みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、「モバイルバッテリーが預け入れ荷物として飛行機に持ち込めなくなった理由」を調べる機会がありましたので、参考程度に書き残しておきたいと思います。

なお、便宜上記事中ではモバイルバッテリーと表記しますが、正確にはモバイルバッテリーなどに搭載されている「リチウムイオン電池」全般にいえることですので、その他の予備電池なども同等とお考え下さい。

・UPS 6便墜落事故

モバイルバッテリーの取り扱いが、なぜ厳格化されたのかを語る上で最も重要な事案は UPS 6便墜落事故 です。

UPS 機(事故機とは無関係)

この事故は、貨物機が機内火災によりドバイ国際空港近郊に墜落した航空事故です。事故原因は、貨物室でリチウムバッテリーが発火し煙が発生、その煙がコックピットに流れ込んできてしまい、計器の視認が困難になったためとされています。

この事故の調査報告によると、航空機に搭載されているハロンガス消火設備は、不活性ガスであるハロンを放出して火が燃え広がるのを防ぐものであり、米連邦航空局(FAA)が実施した実験では、ハロンガス消火設備によって加熱した電池から火が燃え広がるのを防ぐことはできたが、加熱自体は抑えられず、エアゾール缶に熱が伝わるなどした場合爆発するとされています。こうした爆発によって飛行機が損傷する可能性はないと断言できないことから、「バッテリー1つで飛行機は落ちうる」と結論付けられています。

この事故を受け、原則として旅客便でのリチウムイオン電池の輸送が国際民間航空機関(ICAO)により、禁止されました。

・2000年以降 客室での発火事故も多発

上記の事故に加え、2006年1月1日から2019年12月1日の間に発生したリチウムイオン電池に絡む事案は、261件確認されています。

この数の中には、貨物機での事案も含まれていますが、モバイルバッテリー、スマートフォン、電子タバコなど、旅客機の乗客が持ち込んだ物による事案が多く含まれています。この数字は、FAAの管轄で発生した事案のみが掲載されており、全世界で発生した事案の数はさらに多くなります。

・手荷物で持ち込む場合の基準

2020年1月現在、ICAOにより定められたルールでは、1つあたり160Wh(43,243mAh)を一般乗客が手荷物として輸送できる上限としています。

しかしながら、多くの航空会社が大型バッテリーの持ち込みには、個数制限(大抵が2個まで)をかけており、手荷物として大量に輸送することは、事実上不可能となっています。なお、27,000mAh以下のバッテリーに関しては、個数制限は設けられていないため常識的な範囲であれば、問題なく持ち込むことができます。

・ことの経緯を知る重要性

今回、筆者は本誌の活動と全く関係のない理由で、航空機に預け入れ荷物としてモバイルバッテリーが持ち込めなくなった理由を調べました。

調べる前は、リチウムイオン電池の特性(小型・高パワー)や、Boeing 787 のバッテリー不具合、機内事故の多発が要因ではないか。などの勝手な認識がありましたが、いざ調べてみると、事故原因がはっきりしている物だけでも2名の犠牲者が出ており、航空会社が取り扱いに細心の注意を払う理由も頷けるものとなりました。

 

References

FAA (2019, December, 1). EVENTS WITH SMOKE, FIRE, EXTREME HEAT OR EXPLOSION INVOLVING LITHIUM BATTERIES

クリックしてBattery_incident_chart.pdfにアクセス

General Civil Aviation Authority of the United Arab Emirates (2010). FINAL AIR ACCIDENT INVESTIGATION SECTOR, FINAL AIR ACCIDENT INVESTIGATION REPORT

クリックして2010-2010%20-%20Final%20Report%20-%20Boeing%20747-44AF%20-%20N571UP%20-%20Report%2013%202010.pdfにアクセス

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