みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、知っているようで知らない、モバイルバッテリーの容量を選ぶ際のポイントをご紹介します。

そもそも、モバイルバッテリーの容量とは?という方の為に、どのように容量の表記がなされているのかをご紹介しておくと、製品ページなどに記載されている「10,000mAh」や「5,000mAh」などの数字がモバイルバッテリーの容量を表す単位となっています。

・まずは使用する端末のバッテリー容量を把握する

適切なモバイルバッテリー選びにおいて、最も重要なことは利用中の端末のバッテリー容量を把握することです。
この作業を怠ると、容量の割りに充電できる回数が少ない。充電速度が遅いなどのトラブルの原因になります。

例えば、本稿執筆時点で最新の機種である iPhone 11 の場合、バッテリー容量は3,110mAhとなっています。

その為、最低限の充電ができれば良いという場合は、5,000mAhクラスの製品、余裕を持った充電を行いたい場合は10,000mAh、旅行時や災害時に便利なのは、20,000mAhクラスとなります。

本誌では、iPhone や iPad などの Apple 製品のバッテリー容量をまとめたページを公開しています。
バッテリー容量把握の際に、是非ご活用下さい。また、Android などの機種の場合はメーカーの公式ページで容量の確認することができます。

・モバイルバッテリーは全ての容量を使える訳ではない

先ほど、iPhone 11 を例に出し、簡単に容量の選び方をご紹介しましたが、これは以下の計算式に基づき算出された結果をベースに判断をしています。

(モバイルバッテリーの容量×0.8)÷ 端末のバッテリー容量

この式が表すのは、モバイルバッテリーに記載されている容量はその全てを使い切れる訳ではないということです。

例えば、バッテリー容量が3,000mAhのスマートフォンを、3回満充電できるモバイルバッテリーを購入しようとした場合、単純計算すると、9,000mAhのモバイルバッテリーを用意すれば良いということになります。

しかしながら、どれだけ効率の良いモバイルバッテリーでも記載容量の8割程度しか充電に使用できる容量がなく、仮に10,000mAhのモバイルバッテリーを利用しても、3,000mAhのバッテリー容量を持つ端末を3回フル充電する事は不可能です。(10,000mAh × 0.8) ÷ 3,000 = 2.66…

これは、充電中に発生する熱によるロスや、3.7V出力のリチウムイオン電池の出力を、スマートフォンなどを充電するのに適した電圧である、5Vに昇圧する(もしくは7.4Vからの降圧)際に生じる変換ロスが原因で、前述の通りモバイルバッテリーを利用する上では避けては通れない現象です。

その為、このロスを考慮してモバイルバッテリーの容量を選ぶ必要があります。

・10,000mAh が大容量の時代は終焉を迎えた

近年、スマートフォンのバッテリー容量は引き上げ傾向にあります。
事実、発売当初は1,400mAhだった iPhone のバッテリー容量は、この10年で約3倍にも匹敵する3,969mAhまで大型化しています。

その為、少し前までであれば iPhone を3〜4回程度満充電できた10,000mAhクラスのモバイルバッテリーでも、最新の端末では満充電可能回数が2〜3回程度にまで落ち込んでいます。

それゆえ、10,000mAh クラスのモバイルバッテリーを大容量もしくは、大型の部類に分類するのは相応しくない時代になっています。

・とはいえ未だに10,000mAhが最適解

スマートフォンなどのバッテリー容量が大型化し、10,000mAhが十分とは言い切れなくなった昨今ですが、未だに10,000mAhがモバイルバッテリー選びの最適解であると言われています。

その背景には、リチウムイオン電池の進化の鈍化があり、劇的な小型化や軽量化が進んでいないという問題があります。その為、未だに10,000mAhクラスのモバイルバッテリーは200g前後で推移しており、iPhone 1台分の重量に匹敵します。また、現実的に普段から持ち運べるモバイルバッテリーの限界重量がこの辺りと感じる人が多いことも、未だに10,000mAhがモバイルバッテリー選びの最適解であると言われる所以でもあります。

とはいえ、使用方法は十人十色ですので、容量を更に絞り重量を優先する。重くても充電回数を優先するなど、最終的には使用する端末とご自身の使用用途が適切なモバイルバッテリー選びの要となります。

ただし、特段の理由がない限りは、筆者も10,000mAhクラスの製品を勧めています。

・総評

以上を踏まえて、本誌では以下の通りの購入基準を提唱します。

・20,000mAh 最新の iPhone を5〜6回程度充電可能 充電回数を優先する人や災害時の備蓄用としてオススメ
・10,000mAh 最新の iPhone を2〜3回程度充電可能 万人にオススメ
・5,000mAh 最新の iPhone を1回程度充電可能 重量を優先し充電回数を必要としない人にオススメ

なお、近年では減少傾向にありますが、3,000mAhクラスの超小型製品や、航空機への持ち込み基準を超える27,000mAh以上のモバイルバッテリーについては、実用性の観点から購入をオススメできません。

・オススメ製品

本誌では、過去に様々なモバイルバッテリーをご紹介してきました。
その中で、今もなお、自信を持って皆様にオススメできる製品をいくつかご紹介しておきます。是非、購入の参考にしてみて下さい。

・20,000mAh

・10,000mAh

・5,000mAh