し、Belkin 製は86gと16gの差があります。

わずかな違いのように感じますが、手に持つとその違いは明確で、持ち運びなら Belkin 製を選ぶべきだと思います。

・本体の使用をチェック

ここでは、充電器の仕様がどのようになっているかを確認します。

Power Data Object(PDO)、USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認し、安全上の問題がないか、景品表示法上の問題がないかを確認します。

PDO および 対応する急速充電規格を確認したところ、PDO は製品の表記などと一致していることは確認できました。しかし、2ポート同時使用時のPDO には USB-PD 規格に準拠しない点が存在します。また、対応する急速充電規格も USB-PD 規格には準拠していません。

2ポート同時使用時に、5V出力が2.4Aとなっていますが、USB-PD 充電器では、5V出力は必ず3A出力ができる必要があります。そのため、この仕様は規格には準拠しないもので、一部のデバイスで充電ができないといった互換性の問題を生じさせます。

対応する急速充電規格については、USB-PD 充電器は、規格上、USB-PD 以外の急速充電に対応することが禁じられています。しかし、本製品は Quick Charge などへの対応が確認できました。ただし、他の急速充電規格と USB-PD を安全に両立することも可能で、本製品も安全な形で実装されており、実使用上の問題はありません。

次に過電流の保護機能が正常に動作するかを確認しました。

過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として充電器には必要不可欠なものです。

確認の結果、保護機能が動作するタイミングは、いずれも公称値+0.5A程度であり、この程度であればしきい値として妥当なものであることから、保護機能は正常に動作するといえる状態にあります。

最後に、MacBook Air M2、iPad 10、iPhone 14 Pro、iPhone SE(第2世代)での充電状況を確認します。

確認の結果、全てのデバイスでそれぞれの高速充電が作動していることを確認できました。

しかし、iPhone 14 Pro は23Wでの充電が可能ですが、本製品ではどれだけ待っても23Wでの充電は確認できませんでした。(iPhone の充電残量は15%で開始)

また、iPad と iPhone の同時高速充電も可能であることも確認できています。

※ ここでいう MacBook Air M2 の高速充電は、30W以上を指しており、30分で50%以上の高速充電ではない。充電には MagSafe 3 を使用。

・使用感

本製品は、本記事を公開する約1年前の2022年8月にリリースされた製品です。

そのため、それ以降にリリースされた Belkin 製などと比較するのはナンセンスですが、やはり最新の製品と比較すると使い勝手の悪さが目立ちます。

USB-C ポートの向きも好き嫌いがありそう

先述の通り、最近の製品と比較すると重量が重く、本体のサイズも一回り大きくなっています。そのため、持ち運びを考えた場合、最近の製品には敵わないでしょう。

また、本製品は初期のマルチポート(USB-C が複数ある)USB-C 充電器でよく見られた、瞬電が存在します。そのため、1ポートで使用している最中にもう1ポートの使用を開始すると、一旦全てのポートの電力供給が遮断されます。

さらに、デバイスの充電進捗具合によりV数が変化した場合も、一度接続がリセットされるため、iPhone や iPad の場合、バッテリー残量が70%を超えると必ず、充電開始音が鳴ります。

ことあるごとに充電開始音が鳴り響くため、夜間の使用は耳障りになるでしょうし、日中であっても充電開始音が複数回鳴るのはかなり鬱陶しいものがあります。

・かなり微妙で絶妙な製品

筆者は本製品を Amazon のセールで¥2,785で購入しました。

本製品のセールは頻繁に開催されており、容易くセール価格で購入できますが、単刀直入に言って、安物買いの銭失いだと思います。

先の検証でも互換性に問題を生じさせる規格違反、なぜか23Wを供給できない45Wポートなど、問題点が散見されました。これに加え、電流チェッカーを見ていると、デバイスに応じた最大電流(W数)を供給するまでに1分以上の時間を要します。

USB-PD 充電器は安全のため 5V から電圧をかけ始め、徐々にV数とA数を上げていく仕様であり、初めから最大電流が供給されるわけではありません。しかし、他の製品は長くとも30秒程度で最大電流の供給が行われますので、本製品の1分以上というのはあまりにも遅いものです。

正直、これが充電時間を大きく左右するわけではありませんが、Belkin やエレコム、Anker などと比較すると、内蔵する制御 IC の性能が低いように思います。

本製品の45W/2ポート充電器で最安クラスという価格は、規格準拠意識の低さ仕様の古さ安物制御装置が実現しているもので、確かに45W/2ポートの USB-C 充電器ではありますが、実用には耐えない、完成度が低い充電器です。

これでも中華メーカーの中ではマシな部類には入りますが、「いつまでもこんな調子だから中華メーカー製 USB-C 充電器はダメと言わないといけないんだよなぁ」と、多数の USB-C 充電器をレビューした筆者は、色々と考えさせられるものがありました。

・総評

買うべきではない。

本製品はそう断言できる製品です。中華メーカーの安さの理由や悪いところを全て集めた、ある意味で英知の結集のような製品となっており、全くもってお勧めできる道理がありません。

同等製品の購入を検討している方は、他の製品を購入することを強くお勧めします。