みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、Anker PowerPort Speed 4 をレビューします。本製品は、Quick Charge 3.0 に対応した USB-Aポート1つと、合計4.8A出力に対応したUSB-Aポートを3ポート搭載したUSB充電器です。

なお、本製品はUSBやQuick Chargeの規格に準拠しない安全性に疑念がある製品ですので、購入は一切推推奨できません

・開封

パッケージ

内容物は、本体、取扱説明書類。

本体

プラグは折りたたみ式

USB-Aポートの配列は以上の通り

・USB-Aポートの保護機能が正常に動作しない

本製品の USB-A ポートは、USB Battery Charge(USB-BC)と Quick Charge に対応した2種類が存在します。
そのうちの USB-BC 対応の3ポートについて、正常に保護機能が動作しない上に、仕様にはない Quick Charge 2.0 への対応が確認できました。

本体仕様(クリックで拡大)

Quick Charge ポート
こちらは、12Vまでの Quick Charge 3.0 に対応する他、Apple 2.4A 充電にも対応する。

USB-BC ポート
こちらは、通電時は Apple 2.4A と、Android の2.0A充電対応を通知。

しかしながら、電流を流し始めると Quick Charge 2.0 への対応を通知。

さらに負荷を上げると、USB や Quick Charge 2.0 の規格に準拠しない3.37V/5.03A出力を確認。

出力の限界値を調査しようとしたところ、計測機器の安全装置が作動するまで出力が継続された。

検証の結果、本体に3ポートある USB-Aポートが Anker が公表している仕様と合致しない点があることがわかりました。

同社の仕様表や取扱説明書によると、USB-Aポートからの最大出力は3ポート合計で4.8A、1ポートの最大出力は5V/2.4A(12W)となっています。しかし、実際の数値は1ポートから3.37V/5.03A=16.9W(4.9Wオーバー)と、仕様に表記された数値を大幅に超えています。また、下段3ポートの Quick Charge 対応については一切言及されていません。

今回の検証では、17Wを超えた時点で出力が停止されることを確認できましたが、これは本体に実装されていると謳われている保護機能が動作したものではなく、回路設計上の限界値を超えたために出力が停止されたものと推測できます。

この結果を見る限り、Anker が実装を謳うUSB-Aポートの保護機能は実装されておらず、まともな安全対策がなされていないことがわかります。これは、本体の異常発熱や基盤焼損などの原因となり、熱による本体変形や接続デバイスの破壊を招く場合もあり、保安上の重大な問題であると言えます。

・総評

各社が苦戦する USB-PD 製品では、比較的地に足ついた設計を行っている Anker が、レガシーポートであるUSB-A製品で規格違反品をリリースしていることには、正直驚きを隠せませんでした。

USB-IF の規格上、USB-A(BC)の最大出力は 5V/1.5A、Apple 2.4A でも5V/2.4AがMAX値です。また、下段3ポートのUSB-Aポートの非公式な Quick Charge 2.0 対応を無視したとしても、3.37V/5.03A という出力は Quick Charge 2.0 の規格に沿ったものではありません。さらに、各ポート最大2.4Aの出力のはずが、この数値を大きく上回る5Aに到達しなければ出力が止まらないことも問題です。

さらに、本体の販売ページに安全機能が実装されていると案内されていますが、実際には実装されていないと考えられ、この点についても景品表示法の優良誤認に該当する可能性があるものです。

なお、本体に1ポート搭載されている Quick Charge 3.0 ポートについては、正常に保護断が作動することを確認しており、規格違反などもありませんでした。

このことから、Anker PowerPort Speed 4 は安全性に重大な疑念がある購入を推奨できない製品と結論付けます。

最終更新日:2023年8月30日