みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、充電器に書かれている12Wと24Wの違いについてご紹介します。

なお、本稿はみなさまにわかりやすく内容を理解していただく目的で作成しておりますので、詳細などを省略している場合もあります。その点についてはご容赦下さい。

・両者の違いは充電器の仕様を間接的に表す

12Wと24Wの違いは、充電器に設けられたポート数(充電口)の数です。

一見すると、なぜW数が充電器の直接的な仕様(充電速度に関わる部分など)ではなく、ポート数という間接的な仕様を表しているのか?となりますが、これには USB の規格が深く関わっています。

・この表記は特定の充電器で多く見かける

12Wや24Wという数字は、多くの場合特定の充電器でしか使われない表記となっています。
その充電器というのが、USB-A 端子を使った出力を行う充電器です。

USB-A ポート。多くの方が USB といったら思い浮かべる形状。

USB-A 充電器でこの表記が使われる理由は、大抵の USB-A ポートの最大出力が5V/2.4A(12W)だからです。この数字は、1ポートからの最大出力であり、USB の数(充電口)が増えるにつれ、24W(2口)、36W(3口)、48W(4口)といった風に数字が増えていきます。

しかし、近年では USB-C の普及により12W以上の数字を見ることはなくなりつつあります。

・ただし例外はある

W数と USB ポートの数は比例すると先述しましたが、全ての製品がこれに当てはまるわけではありません。

一部の製品には、USB-A ポートを2ポート備えているにも関わらず、最大12Wとなっているものもあります。この場合、1ポート使用時には12W(2.4A)での充電ができますが、2ポート同時使用時には5W(1A)での充電に制限されます。この結果、iPad などのタブレットは充電できなくなり、スマートフォンやモバイルバッテリーなどは充電速度が大幅に低下します。

また、一部の USB-A ポートが Quick Charge に対応している製品に関しても、Quick Charge 使用時は他のポートからの出力が弱められたりするものがあり、W数と USB ポートの数の比例はあくまでも参考程度と考えておいた方が無難です。

・数字が大きいほど大きな電気を扱える

12Wや24Wという数字は、取り扱える電気量を表しています。
12よりも24の方が大きい数字ですので、24Wは12Wよりも大きな電力を扱っています。

これは先述したように、充電速度に大きく関わってくる部分です。1ポート36Wという USB-A 充電器は存在しませんが、デバイスを複数台充電したい場合は USB ポートの数とW数のバランスが取れているかを確認することが重要です。

・1Aと2Aの言い換えに過ぎない

この表記は、USB-A 充電器で多用されてきた 1A(5W)と 2.4A(12W)をW数で表記したものに過ぎません。

従来、USB-A 充電器の充電電圧を表記するために一般的に使われていたのは、A(アンペア)であり近年になりW(ワット) が多用されるようになりました。この背景には、USB 充電の進化があります。

近年、USB-A よりも大きな電気量を扱える USB 充電規格として USB Power Delivery(USB-PD)が台頭してきています。USB-PD は、最大100Wまでの電気量を扱うことができ、旧来の USB-A と比較し大幅に充電性能が向上しています。

この USB-PD で多用されている充電電圧を表記がWです。そのため、アクセサリーメーカーはこの表記と整合性を持たせるために USB-A 充電器にもW数を使うようになる傾向が強まりました。

すなわち、A/W数表記の使い分けはメーカーのマーケティング的な要素が強く、性能などの仕様に関わる要素の違いは全くありません。

・目的に応じた製品選びを

本誌では、それぞれの目的に見合った記事を用意していますので、本記事で生じた疑問点については別記事も合わせてご覧いただければと思います。

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最終更新日:2023年10月14日

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