みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
この記事では、2022年7月15日より販売が開始された MacBook Air M2, 2022 をレビューします。
Contents
・レビューに使用するモデルの構成
MacBook Air with M2 を購入するにあたり、若干の構成変更を加えました。(CTOモデル)
・256GB SSDストレージ
・True Tone搭載13.6インチLiquid Retinaディスプレイ
・アクセサリキット
・8コアCPU、8コアGPU、16コアNeural Engine搭載Apple M2チップ
・67W USB-C電源アダプタ
・Thunderbolt / USB 4ポート x 2
・MagSafe 3充電ポート
・16GBユニファイドメモリ
・1080p FaceTime HDカメラ
・Touch ID搭載バックライトMagic Keyboard – 日本語(JIS)
構成変更を行なった部分は太字としており、一番安いベースモデルにRAMと67W USB-C 充電器を付属させただけです。
ミッドナイト、スペースグレイ、スターライト、シルバーの4色から構成される今回の MacBook Air ですが、本体カラーは伝統の「シルバー」を選択しています。
・フォトレビュー
パッケージ
内容物は本体、MagSafe 3ケーブル、充電器
付属のステッカーがシルバーに(従来まではホワイト)
本体
正面
キーボード
トラックパッド
MagSafe 3 と Thunderbolt 3* 2(左側面)
イヤホンジャック(右側面)
裏面
MagSafe 3 ケーブル
・4年ぶりのデザイン変更
MacBook Air with M2 の最も大きな変更点として、「デザインの変更」があります。
MacBook Air with M2
前回の全面リニューアルが2018年であり、MacBook Air としては2008年の発売以降、今回で3回目のデザイン変更となります。
基本的なデザインは MacBook Pro 14/16 にならったものとなっており、角張ったデザインや背面のゴム足の構造など「まさしく」と感じる部分が数多くあります。
しかし、筆者の使用する MacBook Air 2018 と比較すると、パッと見では「そんなに変わってなくない?」と感じました。
MacBook Air 2018
厳密にいえば、スピーカーグリル(穴)がなくなっていたり、矢印キーのデザインとキーの印字が変わっていますし、何よりもノッチの有無はこの2モデルで大きく異なる点です。
これも MacBook Pro ゆずり
しかし、ノッチもメニューバーを見る時以外は、そこまで目立たないため、使用している時に気がつくような変更点ではないと感じました。さらに、液晶周りでいうと本モデルから13.6インチ Liquid Retina ディスプレイが搭載され、ディスプレイの上部の角が丸くなっています。
この点も変化といえば変化ですが、ノッチと同様に凝視する機会はほとんどないため、そこまで変わったという印象は持ちませんでした。
ただし、ノッチにマウスカーソルが隠れてしまったり、Adobe 系などのメニューバーの情報量が多いアプリでは右側の音量などのアイコンが自動的に非表示になってしまうことがあります。この点については、若干の不便さがあります。
・大きな変更点(チップ以外)
デザインは大きく変わったように見えて、使ってみると意外と分かり難いという意外な状態ですが、中身に関しては「大きく飛躍している」と感じます。
一番はじめに気がついた「大きく変わった点」として、「スピーカーの音質」があります。
本体を箱から取り出して、起動音が鳴った段階で「ん?」と思わせる違いがあり、MacBook Air 2018 や MacBook Air with M1 と比較して、格段に音質が向上しています。
具体的にいうと、音の薄っぺらさがなくなり、音がのこもりが大幅に改善され、よりクリアな音質になっています。低音はあまり響きませんが、逆にその状態が「トータルの音」としての質を向上させており、低音が強めな HomePod mini よりも個人的には好きな音です。
*本体スピーカーは、空間オーディオ対応の4スピーカーサウンドシステム、ドルビーアトモスに対応。
さらに、ハイインピーダンス対応を特徴とするイヤホンジャックも、明らかに以前よりも音質が改善しており、DAC なしでも聞いていて不快感を感じることはありませんでした。もちろん、DAC を使用することが最善ではあることに変わりはありません。
キーボードのバックライト輝度がfnキーで操作できなくなったのは不便
また、キーボードの打ち心地(打鍵感)に関しても、MacBook Pro 14/16 と同じであり、筆者が Mac mini 2018 で使用している Magic Keybord ともほぼ同じ(MacBook Air のキーストロークの方が若干浅い気がする)であり、2010年中盤以降に出た MacBook シリーズの打ち心地の悪さは完全になくなったといって良いでしょう。
もちろん、MacBook Air 2018 や M1 と比較してもかなり打ちやすくなっており、こうして文章を書く機会が多い筆者にとっては嬉しい改善点です。
さらに、1080p にアップグレードされた FaceTime HD カメラ(iSight カメラ)は、合わせて強化された指向性ビームフォーミングを持つ3つのマイクも合わさり、ビデオミーティングでこれらの効果が存分に発揮されています。
実際、打ち合わせを行った相手に「Webカム変えた?」と聞かれる程度には相手にも変化があるようです。
・M2 チップの実力
