みなさま、こんにちは。Kazuto Tanabe です。
今お使いの USB-C 充電器の出力はどれくらいでしょうか?近年になりようやく、20Wあたりが普及してきた感がありますが、ノートパソコンの充電用などでさらに大きなものをお使いの方もいるかもしれません。USB-PD 規格では最大100Wまでの出力が可能となっていますが、まだまだ対応製品は限られています。
今回は、そんな数少ない100W充電器の中からエレコムより販売されている100W USB-PD 充電器「EC-YAC04WH」をレビューします。前回、エレコムの充電器を試してみたところ意外にもというか、かなりよかったので、本製品も購入してみました。
Contents
・開封
パッケージ
本体
側面
USB-C ポートと通電ランプ
5V/3A、9V/3A、15V/3A、20A/5A(240V対応で海外使用可)
プラグは折り畳める
・仕様をチェック
ここでは、USB-C ポートの Power Data Object(PDO)と USB-PD 以外の急速充電への対応の有無、過電流に対する保護機能の3点を確認しました。
PDO は表記よりも大きい値の場合、デバイスを過電流により破損させる恐れがあり、小さい場合は景品表示法上の問題が生じます。また、USB- PD 規格では USB-PD 以外の急速充電への対応を禁止しています。過電流に対する保護機能は、異常発熱・出火などを防ぐ目的の保安機能として実装されています。
問題のある製品の場合、主にこのいずれかのポイントで問題点が露見するため、本誌ではこの3つの検証結果を主に使用しています。
PDO(5Aケーブル)
PDO(3Aケーブル)
対応する急速充電規格
確認の結果、両ポートともメーカーが提供する PDO と実際の PDO が一致しており、問題点は見当たりませんでした。また、eMarker の識別もできており、3Aケーブルと5Aケーブルにより出力する PDO が異なることも確認できました。
急速充電に関しても問題点はありませんが、Apple 2.4A 充電には非対応のため高速充電非対応機種(iPhone 8 以前等)で使用すると2A充電器よりも充電速度が低下しますので、その点は注意が必要です。
最後に、過電流に対する保護機能の動作状況を確認しました。本製品の仕様は USB-PD 規格の上限値である100Wの出力に対応しています。
確認の結果、大きな問題は認められず保護機能は正常に動作するといえる状態であることを確認できました。
・意外にも用途がない?
本製品を購入してから気が付いたのですが、「意外と使うシーンなくね?」という問題があります。
スマホの充電に使うのは正気の沙汰ではない
USB-PD 規格の最大出力である100Wを出力でき、一見すると(サイズやコスト的な話を除けば)「これ1台あれば」とも言えなくもない製品です。しかし、100Wクラスの充電器が必要なデバイスとして最も有名なものといえば、やはり Apple MacBook Pro 16 インチモデルでしょう。
しかし、現行の MacBook Pro 2021 では付属のACアダプタは140Wに出力UPされています。さらに、Windows ラップトップでもせいぜい60W程度もしくは100W以上で、通常充電には専用の充電器を必要するというデバイスの方が圧倒的に多く、100Wのポテンシャルを生かせる機会は滅多とありません。
MacBook Air でも60Wが上限
100W充電器でもスマホやタブレットなどは結局20Wでしかない
2口のコンセントにギリギリ干渉しない大きさ
・総評
必要ならば買い。本製品はそれくらいの立ち位置の製品だと思います。
物自体は堅実な作りで、旧型の MacBook Pro 16 など具体的な用途があれば十分に購入をオススメできる製品です。しかし、大は小を兼ねる的なとりあえずのノリで購入すると割と使い勝手が悪く、苦労しますので、購入前によくよくご自身の用途を見極められた方が良いかと思います。