みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。

この記事では、コンセントにまつわるあれこれと題し、ごく稀に見かける穴あきプラグでない製品の可否についてご紹介します。

なお、この記事は日本国内に在住する者に向けて適用される法律を基に執筆しています。日本国外ではこれに限らない場合があります。

・結論

穴が開いていないプラグは電気用品安全法違反となります。

穴あきプラグでない例

この穴は、脱落防止用の穴となっており、プラグの根元から11.7mmの場所に直径3mmの穴を開けることが法令で義務付けられています。そのため、これに反した場合「一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」との罰則規定があります。

なお、この法令は事業者に適用されるものであり、穴あきプラグでない製品を使用したからといって使用者が罰則を受けるものではありません

・ではなぜ穴が開いていない製品が存在するのか?

日本国内で販売される製品では、全ての製品に穴あきプラグの採用が義務化されています。

しかしながら、この記事をお読みの方の多くは「なぜか穴が開いていない製品が手元にある」状態だと思います。

AliExpress などで小型家電を買うとありがち。

この原因は、製品を個人輸入してきたもしくは、製品の販売・出品者が海外事業者である場合がほとんどです。これらの場合、日本国内にいるにも関わらず、穴あきプラグでない製品を入手することが可能です。

個人輸入の場合、使用は自己責任となりますが、国内での販売や譲渡に関しては電気用品安全法の定めるところですので、罰則の対象となります。また、万が一その製品が原因で住宅火災などに発展した場合でも輸入責任者が輸入者本人となり、火災保険などの各種保険が下りない場合があります。

製品をネットショッピングなどで購入し、海外から送ってこられたなどの理由で穴あきプラグでない製品が届いた場合、発送した事業者が電気用品安全法違反となりますので、その旨を出品者やサイト運営会社に連絡し、返品をするのがベターでしょう。

・安全上は問題ない

筆者がこの記事を執筆するに至った理由でもありますが、穴あきプラグでないからといって一概に危険な製品とはいえません

充電器などの多くは JIS ではなく NEMA 5-15 準拠が多い

なぜならば、日本国内の法令では「違法」とされる穴があいていないプラグも、アメリカの NEMA 規格では「適合」、すなわち合法です。それどころか、穴あけ自体が「オプション」扱いであり、穴をあけないことに法的問題はありません。

それもそのはずで、穴あきプラグというのは、先述の通りコンセントからの「脱落防止」を目的として作られたものです。その起源は古く、1915年にアメリカでJohn J. Kenney により取得された特許「SEPARABLE ATTACHMENT PLUG」(US1341468A)に、穴の目的が脱落防止である旨が記載されています。

よって、コンセントの穴は安全性を向上させるためのオプションでしかなく、日本はそのオプションを含めて「標準」としたため、「穴があいていない製品は違法」となっているだけです。(一種のガラパゴス文化ですね)

とはいえ、穴あきプラグの有効性は高いものと認識されており、オプション扱いでしかないアメリカにおいても、近年発売された製品の97%は穴あきプラグを採用しているそうです。

・冷静な判断を

コンセントの「穴」について、様々な見解が Web 上には存在し、中には過度に不安を煽るものもあります。

しかし、上記の通り安全性の問題はないに等しく、また世界的には合法であるケースも多くあります。

事実、中国では穴があいていないプラグの方が一般的であり、それらを旅行者が日本で使用し、事故が頻発しているというニュースはまず聞かないでしょう。逆に、我々日本人が海外に旅行した際に、現地のコンセントを使用して、穴があいていることに起因する事故を起こしたという話も聞かないでしょう。

このような身近な例を考えれば、「あぁ、そうか」となる事柄でも、いきなり遭遇すると「何が何やら」という状態に陥り、冷静な判断ができなくなってしまいがちです。

特に、電気用品という特性上、できるだけ安全な状態で使用したいという考えは誰もが持ちます。その考えは非常に重要であり、正しい知識と共にその意識も持ち続け、安全に電気製品を使用していただければと思います。

電気用品安全法
NEMA 5-15P blade holes

最終更新日:2023年10月3日