みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
今回は、2022年6月中旬より日本でも販売が予定されている「Anker 511 Power Bank(PowerCore Fusion 5000)」をレビューします。本製品は、ACアダプタとモバイルバッテリーが一体型となった2in1製品で、最大20Wの USB-PD 出力が可能となっています。
なお、本製品は元々、昨年の夏頃より PowerCore Fusion Prism 5K として一部の国で販売されていた製品であり、筆者も昨年の冬頃に購入して普通に使っていた製品です。そういった事情で、日本最速&最長使用者としてのレビューとなっています。
・開封
内容物は本体と取扱説明書
本体
バッテリー残量インジケータは4段階
各種仕様(PSEマークはない)
プラグはAタイプなものの、中国仕様
USB-C ポート
本体にある紐はナイロン製で取り外し不可
本体の上半分が光沢、下半分が非光沢筐体になっている
・本体の仕様をチェック
ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認しました。
PDO は表記よりも大きい値の場合、デバイスを過電流により破損させる恐れがあり、小さい場合は景品表示法上の問題が生じます。また、USB- PD 規格では USB-PD 以外の急速充電への対応を禁止しています。過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として実装されています。
問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露見するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。
なお、仕様はモバイルバッテリー・ACアダプタで共通であったため、今回はモバイルバッテリーとしての結果を掲載しています。
確認の結果、メーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致しており、問題点は見当たりませんでした。また、Anker 製品にしては珍しく、USB-PD 以外の急速充電規格(Quick Charge など)への対応は見られませんでした。
次に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。
確認の結果、大きな問題は認められず保護機能は正常に動作するといえる状態であることを確認できました。
最後に、iPhone SE(第2世代)および iPad 9 での充電状況を確認します。
確認の結果、iPhone・iPad で18W/20Wの高速充電が作動していることを確認できました。
・モバイルバッテリーとしての性能をチェック
次に、モバイルバッテリーとしての性能もチェックします。
クリックで拡大
本製品のバッテリー容量は、5,000mAhとなっています。それに対し、実際に有効に使用できる容量である実行容量は15.18Wh(約4,103mAh)となりました。
これは、表記容量の82.06%に値し、効率の良いモバイルバッテリーはこの数値が80%以上であることから、本製品はエネルギー変換効率に優れた製品だといえます。
なお、本製品は100Wh以下のバッテリー容量であるため、手荷物に限り航空機への持ち込みが可能です。
・一見便利そうに見えるが…
そもそも、筆者が本製品を個人輸入してまで購入した理由は「便利そう!」と思ったから意外に他なりません。
しかしながら、現実はそう甘くはなく「使い勝手悪いなぁ」と感じ、現状ではほとんど使用していません。
Anker PowerLine III Flow Lightning ケーブルのピンクとよく合う
その理由は、上記の画像を見ていただければすぐにわかると思いますが、「コンセントに干渉する」というシンプルな理由です。そもそも、USB-C ポートが底面に付いているため、上下反転してコンセントに挿そうが、何をどうやっても縦配列のコンセントでは上下のコンセントを潰してしまいます。
購入時によくよく考えれば気が付く問題ですが、筆者はアホなので購入し、コンセントに接続するまで全く気が付きませんでした。
というよりも、コンセントを縦配置することが多い Aタイププラグ採用国向けの製品で、これはあまりにもお粗末というか、「中国で設計しているなら設計段階であなたたちも気が付いたでしょ」とツッコミたくなるレベルの設計ミスだと思います。
なお、コンセントに接続している最中にデバイスを接続すると、ACアダプタモードに切り替わり、バッテリーの充電が停止され、デバイスの充電が先に行われる仕様となっています。また、本体の充電はコンセント直挿しのみとなっているため、本体の USB-C ポートに充電器を接続しても本体の充電はできません。
この辺りの仕様は、他の同社製2in1製品と同じものであり、形が変わっただけの同等製品と考えて良さそうです。
・ところで
まもなく販売が始まる国内版の製品と比較すると、現在レビューしている製品は若干の仕様の差異が存在するものと考えられます。(そもそも、ピンクは用意されてないっぽいし)そのため、「へー。こんな感じなんだ」という参考程度にご覧いただければと思います。
筆者が本記事を書こうと思ったのは、「便利そうに見えるけど、そうでもないよ」ということが言いたかったためです。ですので、やれ、PSEマークがない、穴あきプラグになっていない、そんなもんを紹介すんな。というクレームの類は一切受け付けておりません。
また、本製品は筆者にとって初めての個人輸入してきた Anker 製品です。
というか、日本で普通に買える Anker 製品を個人輸入してくる頭のおかしい奴は、そうそういないと思いますので、記念に余談を付け加えておきます。
クリックで拡大
意外にも、取扱説明書は万国共通となっており、既に日本語表記も用意されています。ざっと読んだだけでは、特におかしな日本語や漢字が簡体字になっているなどもなく、日本法人も一応は開発に参加はしているようです。
・総評
使い勝手の悪さを割り切れるなら良い製品。
本製品は、そんな製品です。基本的な仕様やスペックに関しては、問題点や不満を持つような人は少ないものとなっていると思います。特に、20W充電器とモバイルバッテリーが¥4,990で手に入ると思えば、なおさらその価値はあると思います。
コストパフォーマンスには優れる反面、使い勝手の悪さは筋金入りとも言えるレベルで、使用中にコンセントを塞いでしまうというのは、大抵の日本のコンセント事情には則さないものだと感じています。
あまりオススメはしませんが、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。