みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

今回は、先日より販売が開始されたAnkerの新型モバイルバッテリー「Anker PowerCore+ 19000 PD」のレビューです。本製品は、最大27WのUSB-PD出力に対応したUSB-Cポートと、USB-Aポートを2ポート搭載したモバイルバッテリーです。

それでは早速、開封とレビューを進めていきます。
*本記事は写真中心の「フォトレビュー」、ガチ検証を含む「ガチレビュー」の2種類を用意しています。

フォトレビューガチレビュー

・開封&レビュー

パッケージ

内容物は本体、ACアダプタ、ケーブル、ポーチ、取扱説明書類

内容物 2

Anker PowerCore+ 19000 PD 本体

端子は左からUSB-A*2、USB-PD対応Type-C、電源ボタン

バッテリー残量を示すインジケーター

・充電速度を確認

まずは、USB-Aポートをチェック。
1ポートが最大15W、もう1ポートが最大10Wの出力に対応しており、今回は15Wポートの結果のみを掲載します。

iPad 2018接続時、5.06V/1.97Aを記録

Quick Charge 3.0にも対応し、11.7V/1.26Aの出力も確認

本製品のUSB-Aポートを確認したところ、公式の仕様にはないQuick Charge 3.0への対応が確認されました。
昨今、増加中のQualcommの認証作業を避けた実質的なQuick Charge対応製品となっています。(使用に影響はない)

なお、10WのUSB-Aポートに関してはQuick Chargeへの対応は認められず、15WポートのQuick Charge対応以外は、仕様通りの動作を確認できました。

次に、最大27WのUSB-PD出力に対応したType-Cポートをチェック。

MacBook Air接続時、19.8V/1.22A(24.1W)を記録

MacBook Air上では25W充電器として認識

iPhone 8接続時、9.06V/0.58Aを記録

これらの結果から、USB-AポートからiPhoneの急速充電、iPadの充電、Quick Charge対応デバイスの充電が可能であり、Type-CポートからはiPhoneとiPadの高速充電、MacBook Airを最大25W出力で充電できていることがわかりました。

・USBハブモードを確認

本製品のType-Cポートを対応のコンピュータへ接続すると、バッテリーのUSB-AポートがUSBハブとして機能するという機能が実装されています。
あまり使うことのなさそうな機能ですが、動作を確認しておきます。(ケーブルはUSB 3.1 Gen2を使用)

USBハブモードを呼び出すには、本体にある電源ボタンを長押しします。
すると、バッテリー残量インジケータの点灯表示が変わり、USBハブモードに移行できたかを表示します。

その状態で、USB 2.0のUSBメモリの書き込み速度を確認したところ、以下の通りとなりました。

USBメモリを利用しなくなって久しい為、テストに使用したメモリの標準的な書き込み速度を忘れてしまいましたが、USB 2.0の規格自体の実効速度が40MB/s程度ですので、こんなものといえばこんなものなのかもしれません。

なお、データの読み書き以外にもiPhoneやiPadなどのデータ同期にも利用できます。
万が一 USB-C – Lightningケーブルを忘れた時などでも、通常のLightningケーブルを利用してデータの同期などができると考えると、便利な機能かもしれません。

・開封

パッケージ

内容物は本体、ACアダプタ、ケーブル、ポーチ、取扱説明書類

内容物 2

Anker PowerCore+ 19000 PD 本体

端子は左からUSB-A*2、USB-PD対応Type-C、電源ボタン

バッテリー残量を示すインジケーター

本体裏面の表記 出力詳細と丸形PSEマークの記載があります。

・USB-Aポートを確認

まずは、本体に2ポートあるUSB-A端子の挙動から確認します。

15W出力ポートは上記の充電規格に対応

10Wポートは上記の充電規格に対応

本製品のUSB-Aポートを確認したところ、公式の仕様にはないQuick Charge 3.0への対応が確認されました。
昨今、増加中のQualcommの認証作業を避けた実質的なQuick Charge対応製品となっています。Qualcommの認証費用が非常に高額であるため、この手段は製品単価上昇を抑えるためにも有効な手段だと考えますが、仕様には記載されてこない部分なので、非常にグレーなやり方ということは否定できません。

