米メディアThe Vergeによると、Appleは同性愛が禁じられているロシアでApple Watchの「Pride Face」を意図的に利用できないようにしていることが判明しました。
Apple’s pride Watch face simply disappears in Russia https://t.co/Pn1c8o9c8y pic.twitter.com/1wRDbFVqIt
— Tom Warren (@tomwarren) 2018年8月31日
今回、問題となっている「Pride Face」はLGBTQのシンボルである「レインボーフラッグ」をモチーフとしたApple Watch Face(文字盤)で、今年の6月に開催されたWWDC 2018にてPrideバンドと共に大々的に発表されました。
しかし、発表後もロシアでは同バンドやFaceの利用ができず、その理由についてAppleサポートフォーラムなどを始め、様々な場所で取りざたされてきました。(ロシア国内で販売された製品での利用は不可、地域設定をロシアに変更すると利用不可となることが上記映像にて確認済み)
同国で「Pride」関連の製品やサービスが利用できないことに様々な憶測が飛び交っていましたが、デベロッパーのGuilherme Rambo(ギルヘルム・ランボー)氏がiOS のソースコードの解析を行ったところ、ロシア国内で「Pride Face」を利用できないようAppleが意図的なソフトウェア制御を行っていたことがわかりました。
The Apple Watch pride face is hardcoded to not show up if the paired iPhone is using the Russian locale pic.twitter.com/vEP8XquYsP
— Guilherme Rambo (@_inside) 2018年8月31日
このことにより、Appleがロシア政府への政治的配慮で「Pride Face」を封印していることがはっきりとし、中国に引き続き「現地法を遵守する」とのAppleの企業姿勢が現れた形となりました。
なお、ロシアでは「非伝統的な性的関係を未成年者に宣伝すること禁ずる」ために同性愛宣伝禁止法を制定し、ゲイを始めとした同性愛者を厳しく取り締まっています。この影響により、iTunesで無料提供されていたU2のアルバムが「ゲイのプロパガンダ」とされたり、LGBTQの絵文字を規制されたりするといった事例がありました。
Appleがこの問題についてどのように考えているかなどはわかりませんが、同社のCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏が2014年に同性愛をカミングアウトしたことや同社のポリシーを考慮すると、今回の措置は苦渋の決断であったと考えられ、「企業信念」か「ビジネス・現地法の遵守」という難しい狭間に立たされていることに間違いはなさそうです。
Via: THE VERGE