みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe(@WWDC1999)です。

Appleが発表会を行ったあとの恒例となっている、発表会の総評。
今回のスペシャルイベントは、2012年ぶりに公式の生中継がなく会場の様子などをお届けすることはできませんが、新しい新製品がいくつか登場しましたので、特徴や価格などをまとめてお伝えしていきます。

まず、というか今回の発表会の目玉である「iPad 9.7インチ(第6世代)」から。

スペックやその他の細かい仕様などがアップデートされていますが、このiPad最大の特徴は「Apple Pencilに対応した」ということで良いと思います。元々、iPad 9.7インチはエントリーモデルとして提供されていた製品でしたが、その製品がApple Pencilに対応したということは個人的にはかなり衝撃的なアップデートでした。

なにせ、たったの¥37,800でApple Pencilが使えるiPadが買えてしまうのですから。

Apple Pencilの動作仕様などについては現行のiPad Proと同じとなっているかは不明ですが、少なくともディスプレイは120Hz駆動ではないため書き心地の滑らかさには欠けると推測されます。(感覚でいうと初代iPad Proと同等?)

その他の細かいアップデートを確認すると、iPadのコアとなるCPUにはA10 Fusionチップ搭載され、「iPad 9.7インチ(第5世代)」と比較するとCPUは40%高速化され、グラフィックパフォーマンスは50%高速化されています。

既にiPhone XやiPhone 8が「A11」チップを搭載していることを考えると、iPhone 7や現行のiPad Proと同等の「A10 Fusion」チップが搭載されている仕様にやや古臭さを感じないこともないですが、両者の性能差はそこまで大きくないですし、価格を考えれば十分な構成だと思います。

そして、個人的も最も評価したいと思っているのが「カメラが突起していない」ということ。iPad Proのカメラ性能と比較すると解像度なども控えめとなっていますが、iPadにカメラは不要論を唱える私としては性能よりも、「美しいデザインにまとめられている」という方が重要なので、カメラが突起していないiPadが出て歓喜しています。

また、本体のカラーは、シルバー、スペースグレーに加え、「新しいゴールド」が追加されています。上記の画像でも分かる通り、iPhone 8 ゴールドモデルの側面と同じ仕上げとなった「新しいゴールド」で、従来のゴールドやローズゴールドの中間色となっています。

本体の容量は32GBと128GBモデルが用意されており、通信方式はWi-FiモデルとWi-Fi + Cellularモデルの2種類が用意されています。

なお、価格は¥37,800〜で既に予約受付が開始されており、週内にも発送されるようです。

・新しいiPadに合わせiWorksもアップデート

こちらは非常に地味な扱いとなっていますが、新型iPadがApple Pencilに対応したと同時にiWorks(Pages、Numbers、Keynote)もApple Pencilに対応しました。

主なアップデート内容は、こちらも「Apple Pencilに対応した」ことです。
Apple Pencilに対応したことにより、作成中の書類に手書きの文字や図形、スケッチを挿入できるようになった他、Apple Pencilでの操作にも最適化されました。

また、Pagesには電子書籍作成ツール「iBooks Author」を内蔵する他、スマート注釈機能も搭載されました。

・その他、iPhone/iPadケースの新色やApple Watchバンドの新色も登場

こちらは、iWorksのアップデートよりも更に地味な存在となっていますが、iPad Pro 10.5インチ用のスマートカバーとレザースリーブケースに新色が追加され、iPhone X/8/7用ケースにも新色が登場しています。

また、こちらは発表自体は行われていたものとなりますが、春色が特徴の新しいApple Watchバンドの販売も開始されました。

そして、最も目立たないのがiMac Proに付属しているスペースグレイの「Magic Mouse 2」「Magic Trackpad 2」と「Magic Keyboard」の単品販売が開始されたということ。

これまではiMac Proを買う際にしか購入できなかった製品でしたが、単体販売が始まったことによりMacBook Proなどを購入する際に同系色のアクセサリーとしてこれらの製品を購入できるようになりました。

・LogicoolからiPadアクセサリーが登場したけど…?

最も扱いに困っているのが、Logitech(Logicool)が発表した「Logitech Crayon」と「Rugged Combo Case」。

Logitech Crayon

Logitech CrayonはLogitechとAppleの共同開発で、Apple Pencilと殆ど同等の機能を提供しながらも価格は半分となっている教育機関向けスタイラスで、Rugged Combo Caseは、iPadケースとキーボードが一体となったケースとなっています。

Rugged Combo Case

なお、これらの販売は教育機関向けに行われ、一般向けに販売されるかどうか、国内での販売があるのかどうかなど一切のことがわかっていません。

・今回の発表会はエデュケーション市場を意識したものばかり

今回のスペシャルイベントのサブタイトルは「Let’s take a field trip」(先生と生徒のために新しいアイデアを創造します)。

さらに、イベント自体をアメリカ イリノイ州シカゴにある「Lane Tech College Prep High School」で行うなど、会場のセッティングからしてエデュケーション(教育)市場を意識した発表会であったことがわかります。

実際、新型iPadやiWorksのアップデート、Logitech CrayonとRugged Combo Caseなど、発表されたもの全てが教育機関での利用を想定した製品やサービスになっています。また、品質や製品構成などAppleらしさを残しながらも、求め易い価格で上手くまとめ、教育機関から何を求められているのかを分析し、それに応える、または求めていた以上の答えを教育機関に提示した発表会だったのではないかと感じています。

今回の発表会で、我々、教育関係者以外が受けれる最も大きな恩恵は「Apple Pencilに対応したiPadが買える」というくらいになります。しかし、昨年登場した9.7インチのiPadは低価格が教育機関や法人・個人にもウケ、当初の販売目標を大きく上回るなど、低迷が続くタブレット市場の起爆剤となりました。低価格というだけで市場が盛り返しつつある今、Apple Pencil対応の低価格なiPadを市場に投入することで、さらに市場が盛り上がり、Appleも製品のブラッシュアップを継続し、他社からも良いタブレットデバイスが登場するキッカケになるかもしれません。

 

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最終更新日:2018年10月20日