みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
今回は、Belkin より販売が開始された BoostCharge 42W 2ポート充電器をレビューします。
本製品は、MacBook Air や iPad の充電に最適な30Wの USB-C ポートと、12Wの出力ができる USB-A 端子の2つを搭載した充電器となっています。
Contents
開封
パッケージ
内容物は本体と説明書類
本体
本体下部に各ポートが配置されている
両側面は平らなデザインとなり手にフィットする
プラグは折り畳み式
本体の仕様をチェック
ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、各ポートの過電流に対する保護機能を確認しました。
問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露呈するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。
確認の結果、メーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致していないことを確認できました。一致しなかったのは、PPSの表記で、本体記載の数値よりも最大0.3A高い数値となっています。
とはいえ、PPS の実装方法自体に問題は見受けられませんし、PPS の表記と仕様が一致しないのは各メーカー共に日常茶飯事であり、安全性にも問題はないことから、この差は無視してよいと思われます。
次に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。
過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として充電器には必要不可欠なものです。
確認の結果、USB-C ポートの過電流保護機能はいずれも+0.5A~0.7A程度で動作することが確認でき、保護機能として有用に動作することを確認できました。
しかし、USB-A ポートに関しては公称値の5V/2.4Aを超過した後、3.26Aに至るまで出力が上昇し続け、それ以上は出力が上がらないものの、出力を停止する機能はないことがわかりました。
筆者は今日に至るまで、このような USB-A ポートの保護機能を見たことがないため、有用性や安全性について全く知見がなく、これが安全にどう影響するかを判断することはできません。
出力停止機能がない時点で、過電流に対する保護機能はないに等しいと考えられ、安全上の懸念を払拭できない好ましくない仕様に感じています。
とはいえ、デバイス側に高い保安機能が装備されている場合、必要以上の電力が引き出されることはないため、一般論としては保安上の問題に発展することはないと考えられます。
最後に、各種デバイスへの給電状況をチェッカーを使用して確認します。
確認に使用したデバイスは、MacBook Air with M2、iPad 9、iPhone 15 Pro の3機種で、MacBook Air で通常速度での充電、残りの2つのデバイスでは高速充電が動作していることを確認できました。
ただし、デバイスの本体に USB-C ポートを搭載したデバイスを USB-A 充電器で充電した場合、Apple 2.4A(12W)ではなく、USB-BC 1.5A(7.5W)が充電の上限となるため、Lightning 端子を搭載したデバイスよりも充電速度が遅くなる傾向があります。
使用感
筆者が本製品を手に取ってまず初めに感じたことは、「上手くまとまっているな」ということです。
というのも、30Wの USB-C 出力はスマートフォンやタブレットを充電する目的であれば、過不足のない非常に使いやすいW数となります。また、USB-A に関しても一般的な規格上の最大値である12W(Apple 2.4A)に対応し、これ以上は必要のないW数となっています。
サイズはやや大きい気もするが USB-A がある以上仕方がない
また、MacBook Air などであれば30Wでも通常速度での充電が可能となっていることから、人によっては「この充電器1台で事足りる」と感じるケースもありそうです。
一般的に、USB-C と A が一体となる充電器は、両方のポートを使用するとどちらかの出力が低下するという仕様が多く、この挙動自体が規格違反であるという以前の話として、充電速度が著しく低下するため、お世辞にも使い勝手が良いものではありません。
その点、本製品は USB-C と A の出力が完全に分離されており、両方のポートを使用しても出力の低下がなく、利便性に富んでいます。
さらに、本製品より1つ前の USB-C 充電器と比較すると、主に本体側面のデザイン思想に変化が見られ、以前よりもスマートな印象を受けました。このデザインは、今後リリースされる Belkin 製 USB-C 充電器の標準的な形となると思われ、個人的にも目新しさも相まって気に入っています。
総評
オススメはしない。
本製品の評価は以上の通りとなります。USB-C 充電器としての問題は見受けられませんでしたが、USB-A の過電流保護機能に違和感を感じ、規格上 USB-C よりも安全性が劣る USB-A においては、かなりの不安を感じる仕様です。
運用に自信がある方が購入することは止めませんが、無難な製品が欲しいという方は他の製品を選ばれた方が良いかと思います。