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【98%には不要!?】Apple Music のロスレスオーディオの効果を冷静に考えてみる

みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、先日より開始された Apple Music のロスレスオーディオについて、独断と偏見でその効果を考察してみます。

・そもそもロスレスオーディオとは?

Apple Music でのロスレスオーディオとハイレゾの定義は以下の通りとなっています。

・ロスレスオーディオ(ALAC) 44.1kHz/16bit(CDと同等)、48kHz/24bit
・ハイレゾロスレス(ALAC) 192kHz/24bit
・高音質(AAC/従来までの最高音質) 256kbps

なお、言葉の意味としての「ロスレスオーディオ」とは、日本語にすると「可逆圧縮」。圧縮前のデータと、圧縮・展開の処理を経たデータが完全に等しくなるデータ圧縮方法のことを指します。オーディオファイルでは、Apple Lossless 以外に FLAC や Windows Media Audio Lossless などがあります。

・データ量は爆増

ロスレスがいくら圧縮されたオーディオファイルだとはいえ、ファイルのデータ量が増加する分、再生にかかるデータ負荷は急増します。

3分間の曲によるデータ通信使用量は、およそ以下の通りです。

・高効率 1.5MB
・高音質(256kbps) 6MB(4倍)
・ロスレス(48kHz/24bit)36MB(24倍)
・ハイレゾロスレス(192kHz/24bit) 145MB(97倍)

※倍率は高効率と比較して

ハイレゾロスレスで1時間楽曲再生をした場合、消費されるデータ量は2.9GB程度にも到達し、Wi-Fi 環境下や5Gの使い放題プランでの使用が想定された仕様といえます。そのため、使いもしないのに本機能を有効にするのはギガ死を招く原因となりますので、慎重に判断する必要がありそうです。

・音質は劇的に変わr…?

ここからが本題です。
ロスレス/ハイレゾにより、音質は劇的に変化するのか?皆さんが気になるポイントはこれしかないと思います。

結論からいうと、ほとんどの人が劇的な違いを実感できるものではありません

もちろん、高効率と聞き比べると変化に気付く人が大半でしょうが、高音質やこれに準ずる形で配信されている iTunes のダウンロード音源などと比較した場合、ほとんど差はないと言って良いと思います。

そもそも、数十万円以上の機材を使用したとしても、ものすごく、とてもよく、かなりの頻度、すり減るほどに聴いている楽曲の「ふとした瞬間」の音が僅かに異なる。程度である以上、数千円〜数万円のオーディオ製品で聴き比べたとて、そこで感じる違いは気のせいもしくはプラシーボ効果です。

また、現時点ではデータ量の多いロスレス以上の音源を、ワイヤレスイヤホンに安定して転送できる術もないことから、Apple お得意の AirPods ファミリーや高音質で人気の SONY X M シリーズで聴いても*1、それはデータの一部が欠落した不完全な音でしかありません。

※1. iPhone は SONY LDAC に非対応

・Apple 役員も認める変化の薄さ

ここまで、理屈や一般論をこねくり回して来ましたが、Apple のインターネットソフトウェアおよびサービス担当上級副社長の Eddy Cue(エディー・キュー)氏は、ロスレスオーディオに関して以下のように述べています。

ロスレスの現実は、100人の人にロスレスのステレオ曲を聴かせた場合と、Apple Music に入っている圧縮された曲を聴かせた場合、99人か98人かはわかりませんが、違いがわかりません。

現在、私たちはロスレスをサポートしていますが、これは一部のお客様のためだと考えています。少数の顧客ですが、彼らはそれを望んでおり、我々は必ずそれを提供します。良いニュースは、ロスレス、Dolby Atmos、空間オーディオの3つの機能が使えることです。しかし、ロスレスが主流になるわけではありません。

Apple の、しかも、インターネットソフトウェアおよびサービス担当上級副社長に「98人か99人かは知らんが、殆どの人がその違いがわからない」といわれている時点で、もはやロスレスやハイレゾによる音質の差について議論したり、考えたりすることが無駄であるといえます。

むしろ Apple としては、空間オーディオや Dolby Atmos が最大のセールスポイントであり、ロスレスやハイレゾはあくまでもおまけ程度と考えていることも見て取れます。

・私感

それじゃぁ、この記事を書いているお前はどう感じているんだ?という話になると思います。

筆者は、効果はあるとは感じているが、やはり全ての人が恩恵を被れるとは全く考えていません。これには、再生環境の限界と費用対効果が大きく関わっています。

そもそも、Apple Music を利用するどれだけの人がロスレスやハイレゾを聴ける環境を持っているでしょうか?近年主流のワイヤレスイヤホンは先述の通り、ロスレス音源を転送することはできませんし、ハイレゾに至っては再生に有線イヤホンに加え DAC が必要となり、手軽に音楽を楽しめることが醍醐味のストリーミングサービスにおいては、本質を見失った行為のように感じます。

また、それだけの設備を準備したとしても提供されるのは僅かな音質の違いであり、その気の気のせいレベルの音質の差に数万〜数十万円をかけるのもあまりにも経済的ではありません。

・人それぞれの向き合い方がある

どんな分野にも様々な趣味、趣向が存在します。特に音という分野には、強いこだわりを持つ方が多くいます。

ですので、私が具体的な意見を押し付けがましく「これは絶対にこうだ!」とは言いません。音楽の楽しみ方は人それぞれで、最高の環境で最高の音質で楽しみたい、手軽に好きな曲を聴いてテンションをあげたい。など様々だと思います。

今回の Apple Music のアップデートは、Eddy氏が語る通り、様々なニーズに応えるために行われたものだと思います。より多くの『選択肢』が用意されることは、顧客の満足度を上げたり、新規顧客の取り込みなどのマーケティング的な意味が強く、筆者は多くのユーザーがそれほど真剣に向き合う必要はないものなのではないか?と感じました。

そして、何よりも「純粋に音楽を楽しむ」ことを忘れては意味はありませんので、細かいことは気にしない、深く考えないことも時には大切なことだと思います。

ソース:9to5Mac

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