みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe(@WWDC1999)です。

今回は、世界有数のリゾート地 フィリピン セブ島の玄関口であるマクタン・セブ国際空港で購入できるSIMカードとその利用方法についてご紹介します。

・必要なもの

・SIMフリー端末
・フィリピンペソ(PHP)
・フィリピン人に英語で話しかける勇気

・端末について

まず、前提条件として現地で使用する端末(スマートフォン・タブレット)が必要となります。その端末はSIMロックがかかっていない端末、いわゆるSIMフリー端末である必要があります。

基本的に日本国内の携帯電話会社から販売されているスマートフォンなどには、SIMロックがかけられています。SIMロックがかかっていると、日本で契約しているキャリアのみでしか利用できません。そこで、このSIMロックを解除する必要があります。

総務省のガイドラインでは2015年5月以降に販売される端末については、SIMロック解除が義務化されています。iPhoneでいうと6S以降の機種であれば、キャリアのWebページから無料でSIMロックを解除することができます。

また、近年はMVNO(格安スマホ)などの普及で普段からSIMフリー端末を使用している。という方も多いかもしれません。その場合、SIMロックの解除など特別な作業をせずとも、端末を持ち込むだけでOKです。

なお、後述しますが、日本で使用しているSIMカードはフィリピンへ向かう機内で抜いておくのがベストだと思います。

・マクタン・セブ国際空港で購入できるSIMカードは2種類

セブ空港の国際線到着ロビーは1ヶ所。そのロビーを出ると右手に両替所、左手にSIMの販売カウンターがあります。

販売カウンター。常に賑わっている感じです。

ここで購入できるSIMカードを提供しているのは「Smart」(スマート)と「Globe」(グローブ)の2社。

料金は2社とも横並びで5日間が300 PHP(約615円)、7日間は400 PHP(約620円)と言った具合。ただ、Globeには15日/700 PHP(約1,435円)を超えるプランはなく、長期間滞在される場合はSmartの30日/1,100 PHP(約2,250円)か、60日/2,100 PHP(約4,300円)のプランを契約されると良いかと思います。

また、Globeのものはデータ通信(インターネットオンリー)専用ですが、Smartのものはデータ通信に加え、電話も付いていますので、現地で電話をかけれた方が良いという方はSmart 一択となります。

・いざ購入!

恐らく、我々日本人の大勢がまず思うこと。

「なんて言えば良いの…?」

私の場合、コイツ詳しいだろうなというのを察されたのか、どれを契約するかを聞かれて直ぐに契約終了となりましたが、大抵の場合は「Is this the phone unlocked?」(SIMロックはかかってないか?)など、SIMロックが解除済みであるかどうかを聞かれるようです。言い回しに多少の違いはあるにしろ、「unlocked」(アンロックド)というワードが聞こえたら、「unlocked」と答えればOKです。

そのあとのプラン選択は、「5Days Please」とかプラン表を指差して「Please」とかで、なんとでもなります。プランを伝えて、お金を払えば端末を渡すよう言われますので、担当者に端末を渡して下さい。この時に、端末の言語を英語に変更しておかないと面倒ですので、端末の言語は事前に英語にしておいて下さい。これに加え、日本のSIMカードは抜いておいた方が、紛失や取り違えのリスクがなくなるのでより安心だと思います。

SIMカードのサイズは標準、Micro、nanoに対応できるようマルチカットSIMになっています。

設定が終了すると、端末とSIMカードの台紙を渡され終了。ブースにいるスタッフは相当手馴れていますので、3分もあれば設定を終わらせてくれます。

・1日に使用できるデータ量は?

空港で購入できる2社のSIMカード。
実は会社以外にも大きな違いがあります。

それは、1日に使用できる高速データ通信を使い切った後の挙動

日本でも、3日で3GB以上使用すると速度制限がかかったりしていた時期もありましたが、要はそんな感じです。プランにもよりますが、両社とも1日800MB程度の高速通信が可能になっています。

が、問題なのはこの800MBを使い切ってしまった後の挙動。
Smartは使い切った後も、もはやLINEを送るにも困る通信速度ではありますが、通信自体はできます。しかし、Globeは1日に使える高速データ通信容量を使い切ってしまうと、日が変わるまでパッタリ通信できなくなってしまいます。

Globeのデータ通信ができなくなるという仕様に関しては、スマートフォンの存在価値を完全否定してしまう由々しき仕様です。

・現地での通信回線確保が完了!で、速度は?

契約方法の解説などは他のサイトなどでも行われています。けれども、問題となってくるのはその通信品質。言ってしまえば、契約だけなら誰だってできるんです。

しかし、常日頃からICT界隈の片隅にいる私が品質チェックをしないわけにはいきません。
というわけで…。

スピードチェックをさせていただきました。

結果としては、「Smart 速っ!」「Globe 遅っ!」でした。

詳しい方なら承知の通りですが、日本の都市部でも45.5Mbpsなんて滅多に出ません。しかも混雑時間帯の17時前後に。さらに、電波状況はアンテナ4本中2本と半分程度の受信感度。これ、受信感度がMAXだったらもっとスピードが出そうです。

その反面、Globe…。まぁ、よくあるレベルと言えばそうなのですが、ね…。比較対象が悪かったですね。まぁ、日本でもMVNOだとお昼頃はこれ以下まで通信速度が落ちるので、10Mbps出ているだけでもマシと言えばマシですが。

Globeがやや遅かったものの、Webページの閲覧やメールの送信などではどちらも困ることはない速度ですので、基本的な実用には両社とも耐えれそうです。

・フィリピンの対応バンドは?頻繁に圏外になる?

