みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、2019年2月1日よりモバイルバッテリーでの表示が義務付けられた、PSEマークについてです。

本稿執筆時点で、既に制度の運用が開始されており、大きなトラブルもなくスムーズな出だしとなった本件ですが、施行前後で具体的に何が変わったのかをはっきり把握してない方も多いと思います。

そこで今回は、施行前後で我々消費者が受ける影響や、PSEマークの制度を中心に、我々消費者が講じるべき対策をご紹介します。

・施行に伴う消費者への影響はごく僅か

多くの人が疑問に思う、「施行前後で何が変わるの?」という疑問。
はっきりいってしまえば、「何も変わらない」というのが本当のところです。

実際、PSEマークがない製品であったとしても安全な製品は安全ですし、設計上のミスがあればPSEマークがあったとしても、危険なものは危険です。そもそも、このPSEマークというのは、製造・輸入事業者に対し、技術基準に適合していることの確認や、検査記録の保存など課し、企業がその遂行を社会に示す制度であり、国の機関が製品を個別に検査し安全性を担保するというものではありません

要するに、PSEマークという制度は任意や善意に支えられている制度であり、マークの取得に関しても具体的な審査がある訳ではないため、企業のモラル問われる制度と言えます。

ですので、PSEマークがあったところで消費者は、良い意味でも悪い意味でも何の影響も受けません。本制度は、あくまでも事業者に対する規制に重きを置いています。

※本項のPSEマークは、モバブへの掲示の主流である丸型PSEマークを指します。菱形取得には第3者機関での検査が義務付けられています。

・製品の品質に違いは出るのか?

おそらく、最も多くの人が気になるであろうことは、施行前後で製品の品質に差異があるのかということ。

答えとしては、「ない」というのがベターだと考えています。
実際、モバイルバッテリー大手のAnkerなども、施行前後で製品の品質に相違がないことを発表しています。

もちろん、「ベター」というには訳があり、施行前に雑な設計の製品を販売していた業者が、施行に伴い設計の見直しを行い、結果として製品の品質が向上したということも考えられるためです。

なお、品質に差異がないため当然ですが、表記義務化(19年2月1日)以前に購入した製品の買い換えを行う必要もありません

・万が一PSEマークがない製品を購入すると?

念の為、こちらもあわせてご紹介しておきますが、2019年2月1日以降に購入したモバイルバッテリーにPSEマークがなかった場合でも、消費者が罪に問われることはありません

電気用品安全法の罰則を定める、57〜60条を確認しても「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、又はこれを併科」という記載などがありますが、これは事業者に科されるものであり、消費者に適用されるものではありません。

なお、個人が使用を目的とした輸入を行なった場合でも、販売には当たらないため懲罰の対象となることはありません。

・信頼できるメーカーの製品を買いましょう

ここまでお読みいただいた方であれば、PSEマークがいかに無力であるかがお分かりいただけると思います。

今回の制度施行により、Amazonなどから粗悪なモバイルバッテリーが減少することとなったのは事実ですが、重大事故を招きかねない粗悪な製品自体を減少させることに繋がるかは現段階では未知数です。

やはり、そうなると信頼できるメーカーからの製品購入が、事故から身を守る最大にして最強の手段となります。

また近年、USB-PDの普及に伴いモバイルバッテリーから出力される電気量が増加の一途を辿っており、安全性の高い製品はより高く、安全性の低い製品はより低くなる傾向があります。さらに、従来は安全とされていたメーカーもUSB-PDの難解さを攻略できずに、粗悪な製品を販売している例もありますし、今後は最大手以外からリリースされる製品以外を避けることも必要となりそうです。

最終更新日:2023年11月3日

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