みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
今回は、Belkin より販売が開始された BoostCharge 3 Port USB-C Wall Charger with PPS 67W(Belkin 67W 3ポートUSB-C充電器)をレビューします。
本製品は、1ポート最大67W、3ポート合計65Wの出力が可能な USB-PD 充電器となっています。
開封
パッケージ
内容物は本体と取扱説明書
本体
USB-C ポート
プラグは折り畳み式
他の製品と比較
本製品を、Belkin USB-C 充電器 with PPS 60W と Satechi 108W USB-C 3-Port GaN Wall Charger と比較してみます。
よくわからない
比較対象として、同じ3ポートの Satechi と60Wの Belkin 製の製品と比較してみましたが、いずれも形状が大きく異なり、W数も異なるため、比較する意味があまりありませんでした。
というよりも、本製品の形状が USB-C 充電器としては少数派な、コンセントに対し USB-C ポートが垂直にくるタイプであり、Belkin 製ではよく見られる形状ですが、他のメーカーではほぼ見かけません。そのため、類似製品があったとて、どのみちまともなサイズ比較はできなかったでしょう。
本体の仕様を確認
ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、各ポートの過電流に対する保護機能を確認しました。
問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露呈するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。
確認の結果、メーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致していることを確認できました。また、100W(5A)ケーブルと60W(3A)ケーブルの区別も正常に行われていることも確認できました。
次に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。
過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として充電器には必要不可欠なものです。
確認の結果、公称値+0.5〜0.7A程度で保護機能が動作することを確認でき、保護機能は有用に動作するといえる状態にあることを確認できました。
最後に、各種デバイスへの給電状況をチェッカーを使用して確認します。
確認に使用したデバイスは、MacBook Air with M2、iPad 10、iPad 9、iPhone 15 Pro、iPhone SE(第2世代)の5機種で、いずれも高速充電が動作していることを確認できました。
※iPhone 15 Pro の最大充電W数はイマイチ情報がありませんが、いつの間にか27Wになった模様です。(あくまでも参考程度に)
最高傑作といって差し支えない
筆者は本製品をスマートフォンやタブレット用の USB-C 充電器として、最高傑作といって差し支えないと考えています。
同社からは、45〜65Wの2ポート USB-C 充電器が多数リリースされています。特に、BOOST↑CHARGE PRO 65W DUAL USB-C GAN WALL CHARGER WITH PPS に関しては出力も近く、USB-C ポートの数と若干の出力の違い以外では仕様上に大きな差異はありません。
しかし、本製品の USB-C ポートが1つ多いという仕様が、本製品を最高傑作と呼べる最大要因です。
その理由は、上記の画像を見ていただければわかるかもしれませんが、65W・45W版の機能性が包括され、両製品の良いとこ取りを実現しているからです。
「両方を包括しているというなら、65Wもそういえるのでは?」と思われるかもしれませんが、65W版の45W+20Wという出力配分の45Wは、スマートフォンやタブレットの充電には過剰となります。
その反面、45Wでは大抵のノートパソコンでは出力が不足し、65Wも近年の MacBook シリーズで使うにはW数が不足しているため、筆者はこの手の充電器に使い勝手の悪さを感じていました。
45W版に関しては、25W+20Wの出力ができるものの、あくまでもスマートフォンやタブレットの充電に特化したものとなり、ノートパソコンの充電には先述の理由により不向きです。
また、両者共、Apple Watch やワイヤレスイヤホンのことを考えると、USB-C ポートが2つでは足りていません。
3ポートではあるがモバイル用としては出力が大きすぎる
しかし、本製品は最大67Wの出力で、1ポート使用時は MacBook Air 13 の高速充電と MacBook Pro 14 の通常速度での充電が可能となっている上、USB-C ポートが3ポートあるため、iPad + iPhone + Apple Watch という使い方ができ、いずれのデバイスも最速ではないものの、高速充電を行うことができます。
本稿執筆時点では、3ポートの USB-C 充電器は USB-C*2 + USB-A という構成が最も一般的です。しかし、2023年にもなって USB-A ポートをつけられたとて、その使い道はなく、充電速度も遅いため、筆者はこのスタイルも好きにはなれませんでした。
本製品は純然たる3ポート USB-C 充電器であり、仕様もよく考えられていると思います。おそらく、全ての70W前後の USB-C 充電器が実現すべきスタイルであり、しばらく使用してみて、「これは良い」という感想と同時に「なぜ人類は今までこれを思いつかなかったのか」と感嘆させられました。
なお、あくまでも本製品はモバイルデバイス向けの3ポート USB-C 充電器の最高傑作であり、3ポートの USB-C 充電器の史上最高傑作は Satechi 108W USB-C 3-Port GaN Wall Charger であることに揺るぎはありません。
使用感
本製品の出力配分が絶妙なのは先述の通りです。しかし、それ以外の点でも本製品が最高傑作と呼べるに相応しい理由があります。
1つ目は、全ての USB-C ポートにケーブルを刺していても、ケーブルの先にデバイスが接続されていなければ、1・2ポート充電器として使用できるということです。
世の中には、一定数ケーブルを抜かないとマルチポート充電器として稼働し続けるという製品があります。これでは、最適なW数で充電を行おうとすると、都度ケーブルの抜き差しを行わなければならず、使い勝手が非常に悪いものです。
また、本製品は途中でデバイスを増減させても、充電が完全に停止(瞬電)されることはなく、瞬電が起こると発生する充電開始音の大合唱を回避できます。
ポートの向きはこっちじゃない方が良かった気がする
2つ目は、近年流行りの出力の自動分配機能がないという点です。
この機能を有する製品は、どの USB-C ポートに接続してもデバイスに応じた電流を流すと謳われています。しかし、挙動を見ていると「本当にそれが適切なW数か?」と言いたくなることがあります。
酷いものでは、MacBook に20Wを流し続けるといったものもあり、本製品は本機能がないため、ポート毎の出力配分を記憶しておく必要性がありますが、機能自体が発展途上であることを考えれば、ない方が確実な充電性能を期待できます。
なお、本製品は67W出力(1ポート使用時)であれば、本体のいずれのポートからでも出力することができます。
総評
マルチポート USB-C 充電器のニュースタンダード。
本製品はそう断言できる製品です。基本的な性能や安全性に問題がなく、ユーザーエクスペリエンスの面でも出力配分やプラグが折り畳める点など、1つの製品として非常に洗練されており、全ての人にオススメできる製品です。
また、価格面からしても従来の65W充電器+¥1,000程度で、USB-C ポートが1つ増え、高い機能性を得られるのであれば、こちらを選ぶべきでしょう。
これからマルチポート USB-C 充電器の購入を検討している方は、本製品を購入してはいかがでしょうか。