また、Quick Chargeの他にもSamsungの2.0Aへの反応も示しましたので、規格に対応したデバイスを急速充電することも可能です。
なお、10WのUSB-Aポートに関してはQuick Chargeへの対応は認められず、保護断など全てのポートで仕様通りの動作を確認できました。

・USB-PDの仕様を確認

次に、最大27WのUSB-PD出力に対応したType-Cポートを確認します。
まずは、USB-Cチェッカーを用いた簡易チェックから。

MacBook Air接続時、19.8V/1.22A(24.1W)を記録

MacBook Air上では25W充電器として認識

iPhone 8接続時、9.06V/0.58Aを記録

iPhone SE接続時、4.98V/1.54Aを記録

次に各種機器を使用し、詳細な仕様を確認します。
本製品の出力仕様は説明書などでは、5V/3A、9V/3A、15V/1.8A、20V/1.35A(最大27W)となっています。

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これらの表記が実際の挙動と差異がないかを確認したところ、上記の通りのPDOを検出しました。

検出されたPower Data Objectは、一部が仕様と表記内容が一致しておらず、USB-PDの最低出力電圧である5V/3Aに満たないことが判明しました。なお、Cold SocketやQuick ChargeなどUSB-PD以外の急速充電規格への反応などはみられず、こちらは規格に沿った設計がなされているといえます。

・付属品の仕様を確認

次に、付属品であるACアダプタとケーブルの仕様を確認しておきます。

まず、ACアダプターですが、本製品に同梱されているのは「PowerPort Speed PD 30」となっており、最大30WのUSB-PD出力に対応しています。PowerCore+ 19000 PDのPD入力は最大30Wに対応しているため、このACアダプタを利用すれば、本体を約3.5時間で満充電にできます。

本製品の出力を確認したところ、こちらも規格に沿った設計であることが確認できました。

続いて、付属のケーブルの仕様を確認します。
こちらはACアダプタと違い、本体に製品名が記載されていないため、検出された結果を基に製品の同定を行っています。

まず、はじめにeMarkerの有無についての確認を行ったところ、eMarkerは未実装であることを確認しました。

次に、USBケーブルのバージョンなどを調べる機材にて確認を行ったところ、USB 2.0ケーブルであることが判明しました。USB 2.0ケーブルであれば、eMarkerの実装は必須ではないため、規格に準拠した設計になっています。

このことから、若干デザインが異なるものの「Anker PowerLine II USB-C & USB-C 2.0 ケーブル」と同等のケーブルが同梱されていると言えます。

・実効容量を確認

最後になりましたが、Anker PowerCore+ 19000 PDのモバイルバッテリーとしての性能を確認します。

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4.0V/3Aの出力要求を本体のバッテリー残量がなくなるまで続けた結果、公称容量の19,200mAhに対し、実効容量が59.12Wh(15,978mAh)(-16.8%)と変換ロス値標準ラインの -20% を上回る結果となりました。

このことから、エネルギー効率にも優れた製品となっていることがわかります。

・その他の機能について

本製品には、Ankerの独自技術「PowerIQ 2.0」「VoltageBoost」が搭載されており、あらゆる端末を高速に充電することができると謳われています。

この機能は、スマートフォンを本体に接続した際にはスマートフォンに適した電流を流し、タブレットが接続された時にはタブレットに適した電流を流す。と言う動作を行う機能の名称で、接続先に合わせた最適な電流が流されるため、充電時間の短縮に繋がるというものです。

また、USBポートに必要以上の負荷がかかった時に作動する「サージ保護機能」と「ショート防止機能」を搭載しており、モバイルバッテリーに必要な安全機能も揃っています。

なお、本製品の容量は19,200mAh(71Wh)ですので、手荷物に限り航空機への持ち込みが可能です。

・総評

PDOが販売ページの仕様と合致しないという問題が判明した本製品。
掲載する値よりも実際の数値が低いことから、景品表示法が定める優良誤認に当たる製品です。

また、5V/3Aに届かないUSB-PD出力は規格違反となっている他、互換性の問題が生じそうな20V/1.2A対応など、各所に問題が見受けられる製品です。

最終更新日:2022年3月29日

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