みなさま、こんにちは。キーボードはJIS派の Kazuto Tanabe です。
キーボードというとみなさまはどんなイメージを持ちますか?「パソコンを使うときに使うよね」「仕事以外で触らなくなった」という一般論から、「テンキー付き以外は認めん」「JISキーなんて論外」「カナ表記邪魔」「青軸がよい」「静電容量無接点方式良いよね」などのギーク派、「キーボード?フリック入力する画面?」という概念が変化している世代の方もいらっしゃるかもしれません。また、そもそもそっちじゃなく、楽器の方を思い浮かべる方もチラホラいらっしゃるかもしれません。
世の中に様々あるキーボードから、今回はワイヤレスキーボードをご紹介します。個人的な感覚ですが、ワイヤレスマウスは一般的になっていますが、意外とワイヤレスキーボードを使っている方は少数派ではないでしょうか?
今回は、Anker のロングセラー商品の1つである「Anker ウルトラスリム Bluetooth ワイヤレスキーボード」をご紹介します。本製品は、Bluetooth でスマートフォンやタブレットなどに接続できる無線キーボードで、ワイヤレスキーボードの入門機として最適な製品です。
・開封
パッケージ
内容物は本体、取り扱い説明書*2
本体。配列は基本的なMac向けUSキーボードとなっている。
キーストローク(打鍵感)は浅め
Bluetooth 接続を行うため通常のUSキーでは見られない表記もある。
(ペアリングは Fn と Z キーを2秒以上同時押し)
本体裏面。ゴム足は4点、上部に電源ボタンと電池ケースが配置。
電源スイッチ
電池ケース
単4電池2本で動作
F11キーの上に接続状況や電池残量を知らせるインジケーター
・使用感
本製品の使用感は、アイソレーションキーボードにありがちなペチペチとした軽く浅い打鍵感で、多くのノートパソコンや Apple のキーボードに似たような感覚で、特に使いにくさを感じることはありませんでした。個人的には Dell のエントリー〜ミドルクラスのノートパソコンに採用されているキーボードのキーの質感、打ち心地に似ているように感じました。
USキーで入力言語を切り替えるには Command + スペース
基本的には Mac の US キーを踏襲した配列となっている製品ですので、Ctrl キーが command キーになっていたり、Alt キーが Option メインの表記になっていたりと、Mac や iPad ユーザーにはありがたい配置となっています。しかし、Windows や Android では動作には問題ないものの一般的なキー配列とは異なりますので、その点は注意が必要のように思います。
Magic Keyboard との比較
また、Mac と比較しても最上列のFキーに割り振られているファンクション機能の配置が左に1つずつズレているため、意図せぬ押し間違いが多発し、異なった操作を行ってしまうことがあります。ですので、ブラインドタッチでファンクションキーを触ることは、慣れるまでは「ほぼ不可能」だと考えて良さそうです。
・どこか既視感のあるデザイン…
本製品を見て、どこかで見た覚えのあるデザインだな。と思った方は一定数いらっしゃると思います。
それもそのはず。本製品のデザインは Apple が以前販売していた Apple Wireless Keyboard に酷似しています。(既に Apple のキーボードの話を出している時点でお気付きかもしれませんが)実際、同時期に販売されており、基本的なデザインが同じのテンキー付きのものと比較しても酷似していることがわかります。
2007年に購入したため変色が酷いのはご愛嬌(決して手が汚いというわけではない (と思いたい)
キーボードの傾斜角は若干異なる
1世代前の Apple Magic Keyboard(テンキー付き)と比較
傾斜角は大幅に異なる
パッと見のデザインはほぼ同じで、写真では質感も似たような感じになっていますが、定価で10倍近い価格差があります。Apple のキーボードのフレームがアルミ製なのに対し、Anker はプラスチックをアルミ風にした塗装、キーの質感も Apple は指に馴染む滑らかな感触なのに対し、Anker はざらざらとした指に引っかかる感じです。
キーの感触に関しては、指が引っ掛かる方が良いという方もいらっしゃると思うので、一概には比較できませんが、製品全体の質感には明確な差があります。
・ロングセラーな分改善の余地も
本製品は、日々の技術革新により陳腐化が激しいガジェット製品としては比較的長い期間販売されています。
これはキーボードという製品の性質上、それほど陳腐化が目立たないことが大いに影響しているものと考えられますが、筆者としては「そろそろリニューアルしては?」と思うポイントが随所に見られます。
その筆頭とも言えるのが、Bluetooth のバージョン。本製品は未だに Bluetooth 3.0 を使用しています。最新の Bluetooth が下位互換性を持っているため、実用上問題になることはほとんどないかとは思いますが、いかせん2009年に策定された規格かつ、後継の Bluetooth が大幅な省電力化を遂げていることを考えると、駆動時間延長のためにも改善すべきポイントのように思います。
2つ目は「電池駆動」という点。昨今、電池駆動からリチウムバッテリー内蔵型への切り替えが進み、電池切れの際も乾電池を調達せずとも充電すればすぐに使えるというメリットがあります。ただ、これについては内蔵バッテリー方式にはバッテリーの劣化による駆動時間の低下問題も伴うため、個人の好みに大きく左右される問題ではあります。
さらに、Mac の US キー配列を参考にして作られている本製品ですが、Mac 側が時代とともにキー配置の変更やキーデザインの変更を重ねているため、発売時には共通だった点も今では若干の相違が出てしまっています。Windows や Android などで使う場合はさほど気にならない問題ですが、Mac や iPad で使用すると微妙に違うキー配列が絶妙なストレスを生み出します。
いずれも小さな不満ですが、これらが重なり合い、満足度を下げているのは紛れもない事実です。
・総評
必要十分な機能を最低限の価格で実現した製品。本製品をひとことで言い表すならばこの表現が個人的に一番しっくりきています。
キーボードとして、いたって普通の使用感であり長文を入力する作業などでもストレスなく使用することができています。本製品には奇形キーや特殊キーはなく、ごくごく一般的な配列であるため、上記で指摘した細かい不便さは、あくまでも他の使い慣れたキーボードと比較して生じているものです。
iPad との組み合わせでパソコン風にも
また、これはワイヤレスキーボード全般に言えることでもありますが、ワイヤレス化により机の上がスッキリするというメリットがあります。従来までコードで繋がっていて、キーボードが不要な時にキーボードを動かすものの完全には移動できず、絶妙に邪魔…。という状況から解放され、必要ないときは他所へ持っていくという柔軟な使い方ができるのも小型で軽量である本製品の魅力の1つです。
ベーシックな使い勝手の安価なキーボードが欲しい!というニーズには確実に応えることができる製品となっています。また、USキー入門用としても最適だと思いますので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。