みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

この記事では、近年増加中の PPS 付きの USB-C 充電器について、本当にその機能が必要なのかということを考察したいと思います。

なお、あくまでも本記事は筆者の個人的な見解を示すだけであり、主に Apple ユーザーを対象とした内容となります。

そもそも PPS とは

近年発売された USB-C 充電器の大半に、「PPS 対応」という売り文句がついています。

また、PPS の説明については「充電するデバイスに応じて最適なパワーで安全に充電することができます/Belkin」といった記載となっており、大半のメーカーがこのメリットを具体的に説明することは行なっていません。

しかし、筆者はこの表記に「もうちょっと親切にならないのかな?」と感じており、この文言を鵜呑みにし、効果があると信じて USB-C 充電器を選んでしまっている Apple ユーザーが一定数存在するのではないかと感じました。

PPS(Programmable Power Supply)とは、バッテリー充電を最適化するために開発されたもので、バッテリー充電時の昇圧・降圧の変換ロスや、充電中の温度制御を行い、充電効率と安全性を高めることを目的に作られたものです。

世の中の半数の人は不要

バッテリー充電を最適化、すなわちスマートフォンやタブレットなどの充電をより効率よく行うために生まれた PPS ですが、本稿執筆時点では世の中の半数の人には不要だといえます。

その理由は、Apple 製品に何ひとつ PPS 対応のデバイスが存在しないから。という単純な理由です。

2023年秋に発売された iPhone 15 シリーズは、iPhone 史上初めて充電端子に USB-C を採用しました。

しかし、PPS には対応しておらず、さらに上位規格の Thunderbolt 4 を採用する iPad Pro においても、PPS には対応していません。

PPS の仕組み上、ACアダプタ(USB-C 充電器)とデバイスの双方が PPS に対応して、はじめて PPS を利用できるようになるため、Apple 製品で PPS 対応製品を使用しても、PPS による充電最適化の恩恵を被ることはできません。

そのため、筆者は iOS と Android の国内シェアを鑑みて、日本に限っては半数の人には不要だと書きました。

将来的に…?

とはいえ、iPhone に USB-C が到来したように、次期 iPhone やソフトウェアのアップデートで PPS が Apple 製品で使える日が来る可能性もあります。

ですので、あまり強く「PPS は不要!」という断言はしないことにします。

PPS に変わる何かが出現する可能性もありますし…

また、PPS 対応製品と非対応製品で有意な価格差があるのかと言われれば否ですし、近年リリースされた製品では標準装備となっているケースがほとんどであるため、将来の可用性を考慮しても「不要」とは言い切れません。

しかし、現時点で Apple ユーザーの方が必ずしも PPS 対応の充電器などを購入する必要はありませんし、PPS によって充電の最適化が行われることを期待してはいけません。

まとめ

PPS は充電最適化技術だが対応機種でしか使えない。

現時点で Apple 製品は一切対応していないため、PPS による恩恵を受けることはなく、PPS に対応した充電器を無理に買う必要もありません。

しかし、将来的に Apple 製品も PPS に対応する可能性があり、必ずしも無意味なものとはいえません。

これが本記事の内容であると同時に、PPS について理解するはじめの1歩となると思います。

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