恐らく、ここに踏み込むのは日本語記事では私が初めてではないでしょうか。
フィリピンの携帯電話ネットワークで使用されているバンドと電波の受信感度についてです。

なんか、どんどん小難しい話になってきたな…。と思われると思いますが、現地で携帯電話を使用するに当たって最も大切な項目になりますので、先に結論を書いておきます。

日本で販売されているSIMフリー携帯電話を持ち込めば、大抵の場合は使用できる
街中でも海に近いと圏外になることもある。そして、室内に入ると圏外になる場合がある

以上がフィリピンの電波事情です。
もちろん、設備増強などで通信品質は変化しますので、記事執筆時点での結果とお考えください。

ここからはマニアックな方へ向けた内容です。
まず、フィリピンで使用されているバンドは、GSMが2つ、UMTSが3つ、LTEバンドが5つです。

UMTSとLTEが重複しているものありますので、それを除けば5つのバンドがフィリピンでは使用されています。ちなみに、日本とは違い、Smart、Globe共、使用するバンドは全く同じとなっています。ですので、以下の内容は2社に共通する仕様としてご覧ください。

フィリピンで使用されているバンドは、900 (E-GSM)、1800(DCS)、B1 (2100)、B5 (850)、B8 (900 GSM)、B3 (1800 +)、B7 (2600)、B41 (TD 2500)の7種類。Band 1や3はdocomoも使用している周波数帯の為、日本で販売されるSIMフリースマートフォンの大多数が対応していると思います。

が、その他はSoftBankがチョロっと使っていたりするだけのバンドや、そもそも日本では使用されていないバンドも存在します。そうなってくると、日本国内のキャリア経由で販売されるAndroid端末などでは、使用できない周波数も発生し、取得できる電波の数が限られてくる為、元々SIMフリーとして販売されている端末と比較すると通信状態が良くない場合もありそうです。ですので、安易にキャリア端末をSIMフリー化して持ち込むというのは案外危険かもしれません。もちろん、これはAndroidに限った話で、iPhoneであればフィリピンで使用されているE-GSMなどにも完全対応している為、これらの心配をせずともSIMロックさえ解除してしまえば、フィリピンの回線をフルで使用することができます。

そして、個人的に一番気になっているのが室内での電波状態の悪さ

窓から離れた奥まった部屋などに入ってしまうと、「圏外」の表示が出ることもしばしば。これについては、日本にいる時から薄々気が付いてはいたのですが、現地に来てみて「想像以上に頻発するなぁ。」と感じています。

この、室内で圏外になってしまう症状の原因はフィリピンにプラチナバンドが存在しないから

プラチナバンドというと、SoftBankが800Mhz帯を取得した際に大騒ぎしていましたよね。
なぜ、SoftBankがこのプラチナバンド取得で大騒ぎしたのか。それは、電波の周波数帯の性質にあります。

一般的に、高い周波数(1800など)は直進性が強く、障害物に遮られたり、反射してしまうのに対し、低い周波数は障害物などがあっても電波が回り込み、建物内にも電波が浸透しやすいという特性を持ちます。こうした特性から、700~900MHz帯は携帯電話サービスの提供に適している周波数とされています。

要は、室内の電波状況を改善しようとした場合、低周波数帯のバンドが必要になる。だから、SoftBankはプラチナバンドを取得できた際に、大々的に広告を打つほど大騒ぎしたのです。実際、取得前後を比較すると室内での電波状況は大きく改善されています。

既に結論を先述しているので、書く必要もないですが、フィリピンには携帯電話ネットワーク(4G/LTE)が使用できる700~900MHz帯の電波は割り振られていません。ですので、窓から遠い室内では圏外が頻発してしまいます。

・個人的にはSmart 1択

わざわざ、この記事の為に空港で2回線を契約するという奇行を行いましたが、検証してみて「やってよかったな」と思っています。今後、フィリピンへ来ることが全くないとは言い切れませんし、フィリピンの携帯電話事情についても詳しくなれましたので。

その上で、私が出した結論としては『フィリピンでSIMを契約するならSmart 1択』。
実際、こうして記事をかけているのも通信品質の良いSmart回線があるからで、画像のアップロードやダウンロードなどGlobe回線では少し辛いかな。と感じました。

それに、空港で契約できるSIMカードでは唯一、電話機能がついていますし、1日の高速データ通信容量を使い切ってしまっても遅いながらも通信できる仕様は地味にありがたかったりします。

 

まさか、海外に来て、ここまで長文の記事を書くとは思いもしませんでしたが、フィリピン南の玄関口。セブでのSIMの購入方法や、フィリピンの電波関係のお話など、他よりも踏み込んだ内容をお届けできたのではないでしょうか。

セブはバカンスや留学など、日本からの旅行者も多いということなので、そんな皆様のより良い旅のお手伝いができたなら幸いです。

 

余談ですが、フィリピンのコンセントは日本と同じ「Aタイプ」ですが電圧が220Vですので、スマートフォンに付属している充電器が使用できるかどうかは事前に確認しておいて下さいね。(iPhoneやiPadなどのApple製品は問題なく使用できます)

私は、iPhoneやモバイルバッテリーの充電にこれを使用しています。

ケーブル&LED内臓のモバイルバッテリーを使うと荷物が減って便利です…。

最終更新日:2019年2月1日

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