みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
読者のみなさまは、USB-PD EPR もしくは PD 3.1 というものをご存知でしょうか。私は知りません。MacBook Pro 16 に同梱される充電器が、この規格に世界で初めて対応した製品で、その後にもポツポツと様々なメーカーより対応製品が出されている新しい USB 規格です。
この USB-PD EPR という規格は、最大100Wまでの電力供給を行える USB Power Delivery 規格を拡張した新しい規格で、最大240Wまでの電力供給を可能とした規格です。
今回レビューするエレコムの U2C-CCPE10NWH は、その USB-PD EPR に対応した USB-C to USB-C ケーブルで、USB-IF 認証を取得した信頼のおける製品です。
・開封
パッケージ
内容物は本体と注意事項書
本体
240Wの表記
EPR 対応ではあるもののケーブルとしては USB 2.0
・どのような用途に使用するのか
本稿執筆時点で、本製品を必要とされる方はごく少数であり、今後もその状況は大きくは変わらないでしょう。
その最たる理由は、対応デバイスの少なさと対応製品の価格帯であり、最も利用者数が多いであろう MacBook Pro 16 も140W充電(EPR)は MagSafe 3 ケーブルの使用が必須となっています。また、Windows などのデバイスを見ても、展示会などでの参考展示は数例確認できたものの、それらの市場流通は確認できず、対応製品が流通しているのかイマイチよくわかりませんでした。
また、MacBook Pro 16 をはじめとした対応デバイスは、30万円〜というクリイターなどのプロユースを前提とした製品に多く、一般の方がここまでの製品をましてやノートパソコンに求めるというのは稀だと思います。
そのため、本製品が必要となる方はかなり限られ、今後も爆発的な普及というのは起こらない類の製品でしょう。
・動作確認
本製品は、最大240Wまでの出力に対応することが謳われていますが、現状では240W出力を行える充電器は存在しません。
それどころか、規格上の最大値である240Wより100W低い140Wが限界となっています。そのため、本製品が本当に240W出力を許容するのかは、素人には判断できませんが、素人にできる最大限として、140W出力は確認しておこうと思います。
140W出力
確認に使用したのは、Satechi 200W USB-C 6-PORT GAN CHARGER で、140Wの出力を確認することができました。
また、この充電器は、過電流保護機能が怪しいため、166Wまでの出力を許容することも確認できました。(保安上や規格上どうなんだという話は今はナシ)
・USB-IF 認証を取得する必要があるのか?
筆者が240W対応の USB-C ケーブルを購入しようとした時に、認証品にするか否かを非常に迷いました。
というのも、認証取得は行われていないものの、USB-C 機器ではお馴染みの Plugable や、品質は定かではないものの、Anker や UGREEN といったアクセサリーメーカーからも製品がリリースされています。
そのため、本製品が市場流通する唯一の240Wケーブルというわけではなく、選択肢はある程度あります。
しかし、筆者は本製品の使用目的が充電器などの動作検証用であり、怪しい挙動に遭遇したり、何かやらかした時に「ケーブルは認証品を使用している」という保険を掛けられるのは、オペレーションの都合上、非常に重要なものです。
また、保安上の観点から考えても、従来よりも大きな電気量を扱う USB-PD EPR において、下手な製品を使うのはリスキーであるため、「USB-IF 認証品」という価値は十分にあるでしょう。
・総評
買いたい人が買いましょう。
本製品の立ち位置はこれくらいかと思います。そもそも、このケーブルに価値を感じないという人が9割でしょうし、「どうせ買うなら USB 2.0 はちょっと」という方もいると思います。
筆者も製品検証に必要であったことから2本ほど購入しましたが、それがなければ購入しないでしょうし、それ以外で使用するアテも現時点ではありません。
そのため、何かの必要に駆られる方以外は、普通の100Wケーブルで良いのではないかと思います。