今年の MacBook Air の重要な新機能として「M2」搭載があります。
M2 は Apple Silicon 第2世代であり、M1 と比較して最大1.4倍高速、Intel Mac と比較して15倍高速だと謳われています。
性能差については、作業の内容によるため一概に比較することはできませんので、GeekBench 5 の結果を載せておきます。
筆者は、あくまでも外出先で使用する、いわばサブ機として MacBook Air with M2 を購入しており、使用目的として「ほどほどのスペックがあれば十分」であるため、M2 で何か不満を感じたことはありません。
事実、MacBook Air M1 と比較して、Photoshop や Lightroom での目立った動作速度の違いは感じ取れず、4K動画のエンコードでもしない限り、体感できる有意な差は出ないでしょう。
そのため、M1 ユーザーが強く買い替えを動機付けさせられるほどのスペックアップではありません。
・報道されているデメリットをどう考えるか
MacBook Air with M2 のデメリットとして、256GB モデルの SSD 速度が M1 よりも劣る、熱による性能抑制(サーマルスロットリング)の発生が M1 よりも発生する可能性が高いという2点があります。
確かに、先の報道の通り、SSD 速度は以上の通りとなっており、M1 と比較すると低下していることを確認できました。(M1の半分程度)
しかし、筆者はあくまでも外出先でのサブ機として MacBook Air with M2 を購入しており、使用方法としてもクラウドもしくは NAS のデータを触る程度です。そのため、SSD の転送速度が多少遅くとも実用には十分耐えうる速度であるため、これで良いと感じています。
また、熱問題に関しても筆者は8コアモデルを選択しており、根本的に10コアモデルと比較して発熱が少ないこと、あまり負荷がかかる作業をしないため、発熱が気になったことはありません。
そもそも、MacBook Air の購入層からして「長編の4K動画を頻繁に編集します」という人は皆無に等しく、筆者を含め、これらの人が、この2つの問題点を気にするとは思いません。
ですので、気になる人が 512GB 以上のモデルや同じく M2 搭載でファン搭載の MacBook Pro 13 を買えば良い程度の問題だと思います。
・MagSafe 3
筆者個人的に MacBook Air with M2 で最も好きな機能が MagSafe 3 です。
オレンジとグリーンのランプの点灯も懐かしい
「まーた、独自規格を増やしやがって」と感じている人も一定数いそうな MagSafe ですが、MagSafe 1/2 を使ってきた人間としては「MagSafe の便利さが再び」という感じで、使用中も「あー、そうそう」と思わされることがあります。
便利さとはなんぞや?という話ですが、これは着脱の容易さ、万が一ケーブルに引っ掛かっても MacBook が吹っ飛んでくることがないという2点であり、ここ数年この便利さを取り上げられていた人間からすると、懐かしさと共に「やっぱりこっちの方が良いじゃん」と改めて感じました。
筆者は MacBook Air 2018 を購入した直後に書いたレビューでも「MagSafe の復活」を訴えていたくらい、MagSafe の機能性に惚れ込んでおり、「せっかく復活したんだ、充電に USB-C なんて二度と使うか」となっています。
ただし、iPhone の MagSafe は現状ではポンコツだと思っています。
・使い始めて1ヶ月が経過して
MacBook Air with M2 を使い始めて1ヶ月が経過しましたが、相変わらず非常に満足した性能を発揮してくれています。
まず、この1ヶ月で MacBook Air を充電した回数は両手で数えられる程度しかなく、高い省電力性能を遺憾無く発揮しています。しかし、使おうと思ったらバッテリー残量が10%しかない。という事態にも遭遇するので、省電力であるがゆえの弊害には注意が必要だと感じました。
とはいえ、67W以上の USB-PD 充電器を使用すれば30分で50%以上の充電ができますので、充電のし忘れを多少はカバーできます。
また、Apple Silicon にネイティブ対応しているアプリとそうでないアプリの動作を比較すると、対応しないアプリの安定性には困ることがあります。これは、M1 の時から存在した問題ではありますが、M1 で上手く動くのに M2 では上手く動かない。というケースもあり、まだまだ不安定さは残っています。
この点については、メインマシーンに求められる「安定性」という観点から考えると、不安要素が残る部分であり、Intel Mac との併用も場合によっては検討すべきだと感じました。
・総評
誰もが満足できる製品、Intel Mac からは絶好の乗り換え先。
MacBook Air with M2 の総括としてはこれが最もしっくりきています。
ストレージや熱問題など一定の懸念点はあるものの、一応の現行機種である Mac Pro(2019)のベースモデルよりも高い性能を持っており、余程のことでなければ、スペックに不満を感じる人はまずいないでしょう。
旧モデルから買い替える価値があるか?と聞かれれば、「間違いなくある」といえるレベルであり、MacBook Air、ひいては Mac での体験をさらに加速させるものであると断言できます。
また、打ちやすくなったキーボードに向上したオーディオ周り、FaceTime カメラなど、MacBook Air with M1 と比較しても大きく進化していると感じます。
MacBook Air with M2 の購入を検討している人は、是非購入してみてはいかがでしょうか。